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マネージャー
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久しぶりにツバサくんに電話した。
ちょっと緊張する。
すぐにツバサくんが出た。
「なぁな、久しぶり」
元気な声にホッとする。
「ツバサくん、元気だった?
今度、うちの学校で試合するんでしょ」
私の話に大きなため息をついた。
「あーバレてたか。
なぁなに秘密にして驚かそうと思ったんだけどな」
なんだ、それ。
かわいいなぁ。
「試合、楽しみだな。応援するよ」
ツバサくんが電話の向こうで笑う。
「ダメだよ、なぁなは自分の学校、応援しないと」
あはは、そうだよね。
「ツバサくん、投げるの?」
元気な声が返ってきた。
「うん」
良かった。
ピッチャーできるんだね。
「うん、あの後さ、マネージャーが、
色々と相談に乗ってくれて、
練習も毎日付き合ってくれてさ、励ましてくれた。
気分転換にって、遊びにも付き合ってくれるんだよ。
それでどうにかピッチャー出来る事になったんだ。」
マネージャー。
ちょっと胸騒ぎがした。
マネージャーってそんな風に、
個人的に親身になるものなの?
そうなの?
「マネージャーさんに感謝しないとね」
心とは裏腹な言葉が出る。
「うん、そうだよね。お礼しないとだよね」
え、私、お礼なんて言ってない。
気になる。
だけどこれ以上は聞けなかった。
ツバサくんも野球の話から逸れて
映画の話に夢中になっていた。
「ねぇ、いい?」
そう聞かれて我にかえる。
あ、話、聞いてなかった。
どうしてもマネージャーが気になる。
本能的に気になる。
危機管理だ。
「だからね、映画、行こうね。」
ツバサくんからの映画の誘いも、
半ば上の空でOKして電話を切った。
マネージャーって、どんな感じ?
みんな、そんな感じなのかな。
分かんない。
分からないから翌日、勇磨に聞いてみた。
「え、マネージャー?
アイツら俺専属になりたくてケンカしてんの。
他の奴の世話なんて誰もしないからさ。
先輩達、かなり怒ってる。
男のマネージャーつかねぇかなぁ。」
そっか、聞く相手が間違ってた。
モテ男だったもんね。
ほんと、この人のどこかそんなにいいのか。
「何、ナナもマネージャーやりたいの?
無理だろ、ナナはガサツだもんな」
ガサツ?
は?
なんて言った、今。
「ほら、そういう所だよ。
そんなケンカっ早いマネージャーはヤダな。
というか、マネージャーはさ、
男の世話したい下心ありありの子がするんじゃねーの。
ナナ、そういうの無理だろ。」
全国のマネージャーさんに謝れ!バカ!
それにしても、私をなんだと思ってるのか。
酷くない?
そう言う私にあからさまに不満顔になる。
「は?それを言うならナナの方が、
俺をなんだと思ってるの?
きっと俺、ナナの中で
ケチョンケチョンにされてんだろうなぁ。」
そう言って、こっちを見て笑う。
勇磨の笑顔はいいなって思う。
でもさすがにもう陰気野郎ではないけど、
中2病疑惑とコミュ力、国語力不足は否めない。
あと性格は悪いかな。歪んでる。意地悪だしね。
「あーさっきのマネージャーの話だけど、
やっぱりないかな。
それはマネージャーとしての仕事じゃなくて特別だな。
モテない奴でも気付くんじゃね?俺の事好きなの?って」
やっぱ、勇磨って意地悪。
散々、脱線して話が逸れたのに今、元に戻さないでよ。
しかも私が1番聞きたくない答え。
バーカ。
「なんだよ、何、怒ってんだよ。
感情の起伏ヤバイな」
もう、なんとでも言え。
落ち着こう。
あー。
落ち着かない。
やっぱ、そのマネージャー、ツバサくんの事、好きなのかな。
ダメダメ、考えない。
「えーでも意外だなぁ。
ナナもいっちょ前に男に興味あんだな」
頭の後ろで腕を組んで体をそらし椅子にもたれる。
「だってアレだろ。
野球部のマネージャーになりたいって話だろ。
何?ああいう王道スタイルが好きなんだな」
ケラケラ笑う。
そうか、そうか、と納得してる。
「うん、確かにマネージャーになって、カッコいい男の子の世話はしてみたい。
で、恋愛に発展するなんていいなぁとは思うけどさ」
まぁ、私には無理かな。
正直、面倒臭い。
横目でチラッと軽蔑の眼差しで私を見る。
「あーミアンもリノも同じようなことを言ってんな。
アイツらはそれを実行して罠を仕掛けて男をはめる。
家で作戦会議してんだぜ。すげぇ怖いよ。
ナナ、アイツらとあんまり仲良くするなよ。
ナナまでああなったら、俺の落ち着く場所がなくなる」
家族をなんて言いかた。
だけど、2人のあの美貌で落ちない男はいない。
更に罠まで仕掛けたらイチコロだ。
私も罠にかけて欲しい。
どんな罠なんだろ。
想像して1人で笑った。
不審な目で私を見る勇磨は無視だ。
ふと思った。
あの2人なら、どうするんだろう。
どんな罠を仕掛けてツバサくんを落とすのかな。
聞いてみたい。
ちょっと緊張する。
すぐにツバサくんが出た。
「なぁな、久しぶり」
元気な声にホッとする。
「ツバサくん、元気だった?
今度、うちの学校で試合するんでしょ」
私の話に大きなため息をついた。
「あーバレてたか。
なぁなに秘密にして驚かそうと思ったんだけどな」
なんだ、それ。
かわいいなぁ。
「試合、楽しみだな。応援するよ」
ツバサくんが電話の向こうで笑う。
「ダメだよ、なぁなは自分の学校、応援しないと」
あはは、そうだよね。
「ツバサくん、投げるの?」
元気な声が返ってきた。
「うん」
良かった。
ピッチャーできるんだね。
「うん、あの後さ、マネージャーが、
色々と相談に乗ってくれて、
練習も毎日付き合ってくれてさ、励ましてくれた。
気分転換にって、遊びにも付き合ってくれるんだよ。
それでどうにかピッチャー出来る事になったんだ。」
マネージャー。
ちょっと胸騒ぎがした。
マネージャーってそんな風に、
個人的に親身になるものなの?
そうなの?
「マネージャーさんに感謝しないとね」
心とは裏腹な言葉が出る。
「うん、そうだよね。お礼しないとだよね」
え、私、お礼なんて言ってない。
気になる。
だけどこれ以上は聞けなかった。
ツバサくんも野球の話から逸れて
映画の話に夢中になっていた。
「ねぇ、いい?」
そう聞かれて我にかえる。
あ、話、聞いてなかった。
どうしてもマネージャーが気になる。
本能的に気になる。
危機管理だ。
「だからね、映画、行こうね。」
ツバサくんからの映画の誘いも、
半ば上の空でOKして電話を切った。
マネージャーって、どんな感じ?
みんな、そんな感じなのかな。
分かんない。
分からないから翌日、勇磨に聞いてみた。
「え、マネージャー?
アイツら俺専属になりたくてケンカしてんの。
他の奴の世話なんて誰もしないからさ。
先輩達、かなり怒ってる。
男のマネージャーつかねぇかなぁ。」
そっか、聞く相手が間違ってた。
モテ男だったもんね。
ほんと、この人のどこかそんなにいいのか。
「何、ナナもマネージャーやりたいの?
無理だろ、ナナはガサツだもんな」
ガサツ?
は?
なんて言った、今。
「ほら、そういう所だよ。
そんなケンカっ早いマネージャーはヤダな。
というか、マネージャーはさ、
男の世話したい下心ありありの子がするんじゃねーの。
ナナ、そういうの無理だろ。」
全国のマネージャーさんに謝れ!バカ!
それにしても、私をなんだと思ってるのか。
酷くない?
そう言う私にあからさまに不満顔になる。
「は?それを言うならナナの方が、
俺をなんだと思ってるの?
きっと俺、ナナの中で
ケチョンケチョンにされてんだろうなぁ。」
そう言って、こっちを見て笑う。
勇磨の笑顔はいいなって思う。
でもさすがにもう陰気野郎ではないけど、
中2病疑惑とコミュ力、国語力不足は否めない。
あと性格は悪いかな。歪んでる。意地悪だしね。
「あーさっきのマネージャーの話だけど、
やっぱりないかな。
それはマネージャーとしての仕事じゃなくて特別だな。
モテない奴でも気付くんじゃね?俺の事好きなの?って」
やっぱ、勇磨って意地悪。
散々、脱線して話が逸れたのに今、元に戻さないでよ。
しかも私が1番聞きたくない答え。
バーカ。
「なんだよ、何、怒ってんだよ。
感情の起伏ヤバイな」
もう、なんとでも言え。
落ち着こう。
あー。
落ち着かない。
やっぱ、そのマネージャー、ツバサくんの事、好きなのかな。
ダメダメ、考えない。
「えーでも意外だなぁ。
ナナもいっちょ前に男に興味あんだな」
頭の後ろで腕を組んで体をそらし椅子にもたれる。
「だってアレだろ。
野球部のマネージャーになりたいって話だろ。
何?ああいう王道スタイルが好きなんだな」
ケラケラ笑う。
そうか、そうか、と納得してる。
「うん、確かにマネージャーになって、カッコいい男の子の世話はしてみたい。
で、恋愛に発展するなんていいなぁとは思うけどさ」
まぁ、私には無理かな。
正直、面倒臭い。
横目でチラッと軽蔑の眼差しで私を見る。
「あーミアンもリノも同じようなことを言ってんな。
アイツらはそれを実行して罠を仕掛けて男をはめる。
家で作戦会議してんだぜ。すげぇ怖いよ。
ナナ、アイツらとあんまり仲良くするなよ。
ナナまでああなったら、俺の落ち着く場所がなくなる」
家族をなんて言いかた。
だけど、2人のあの美貌で落ちない男はいない。
更に罠まで仕掛けたらイチコロだ。
私も罠にかけて欲しい。
どんな罠なんだろ。
想像して1人で笑った。
不審な目で私を見る勇磨は無視だ。
ふと思った。
あの2人なら、どうするんだろう。
どんな罠を仕掛けてツバサくんを落とすのかな。
聞いてみたい。
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