女になった俺と、

六月 鵺

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リッシェンリーダン

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飛行船の中はめっちゃ豪華だった。見るからに絢爛豪華な調度品の数々。
魔力の込められた梟の剥製とサーベルタイガーの剥製。夜になったら動き出すんだろうな。
どっちも大切にされてるのが分かる。綺麗な見た目だけじゃなくて、漏れ出る気配が、とても綺麗だから。
薔薇と百合が活けられてる壺は、触るのを躊躇するくらい、豪華な装飾がなされてる。本当、触ったら金箔とか塗料が剥がれそう。

「気に入ったか?この飛行船自体は私の物だけど、翼亀は貸出しなんだよな」

飛行船買えるなら翼亀も買えるだろ。

「じゃあ買えよ。翼亀」

「だってさぁ、こんなデカイの場所取るじゃん?一度にどれくらいの餌食べるか知ってるか?とてつもなく世話がかかるんだよ。面倒臭がりな私にゃ、無理な生き物だ」

どれだけ世話がかかるか知らないけど、確かにハイズに動物の世話は無理そうだな。

「そうそう、制服なんだけどな、試しに着てくれ。いざって時に合わなかったら困るしな」

制服を受け取って広げてみる。

「…………」

「だってお前、見た目完璧に女じゃん。本当は男だなんて誰にも言うなよ。ハンドミンの名を出すだけでも、本来は危険なんだからな」

「危険って言うけどさ、なんで危険なのか説明してくれないよな。この前初めて、悪魔に通ずる血筋だって教えてくれたくらいで」

ハイズを見る。この質問をする時だけ、悲しそうな瞳で俺を見る。

「まだ、話す時期に来てないだけだ。ハンドミンの名は分かる奴には分かるんだよ。だから危険なんだ。リッシェンリーダンの関係者共や、恩を売った奴らは心配いらないけど、リアゲートや他の天の血筋、ハンドミンの血筋を邪魔だと考えてる敵は思ってるよりいるんだよ。でも、リッシェンリーダンでそんなことはさせないさ。私が安全を保証してやる。で、制服着ろ制服」

「分かったよ。着りゃいいんだろ」


♢♢♢♢♢♢♢♢


「…………なんじゃこりゃ」

着てみたはいいが、なんじゃこりゃ?これが制服か?こんなワインレッドを基調としたふりっふりなゴスロリみたいなのが?

「おおー…。やっぱアマネちゃんの弟なだけあるねぇ。可愛いわぁ」

【胸が目立つようになってるのが見事だな】

「ワンリアどこ見てんだ!そしてハイズ!てめぇの趣味に俺を巻き込むな!ちゃんとした制服渡せ!」

「え?もう無理。ぶっちゃけ制服のデザインって自由に決めちゃっていいんだよな。だから、私がそれをデザインして制服として登録したから、一年間は変更効かないぞ?」

「な、な、な……!?」

【へぇ。一年もこの光景を拝めるんだな】

一年間!?一年も俺はこのゴスロリを着なきゃならないのか!?

「まぁいいじゃん。似合ってるから。いいねぇ、目の保養になるわ~」

俺はてめぇの着せ替え人形じゃねぇ!

「くそ…分かったよ!一年着りゃいいんだろ?着てやりゃあ!」

「おお、男はそうでなくちゃな」

ハイズの思惑通りになるのは癪だけど、七年の内の一年我慢すればこの制服とおさらばだ。今は我慢だ。

「そういえば、アスのこと忘れてた!」

「アス?ああ、マルコシアスのことか?だったら隣の部屋で寝てるよ。私も知らない内に乗ってくつろいでやがる」

隣の部屋を見てみると、確かにいた。ソファーで丸まって気持ちよさそうに寝てる。
窓から外を見ると、まだまだ広大な魔の森が広がってる。
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