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1章 スタートダッシュ
チュートリアル終了
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ダンジョンから戻ってきた。
行きとは反対側からゲートを出た。
ゲートから出た先には、まばらに露店があった。
人通りは多い訳でも少ない訳でもなく、快適に移動できる程度。
ダンジョンに入る側の賑やかな雰囲気はない。
反対側は反対側で賑わってはいたけれど、行きほどではないなと思った。
まぁ、こっちを賑わせてもなぁという感じがする
どうせ町に帰っていくんだし、どうせ、ダンジョンに入る側にまわってから帰ることになる訳だし、こっちで商売するよりは、あっちでした方が良いよなと思った。
ここから新たな道がつながって別の町に行く訳でもなく、ただ、ゲートのわきを通って、いきの道と同じ道で帰っていく流れがあるだけだ。
俺も小さなその流れに乗って、ギルドへ、町へ戻るために、今いる側の反対側、ゲートの行き側にまわる。
やっぱりこっち側は賑わっているな。
あっち側より露天商も活気だっているような気がする。
ゲート1つ隔てただけでこんなにも違うんだな。
まぁ、こういう店って道中にあるから利用するのであって、わざわざゲートを回り込んで利用しないもんな。
列を整理している兵士が片手間で、帰りの流れもなんとなく誘導している。
俺は、ゲートの右側にまわったので、右側の流れに沿って帰る。
流れ的には、中央が大きく町からダンジョンへと向けた流れ、その両脇を町へと帰る小さな流れが出来ている感じ。
ぶつからないように、帰り側の人たちが多少膨らんで進む。
規模も圧倒的に違うけど、なんとなくだけど活気が違う。
ダンジョンへ向かう流れからは、わくわくが伝わってくる。
ダンジョンから帰る流れからは疲労感と達成感が伝わってくる。
そんな雰囲気を感じながら、町を目指して歩く。
数分もしないうちに町に着くだろう。
そういえば、ゲートの入り口側、俺が入ったときほどの行列にはなっていなかったけど、それでもある程度並んでいたな。
まだまだ人気なんだなぁ。
まぁ、それはそっか、初日だもんな。
まだまだログインしてくるだろうし、これぐらい賑わいはするよな。
初戦闘楽しかったなぁ。
初採取も楽しかったな。
2回目の戦闘はかなり悔いの残る物だったけど、まぁ、初心者だから多少の失敗は仕方がないよな。
意識を高く持つのは良いけど、完璧主義が行き過ぎて楽しくなくなっちゃったら本末転倒だから、全力でやるけど気楽に行こう。
そう思いながら歩いていると、気がつくと町まで付いた。
町に入るときも城門を守る兵士さんに会釈をする。
なんとなく会釈したくなる雰囲気が出ているんだよな。
ゲームでNPCに対して会釈をしたくなることなんて今までなかったんだけどな。
それから少しして、ギルドまで戻ってきた。
帰ってきたな。
1度しか来たことなかったはずなんだけど、不思議と帰ってきた感があるな。
そんなことを考えながら、ギルドに入る。
俺は、端の方に行ったり、止まったりせずにいつもの右端の受付まで直行した。
受付はもう、並ぶほどではなかった。
各受付に1人ずつ待っている人がいるぐらいだった。
ログインラッシュは落ち着いてきたということかな。
そうはいっても、まだゲームが始まってリアル時間では30分も経っていないんじゃないかな。
確か、こっちの3日があっちの1日なんだよな。
良くそんなことが出来るよな。
3倍の時間を過ごすのってどうやっているんだろうな、技術的に。
まぁ、技術的な話をされても俺には分からないんだろうな。
今の技術って改めてすごいんだな。
『キメラスキルオンライン』の技術がスゴすぎるという可能性もある。
そう思っていると、いつの間にか前の人の用事は終わっていたようで俺の番になっていた。
そのことに、受付のお姉さんに声をかけられて気が付いた。
「何のご用件でしょうか?」
思わず驚きで声が出そうになったのをグッとこらえた。
俺は、なんとか冷静さを保ちながら言った。
「依頼達成の処理をお願いします」
「依頼達成の処理ですね。それでは、まずギルドカードを提出してください」
ギルドカードの提出か。
俺は、ストレージからギルドカードを取り出した。
それを受付のお姉さんに渡しながら言った。
「はい、お願いします」
「えっと、アロン様の依頼は、ダンジョンラビットの討伐と、ダンジョン草の採集のセット依頼ですね。ダンジョンラビットの方の討伐は確認できました。ダンジョン草の納入をお願いします」
受付のお姉さんが話している間に用意しておいたダンジョン草の束を1つ受付のお姉さんに渡しながら言った。
「これでいいですか?」
「大丈夫です。これで依頼達成になります。報酬のSPの書(小)です。現金は口座に振り込まれます。討伐したダンジョンラビットの素材を売る場合は、あちらにある素材買取り受付まで持って行ってください」
あれが素材買取り受付なんだ。
あそこに素材を持ち込めば良いんだな。
俺は、SPの書を受け取りながら、言った。
「分かりました。HPを回復する物はどこで買えますか?」
「あちらにある売店でHPポーションが売っています。戦闘時の保険としていくつか持っておくことを推奨します」
売店で売っているのか。
買ってから行けば良かったな。
と言うか、支援物資に入っていても良かったんじゃないかな?
何で入ってなかったんだろう?
弓ってどちらかというと後衛系のスタイルだから、必要ないと思われたのかな。
まぁ、とりあえず保険で持っておくのは大事だよな。
よし、ストレージを圧迫しないぐらいに買おう。
「分かりました。ありがとうございます」
俺は、受付から離れた。
依頼が終わったな。
次は何をしよう。
まぁ、もう少しチュートリアルウィンドウの指示に従って行動することになるだろうな。
そんなことを考えながら、SPの書をストレージにしまいながら、いつもの端の方に行く。
ちょうど端の方について落ち着いたタイミングでウィンドウが現れた。
このウィンドウってもしかしてタイミングの調整をしているのか?
そんなことを思いながらウィンドウを読む。
《チュートリアル》
《その3 冒険を始めよう!》
《その9 素材を買取りしてもらおう!》
素材買取り受付で手持ちの素材を買い取ってもらいましょう。
買取りの方法は、素材買取り受付に行けば教えてもらえます。
短い指示だな。
とりあえず、買取り受付に行けという事だな。
じゃあ、早速行くか。
俺は、さっき受付のお姉さんに教えてもらった、素材買取り受付まで向かった。
「買取りでしょうか?」
俺は、ハキハキと言った。
「はい、買取りをお願いします」
「それではまず、ギルドカードを提示してください」
俺は、提示を要求されるだろうと思い、事前に用意しておいたギルドカードをぱっとすぐに出した。
「はい、お願いします」
「アロン様ですね。次に、買取りに出す素材をここに置いてください」
受付のお姉さんが、受付の台にある大きなくぼみのような場所を指して言った。
重量計みたいなことかな?
そう思いながら、俺は、ストレージから、兎革を2つ、ダンジョン草を11束取り出して、そこに置いた。
全部おけていることを確認してから言った。
「はい、置きました」
「えっと、今、ダンジョン草の束は、需要が大幅に増えているので、買取りにかけるよりも、依頼として処理する方が良い金額をもらえるのですが、このまま買取りをして大丈夫ですか?」
へぇ、そうなんだ。
初依頼の納入みたいに、納入依頼を受ければ良いということかな。
ダンジョン草の需要拡大かぁ。
プレイヤーの薬師の影響かな。
多分そうだろうな。
今日一番の変化って、そこだもんな。
俺は、そんなことを考えつつ、言った。
「それなら、ダンジョン草は、依頼の方に回します」
「そうですか、なら、この兎革だけ買取りします」
俺は、出したダンジョン草をしまう。
しまいながら答えた。
「お願いします」
「2枚で1000Gになります、よろしいでしょうか?」
買取りの計算はすぐに終わった。
慣れているんだろうな。
買取り受付をやっているんだし。
俺は、了承の意を伝える。
「大丈夫です」
「それでは、口座の方に買取り額を入金しておきますね」
「ありがとうございました」
おれは、そう言って、素材買取り受付から離れた。
チュートリアルの続きが来るだろうと思って、そのまま依頼達成の手続きに行かず、端のポジションに戻った。
すると案の定チュートリアル用のウィンドウが出現した。
《チュートリアル》
《その3 冒険を始めよう!》
《その10 ギルドランクをアップさせよう!》
ギルドランクをアップさせましょう。
依頼数と、買取り額、ステータスの条件をクリアしました。
後は特別預入金の増額と手続きを経ればランクアップをすることが出来ます。
受付に行き、ランクアップの手続きをしましょう。
確かに、依頼を1個こなしたし、兎革の買い取り価格は1000Gだったな。
これで、ランクアップできるのか。
チュートリアル用に簡単になっているのかもな。
依頼の件もあるし、ランクアップの件もあるし、受付に行くか。
そう思い立ち、いつもの受付に向かった。
今日何度目かの受付。
お決まりの台詞で受付のお姉さんに声をかけられた。
「ご用件は何でしょうか?」
俺は、淡々と用件を言った。
「ランクアップの手続きをしたいんですけど、できますか?」
「ランクアップの手続きですね。それではまずギルドカードを提示してください」
やっぱりそうだよな。
そう思ってあらかじめ、ストレージからギルドカードを出していたんですよ。
そう思いながら、ギルドカードをすぐに出した。
「お願いします」
「依頼数、素材買取り額、ステータスは問題ないみたいですね。口座から特別預入金の方に1G移動することになります。よろしいですか?」
1Gだけで良いのか。
1Gぐらいなら何度でも良いですよ。
そんな気持ちで答える。
「大丈夫です」
「それではランクアップの手続きをしますね」
これでランクアップかぁと思いながら言った。
「お願いします」
「ランクアップの手続きが完了しました。これからあなたは、2ランクです。冒険者活動を頑張ってください」
受付のお姉さんから、ギルドカードを受け取る。
まず第1の要件である、ランクアップの件は終わったようだ。
そうすると、第2の用件、ダンジョン草の処理をしておかないとな。
需要のあるうちに捌かないともったいないよな。
俺は、受付のお姉さんに、ランクアップのことを聞いたのと同じテンションで言った。
「あの、手元のダンジョン草の納入で終わる依頼ってありますか?」
「いくつかありますよ。ちなみに、ダンジョン草の束は何束お持ちでしょうか?」
いくつもあるんだ。
そんだけ需要があるということか。
そう思いながら答えた。
「11束あります」
「それならば、5束の依頼と6束の依頼があります。両方、推奨ランクは3になります」
そんなちょうど良い依頼があるのか。
推奨ランク3ということは、次のランクアップの依頼数に含まれるな。
本当に良い依頼だな。
俺は食い気味に言った。
「じゃあ、それでお願いします」
「それなら、もう一度ギルドカードを提示していただいて、こちらにダンジョン草の束をお願いします」
何でもギルドカードが必要なんだな。
まぁ、それはそっか。
ここにいろんな情報が登録されているんだもんな。
これ無しでは何も出来ないよな。
ゲームとはいえ、顔パスで手続きされた方が不安だな。
俺は手に持ったままだったギルドカードを受付のお姉さんに渡しながら言った。
「お願いします」
「依頼の処理を完了しました。これで、ランクアップのための依頼数は達成されました。後は、素材買取り額2000Gと特別預入金を2G増額していただければ手続きを経てギルドランクのランクアップをすることが出来ます」
こっちもすぐに終わった。
正直依頼をやった気がしないけど、もうランクアップのための依頼数が終わったらしい。
ふわふわした気持ちのまま、言った。
「分かりました。ありがとうございました」
俺は、次のチュートリアルの指示を待つために、いつものポジションに移動した。
次のチュートリアルは何だろうな。
買い物かな?
パーティーの組み方かな?
そんなことを考えながらギルドの人通りの少ない端の方に移動した。
端の方で落ち着くと、チュートリアル用のウィンドウではなく、アナウンス用の少し小さめのウィンドウが出現し、それに合わせてアナウンスが流れた。
”チュートリアル/その3 冒険者をはじめよう! ”を クリアしました。
クリア報酬の1000Gはストレージに直接入れました。
”チュートリアル”をクリアしました。
クリア報酬の称号『チュートリアル修了者』を称号にセットしました。
以上でチュートリアルは終了になります。
自由で楽しい冒険者生活を、『キメラスキルオンライン』の世界をお楽しみください。
行きとは反対側からゲートを出た。
ゲートから出た先には、まばらに露店があった。
人通りは多い訳でも少ない訳でもなく、快適に移動できる程度。
ダンジョンに入る側の賑やかな雰囲気はない。
反対側は反対側で賑わってはいたけれど、行きほどではないなと思った。
まぁ、こっちを賑わせてもなぁという感じがする
どうせ町に帰っていくんだし、どうせ、ダンジョンに入る側にまわってから帰ることになる訳だし、こっちで商売するよりは、あっちでした方が良いよなと思った。
ここから新たな道がつながって別の町に行く訳でもなく、ただ、ゲートのわきを通って、いきの道と同じ道で帰っていく流れがあるだけだ。
俺も小さなその流れに乗って、ギルドへ、町へ戻るために、今いる側の反対側、ゲートの行き側にまわる。
やっぱりこっち側は賑わっているな。
あっち側より露天商も活気だっているような気がする。
ゲート1つ隔てただけでこんなにも違うんだな。
まぁ、こういう店って道中にあるから利用するのであって、わざわざゲートを回り込んで利用しないもんな。
列を整理している兵士が片手間で、帰りの流れもなんとなく誘導している。
俺は、ゲートの右側にまわったので、右側の流れに沿って帰る。
流れ的には、中央が大きく町からダンジョンへと向けた流れ、その両脇を町へと帰る小さな流れが出来ている感じ。
ぶつからないように、帰り側の人たちが多少膨らんで進む。
規模も圧倒的に違うけど、なんとなくだけど活気が違う。
ダンジョンへ向かう流れからは、わくわくが伝わってくる。
ダンジョンから帰る流れからは疲労感と達成感が伝わってくる。
そんな雰囲気を感じながら、町を目指して歩く。
数分もしないうちに町に着くだろう。
そういえば、ゲートの入り口側、俺が入ったときほどの行列にはなっていなかったけど、それでもある程度並んでいたな。
まだまだ人気なんだなぁ。
まぁ、それはそっか、初日だもんな。
まだまだログインしてくるだろうし、これぐらい賑わいはするよな。
初戦闘楽しかったなぁ。
初採取も楽しかったな。
2回目の戦闘はかなり悔いの残る物だったけど、まぁ、初心者だから多少の失敗は仕方がないよな。
意識を高く持つのは良いけど、完璧主義が行き過ぎて楽しくなくなっちゃったら本末転倒だから、全力でやるけど気楽に行こう。
そう思いながら歩いていると、気がつくと町まで付いた。
町に入るときも城門を守る兵士さんに会釈をする。
なんとなく会釈したくなる雰囲気が出ているんだよな。
ゲームでNPCに対して会釈をしたくなることなんて今までなかったんだけどな。
それから少しして、ギルドまで戻ってきた。
帰ってきたな。
1度しか来たことなかったはずなんだけど、不思議と帰ってきた感があるな。
そんなことを考えながら、ギルドに入る。
俺は、端の方に行ったり、止まったりせずにいつもの右端の受付まで直行した。
受付はもう、並ぶほどではなかった。
各受付に1人ずつ待っている人がいるぐらいだった。
ログインラッシュは落ち着いてきたということかな。
そうはいっても、まだゲームが始まってリアル時間では30分も経っていないんじゃないかな。
確か、こっちの3日があっちの1日なんだよな。
良くそんなことが出来るよな。
3倍の時間を過ごすのってどうやっているんだろうな、技術的に。
まぁ、技術的な話をされても俺には分からないんだろうな。
今の技術って改めてすごいんだな。
『キメラスキルオンライン』の技術がスゴすぎるという可能性もある。
そう思っていると、いつの間にか前の人の用事は終わっていたようで俺の番になっていた。
そのことに、受付のお姉さんに声をかけられて気が付いた。
「何のご用件でしょうか?」
思わず驚きで声が出そうになったのをグッとこらえた。
俺は、なんとか冷静さを保ちながら言った。
「依頼達成の処理をお願いします」
「依頼達成の処理ですね。それでは、まずギルドカードを提出してください」
ギルドカードの提出か。
俺は、ストレージからギルドカードを取り出した。
それを受付のお姉さんに渡しながら言った。
「はい、お願いします」
「えっと、アロン様の依頼は、ダンジョンラビットの討伐と、ダンジョン草の採集のセット依頼ですね。ダンジョンラビットの方の討伐は確認できました。ダンジョン草の納入をお願いします」
受付のお姉さんが話している間に用意しておいたダンジョン草の束を1つ受付のお姉さんに渡しながら言った。
「これでいいですか?」
「大丈夫です。これで依頼達成になります。報酬のSPの書(小)です。現金は口座に振り込まれます。討伐したダンジョンラビットの素材を売る場合は、あちらにある素材買取り受付まで持って行ってください」
あれが素材買取り受付なんだ。
あそこに素材を持ち込めば良いんだな。
俺は、SPの書を受け取りながら、言った。
「分かりました。HPを回復する物はどこで買えますか?」
「あちらにある売店でHPポーションが売っています。戦闘時の保険としていくつか持っておくことを推奨します」
売店で売っているのか。
買ってから行けば良かったな。
と言うか、支援物資に入っていても良かったんじゃないかな?
何で入ってなかったんだろう?
弓ってどちらかというと後衛系のスタイルだから、必要ないと思われたのかな。
まぁ、とりあえず保険で持っておくのは大事だよな。
よし、ストレージを圧迫しないぐらいに買おう。
「分かりました。ありがとうございます」
俺は、受付から離れた。
依頼が終わったな。
次は何をしよう。
まぁ、もう少しチュートリアルウィンドウの指示に従って行動することになるだろうな。
そんなことを考えながら、SPの書をストレージにしまいながら、いつもの端の方に行く。
ちょうど端の方について落ち着いたタイミングでウィンドウが現れた。
このウィンドウってもしかしてタイミングの調整をしているのか?
そんなことを思いながらウィンドウを読む。
《チュートリアル》
《その3 冒険を始めよう!》
《その9 素材を買取りしてもらおう!》
素材買取り受付で手持ちの素材を買い取ってもらいましょう。
買取りの方法は、素材買取り受付に行けば教えてもらえます。
短い指示だな。
とりあえず、買取り受付に行けという事だな。
じゃあ、早速行くか。
俺は、さっき受付のお姉さんに教えてもらった、素材買取り受付まで向かった。
「買取りでしょうか?」
俺は、ハキハキと言った。
「はい、買取りをお願いします」
「それではまず、ギルドカードを提示してください」
俺は、提示を要求されるだろうと思い、事前に用意しておいたギルドカードをぱっとすぐに出した。
「はい、お願いします」
「アロン様ですね。次に、買取りに出す素材をここに置いてください」
受付のお姉さんが、受付の台にある大きなくぼみのような場所を指して言った。
重量計みたいなことかな?
そう思いながら、俺は、ストレージから、兎革を2つ、ダンジョン草を11束取り出して、そこに置いた。
全部おけていることを確認してから言った。
「はい、置きました」
「えっと、今、ダンジョン草の束は、需要が大幅に増えているので、買取りにかけるよりも、依頼として処理する方が良い金額をもらえるのですが、このまま買取りをして大丈夫ですか?」
へぇ、そうなんだ。
初依頼の納入みたいに、納入依頼を受ければ良いということかな。
ダンジョン草の需要拡大かぁ。
プレイヤーの薬師の影響かな。
多分そうだろうな。
今日一番の変化って、そこだもんな。
俺は、そんなことを考えつつ、言った。
「それなら、ダンジョン草は、依頼の方に回します」
「そうですか、なら、この兎革だけ買取りします」
俺は、出したダンジョン草をしまう。
しまいながら答えた。
「お願いします」
「2枚で1000Gになります、よろしいでしょうか?」
買取りの計算はすぐに終わった。
慣れているんだろうな。
買取り受付をやっているんだし。
俺は、了承の意を伝える。
「大丈夫です」
「それでは、口座の方に買取り額を入金しておきますね」
「ありがとうございました」
おれは、そう言って、素材買取り受付から離れた。
チュートリアルの続きが来るだろうと思って、そのまま依頼達成の手続きに行かず、端のポジションに戻った。
すると案の定チュートリアル用のウィンドウが出現した。
《チュートリアル》
《その3 冒険を始めよう!》
《その10 ギルドランクをアップさせよう!》
ギルドランクをアップさせましょう。
依頼数と、買取り額、ステータスの条件をクリアしました。
後は特別預入金の増額と手続きを経ればランクアップをすることが出来ます。
受付に行き、ランクアップの手続きをしましょう。
確かに、依頼を1個こなしたし、兎革の買い取り価格は1000Gだったな。
これで、ランクアップできるのか。
チュートリアル用に簡単になっているのかもな。
依頼の件もあるし、ランクアップの件もあるし、受付に行くか。
そう思い立ち、いつもの受付に向かった。
今日何度目かの受付。
お決まりの台詞で受付のお姉さんに声をかけられた。
「ご用件は何でしょうか?」
俺は、淡々と用件を言った。
「ランクアップの手続きをしたいんですけど、できますか?」
「ランクアップの手続きですね。それではまずギルドカードを提示してください」
やっぱりそうだよな。
そう思ってあらかじめ、ストレージからギルドカードを出していたんですよ。
そう思いながら、ギルドカードをすぐに出した。
「お願いします」
「依頼数、素材買取り額、ステータスは問題ないみたいですね。口座から特別預入金の方に1G移動することになります。よろしいですか?」
1Gだけで良いのか。
1Gぐらいなら何度でも良いですよ。
そんな気持ちで答える。
「大丈夫です」
「それではランクアップの手続きをしますね」
これでランクアップかぁと思いながら言った。
「お願いします」
「ランクアップの手続きが完了しました。これからあなたは、2ランクです。冒険者活動を頑張ってください」
受付のお姉さんから、ギルドカードを受け取る。
まず第1の要件である、ランクアップの件は終わったようだ。
そうすると、第2の用件、ダンジョン草の処理をしておかないとな。
需要のあるうちに捌かないともったいないよな。
俺は、受付のお姉さんに、ランクアップのことを聞いたのと同じテンションで言った。
「あの、手元のダンジョン草の納入で終わる依頼ってありますか?」
「いくつかありますよ。ちなみに、ダンジョン草の束は何束お持ちでしょうか?」
いくつもあるんだ。
そんだけ需要があるということか。
そう思いながら答えた。
「11束あります」
「それならば、5束の依頼と6束の依頼があります。両方、推奨ランクは3になります」
そんなちょうど良い依頼があるのか。
推奨ランク3ということは、次のランクアップの依頼数に含まれるな。
本当に良い依頼だな。
俺は食い気味に言った。
「じゃあ、それでお願いします」
「それなら、もう一度ギルドカードを提示していただいて、こちらにダンジョン草の束をお願いします」
何でもギルドカードが必要なんだな。
まぁ、それはそっか。
ここにいろんな情報が登録されているんだもんな。
これ無しでは何も出来ないよな。
ゲームとはいえ、顔パスで手続きされた方が不安だな。
俺は手に持ったままだったギルドカードを受付のお姉さんに渡しながら言った。
「お願いします」
「依頼の処理を完了しました。これで、ランクアップのための依頼数は達成されました。後は、素材買取り額2000Gと特別預入金を2G増額していただければ手続きを経てギルドランクのランクアップをすることが出来ます」
こっちもすぐに終わった。
正直依頼をやった気がしないけど、もうランクアップのための依頼数が終わったらしい。
ふわふわした気持ちのまま、言った。
「分かりました。ありがとうございました」
俺は、次のチュートリアルの指示を待つために、いつものポジションに移動した。
次のチュートリアルは何だろうな。
買い物かな?
パーティーの組み方かな?
そんなことを考えながらギルドの人通りの少ない端の方に移動した。
端の方で落ち着くと、チュートリアル用のウィンドウではなく、アナウンス用の少し小さめのウィンドウが出現し、それに合わせてアナウンスが流れた。
”チュートリアル/その3 冒険者をはじめよう! ”を クリアしました。
クリア報酬の1000Gはストレージに直接入れました。
”チュートリアル”をクリアしました。
クリア報酬の称号『チュートリアル修了者』を称号にセットしました。
以上でチュートリアルは終了になります。
自由で楽しい冒険者生活を、『キメラスキルオンライン』の世界をお楽しみください。
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そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
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自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
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