不死だらな転生者

ホー助

文字の大きさ
上 下
62 / 65

アラクネー

しおりを挟む
タツヤとチエが地下室に連れて来られ、暗殺者二人と対面する。


「絶対許さない!」


チエは怒りの言葉を暗殺者に向ける。


暫く誰も言葉を発しないがジンが動く。


無限収納からロングソードをゆっくりと取り出す。


「全部知ってる事は話した!
た、助けてくれ!」


「それでもミカを殺した事には変わりない。」


ジンは暗殺者の一人の首を跳ねる。


「これはチエの怒りの分だ。」



そう言いチエを見る。


チエは人間が目の前で殺されて青ざめるが決して目を離さない。


「そしてこれはタツヤの怒りだ」


そう言いもう一人の暗殺者の首を跳ねる。



タツヤも辛うじて嘔吐する事なく、その光景を目に焼き付ける。


「チルミル侯爵、後片付けは頼んでもいいでしょうか?
王都には明日の朝迎えに来ますので今日は一旦帰らせて頂きます」



「分かりました。
後の事はお任せ下さい。」


その返事を聞くとジンと二人の落ちこぼれ勇者は転移で自宅に戻る。


アリスとアウラが出迎えてくれる。


「戻って早々だが、少し行く場所柄ある。
夜には戻る。」


そう言いジンは一人でローチのダンジョンに向かう。


転移早々にジンは激しい嘔吐に襲われ胃の中が空になるまで吐きまくった。


日本からやってきたジンは使徒になったと言っても快楽の為に人を殺したりはしない。


そんなジンはチエとタツヤの為にあえて感情を押し殺し二人の前では人を殺しても眉一つ動かさなかった。


「こんなところは皆には見せられないな…」


そう言いその場に座り込む。


ジンの顔色は真っ青だ。


「勇者とその関係者を後何人殺せば…」


ジンは終わりの見えない殺生に苦しんでいた。


だが自分がやらなければ不幸になる人間が増える。


少なくとも同じ日本人として、しかも勇者を超える力を持つ人間としての義務であるとジンは考えた。


「それと子供を躾るのは大人の務めか…」



気付くと小一時間程ダンジョン内で休んでいた。



「さて、そろそろ戻ろうか…」


転移を他の冒険者に見られないよう念のためソナーのような魔法で周囲を警戒する。


「こんな所に隠し部屋か…」


自分の休んでいた直ぐ近くに隠し部屋を発見する。


「アリス達への言い訳ついでに丁度いい。」


そう言いジンは隠し部屋に足を踏み入れる。


そこには下半身が蜘蛛で上半身が美しい少女という姿のアラクネーが居た。


アラクネーは古くはギリシャ神話ににも出てきており、元は人間たったがギリシャの神のアテネーの怒りを買いこのような姿になったとされる。



「ギギキッ」


アラクネーが警戒する。


「ギリシャ神話と違い言葉を話す事は出来ないようだな。」



ジンは周囲を警戒すると数人の人間なのかモンスターなのかが糸でぐるぐる巻きにされていた。


ぐるぐる巻きなので糸を切って中を見てみないとなんとも言えない。


そんな事を考えていたジンに対しアラクネーは糸を吐き出してきた。


ギリギリの所でジンはかわすが、頬を少し切ってしまい血が流れる。


「捕獲の糸かと思ったら鋭利な使い方も出来るのか…」


ジンが間合いを一気に詰めると今度は糸ではなく霧状の液体を吹きかけてくる。


バックステップで距離をとる。


「危なかった、アラクネーと言えば神経毒か…」


再びアラクネーが神経毒を吐いてくるがジンはファイヤーウォールで壁を作り出し防ぐ。


この隙にジンはエアーカッターを放ち脚を数本切断に成功する。


もう一度エアーカッターを放つとアラクネーもバカではなく糸の結界でそれを防ぐ。



雷系のサンダーを放つも同じように糸で防がれる。


そしてアラクネーは尻の部分から人間の子供位の大きさの蜘蛛を大量に産み出す



「ちっ、埒があかないな」


そう言い蜘蛛のモンスター達を蹴散らしながら、再びジンはアラクネーに剣の間合いまで急接近する。


アラクネーは脚でジンを捕まえようとする。


「転移!」


ジンは転移の魔法を使ってアラクネーの臀部の上に転移する。


そして転移したと同時にアラクネーの美しい少女の背中から胸を貫いて剣が突き出る。



その一撃でアラクネーは動かなくなりアラクネーとその子供達は数秒後煙となって消えた。


「結構強かったけど鵺程じゃないな。」


目の前に現れた宝箱を無限収納にしまい辺りを見渡す。


「ぐるぐる巻きは残るんだな…」


アラクネーが捕獲したぐるぐる巻きの何かが残されていた。


短剣を無限収納から取り出し糸を切りながら中を確かめる。


「冒険者か…。
一応他のも確認しておこう。」


ぐるぐる巻きの中には既に死亡した冒険者が居た。


他のぐるぐる巻きを切り中を確かめていると


「ん?
これは勇者じゃないのか?」


黒髪の冒険者が中から出てきたので鑑定で見てみると勇者と確認出来た。


先程の冒険者も鑑定すると騎士とでて所属がサンギ国となっている。


「暗殺者が言っていた冒険者に偽装した勇者一行か…」


最終的に勇者2名と護衛の騎士8人だった。


「勇者が2人も居ればアラクネーといい勝負になりそうだが…。
ああっ、アラクネーの子供達の物量作戦に負けたんだな。」


見た訳ではないので勝手に想像する。


ジンは死亡している騎士と勇者を一カ所に集め炎で灰にする。


「地獄の炎!」



骨まで灰になるのを見届けジンは帰宅する。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

あまり貞操観念ないけど別に良いよね?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,711pt お気に入り:2

男が希少な「あべこべ世界の掲示板」

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:326pt お気に入り:32

異世界のんびり自由な流浪旅?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:163pt お気に入り:3,111

服を脱いで妹に食べられにいく兄

恋愛 / 完結 24h.ポイント:738pt お気に入り:19

転生したらハムハムすることに夢中です。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:475pt お気に入り:197

逆転世界で俺はビッチに成り下がる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:646pt お気に入り:226

処理中です...