平安バストイレ事情

宵闇背景綺談

宵闇平安事情

　平安時代のバストイレ事情から、小説として作り上げたのが、宵闇御厨造りと呼ばれる建物である。基本としては、書院造りに組み入れられていない、厠屋と湯屋を実装することを目的としている。平安京の内裏等の寝殿造りの構造からすると、いくつかの建物を廊下で繋ぐという構成になっている。
　建物そのものも、母屋と呼ばれる本体構造と庇と呼ばれる、今で言えば縁側で構成されている。この庇が、廊下となって他の建物と接続されている。母屋にせよ庇にせよ、柱を並べて、屋根をつけただけなのでで、庇は吹きさらしだし、母屋はだだっ広い空間になっているだけである。

　母屋の空間と庇の間は、写真とかで見ると、取り外せるような構造になっていたりして、完全な仕切りという感じではなかったようである。几帳や屏風、衝立といったもので、それぞれの状況に合わせて組み換えができるように、良く言えばフレキシブル、悪く言うと何も無い構造であった。
　室町や桃山ともなれば、畳敷きがかなり一般的であったようだが、平安の頃は、板間になっているだけで、人が座る場所や寝る場所に畳を引いていたと考えられる。経済力によって、ひける畳の枚数が変わってくるという感じである。
　床下もかなり広い空間が開いている。
（厳島神社だと、海水が押し寄せてくる）の構造ということになる。高い低いはあるようだけれど、本質としては床下には何も無いと考えて良い。

　枯れ山水があっても一部には、屋敷内に水を引き込むための努力をしていたのが、寝殿造りであるので、水路そのものは存在していたと考えて良い。井戸のある場所を基準として、御厨造りを追加するといった感じにしてみました。対屋としては、北東あたりにしておくと良いかなぁという感じです。
　まぁ、資料を漁っていくと、京都を流れる鴨川は、東寺あたりから北山通りまでの７ｋｍほどの長さで、高低差が５０ｍくらいになっている。つまり、１４０ｍで１ｍの落差が生じていることになる。昭和になっても三条大橋が流されるなど大きな水害があったこともあり、鴨川そのものはかなりの急流であり、堀川のような分流？を水利面からも利用していたものと考えられる。こういった水利事情からも、御厨造りが可能かなぁというのが、宵闇背景綺談というお話になっていたりします。