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eスポーツ部誕生

19 チュートリアル4

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「チャンピオン四人相手なんて絶対に勝てっこないよ」

 真紀は悲痛な面持ちで速人を見た。

「真紀さん、落ち着いて。このチャンピオン達は味方だよ」

「えっ?! そうなの?」

「今やっているのは五対五のチーム戦のチュートリアルだよ。自分以外の四人をAIが操作してくれるんだ。この五人のチャンピオンで敵の本拠地でへ攻めていく。そこに近づくにつれ、攻撃は熾烈しれつになるけど仲間が四人もいるから大丈夫だよ」

「よし、やってみるね」

 海賊が進みだすと同時に、他の四人のチャンピオンも進撃を開始した。
 すぐに敵のミニオンとチャンピオンが現れた。同時に味方のミニオンも出現したので、敵味方入り乱れる大混戦となった。
 真紀はあまりの混乱ぶりで何が起きているか理解できず、海賊に何も指示できないまま、ただ眺めていた。

「一か所を集中して見るんじゃない。全体の動きを観察するんだ。音ゲーの大量の音符ノーツを追える君なら絶対にできるはず」

 真紀は暫くモニターを眺めていると眼球が高速に動き始め、それに合わせ徐々に敵の動きが追える様なってきた。

『見える、見えるわ』真紀はそう思い、海賊を操作すると、敵の動きを予測し最も効果的と思われる場所へ『E』キーを押し、スキル『レイニングバレット』を使った。

 見事に敵の集団に対して銃弾の雨を降らせ、チャンピオンとミニオン全員を倒すこと事ができた。

「真紀さん、グッジョブ! 続けてタワーを攻撃して」

 海賊は、他のチャンピオンと協力して、タワーを攻撃した。五人がかりなので、危なげなく破壊成功。
 しかし、喜ぶ間もなく敵のチャンピオンが二人同時に現れた。それでも、チャンピオンは五対二で、圧倒的に有利な状況だ。少し卑怯なようだが五人がかりで、敵チャンピオン二人を殲滅せんめつした。

「一体、何人出てくるの?」

「このゲームでは、チャンピオンが完全に死ぬ事はないんだ。敵、味方関係なく、倒されても暫くすると復活リスポーンするよ」

「じゃあ、倒しても無駄って事?」

「そんな事はないよ。敵チャンピオン倒すとゴールドや経験値が手に入るし、一定時間は復活リスポーンできないので、その間に攻撃を進める事ができるからね。さあ、敵の本拠地まで後少し。頑張って」

 真紀は速人の説明に納得すると、海賊を味方のチャンピオンと共に敵の本拠地に進め始めた。
 海賊達が先に進めば進むほど、敵の攻撃の激しさは増していく。しかし、真紀は海賊を適切に操り、順調に進んでいった。
 次に現れたタワーの後ろに、井戸とその穴に巨大な宝石が浮かんでいるような施設が見えた。


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