姫は用心棒に守られて執着される

狭山雪菜

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番外編 彼を指名するのは私だけ クリスマス企画3週目  姫は用心棒


「メリークリスマス!」

宮殿のような内装と金色の手すりの螺旋階段、1階の広いワンフロアに沢山の赤い皮張りのソファーとお酒が載ったガラスのテーブルが並び、お酒の瓶が並ぶ棚の前のカウンターには、大きなツリーとライトとオーメント。
フロアの中心にはこのお店のイベントの日に、よく見るグラスが、ピラミッドのように積み上げられ、一辺1mの正方形のテーブルには赤いテーブルクロスがかけられている。テーブルと同じサイズの正方形の透明なアクリルのトレーは、この後行われるのは、このお店ーー"CLUBクラブSnowスノウKingdomキングダム"のクリスマスイベントだ。
12月に入ってすぐ、毎週末に行われるクリスマスパーティーは、所属するホストに会いにくるお姫様が"推しのホスト"にプレゼントを持ってやってくるのだ。
推しのために高いボトルを入れたり高級品を持って渡したり、お姫様の思惑はそれぞれで恋に一生懸命で微笑ましい。
なんて余裕を持っているのは、私――本名は晶子あきこ、あだ名はマイだ。ボーイに促されるまま、フロアを通り過ぎて奥へと入る。


つい半年前にいつも一緒に遊んでいた友達に恋人が出来てしまい、なかなか一緒に遊べなくて繁華街を歩いていたら新人ホストに声をかけられた。
しつこい勧誘に嫌な気持ちにはなったが、私の愚痴を聞いてくれ、なおかつ一番安いお酒を頼んでもいいと言われたのでついて行くと、お店の入り口にガードマンみたいな体格の男性に一目惚れしてしまった。
彼に会いたくて声を聞きたくて、新人ホストに誘われたていで毎週末通っていたら、ひょんなきっかけで付き合う事になって、今や同棲中だ。
そんな同棲中の私がなんでまたこの・・ホストクラブにいるのかというと…お店のガードマンだと思っていた男性は、実はこのホストクラブのオーナーで、イベントの日や金曜日から日曜日までは必ず出勤しているので会いに来たのだ。

「あれ?マイ、飲んでる?」
そう言うのは歩く私に声を掛けた張本人、このお店を知るきっかけをくれた新人ホストのアキヤだ。私のグラスに入ったこのお店の一番安いウーロンハイを注文する私を嫌そうにするでもなく、体調悪いの?と心配してくれるアキヤは心優しいホストだ。
――こんなに優しくてホストが出来るのすごい
お姫様――女性から指名やボトルを入れる事によって成り立っている仕事なのに、毎回最低限の支払いしかしない私の相手をしているのだ。
「…うん、飲んでる…ごめんね、あんまり頼まなくて」
「そんな事ないよ!久しぶりにマイの顔を見れて嬉しい!」
元気に返事をしたアキヤは嬉しそうに、両手をぶんぶんと振る。普段ならイベント日は避けるけど、今日は24日の土曜日。付き合って初めてのクリスマス・イヴなのだ。私がここに来たのはクリスマスに彼氏と過ごすためなのだ。
「でも、いいの?VIPルーム貸し切っちゃって、大丈夫?」
アキヤの眉が下がり、心配そうな表情をするのも無理はない。私とアキヤがいる場所はこのクラブのVIP専用ルームで、ルーム料金だけで1時間5万するのだ。他に食べ物や智也と乾杯する用にボトルも注文したから、今日はものすごくお金を使う日だ。
――貸切は3時間だけだけど…
壁面に青色の照明で照らされた水槽が埋め込まれて魚が泳いで、薄暗い室内で照明を絞った紫色の間接照明、L字型の皮張り黒いソファー、前にはガラスのテーブルが置いてあり、ソファーの横には観葉植物が置いてあるこの部屋は、私と彼氏の距離が近づいた――結ばれた所だ。
「うん、平気…このために今日まで貯金してきた」
彼氏と一緒に住むようになって、一般的な事務員の私が繁華街から近いタワーマンションへと引っ越すと、高い家賃など払えるはずもなく彼氏が負担している。その分貯金に回して、光熱費や生活費も彼に渡してはいるけど…いつも要らないと眉を顰めるのだ。
――本当はお会計が怖いけど…ちゃんと貯金したお金は持ってきたし、クレジットカードクレカも持ってきたから…大丈夫だよね…?
現金で足りない部分はクレカで支払おうと思ったけど、今更ながらそんな事できるのかと不安になってきた。
「…でも、この部屋チャージしてるの、シロさん気がついているこかなぁ」
「…多分知らないと思う…でも前にVIPルームを使用してる人がいたらオーナーが挨拶するって言ってたよね?」
「うん、そうだよ~一応個室だからね」
VIPルームは誰にも邪魔されないように、扉も付いているから密室になるのはもう経験済みだ。
――だってここ・・で初めてキスをしたのだ

あの時の事を思い出して頬が少し熱くなると、アキヤがギョッとして慌て出す。
「マッ、マイッ!その顔を今されるとっ、シロさんが入って来たら殺さ…」
変な事を言い出すアキヤにキョトンとしてアキヤを見つめ返すと、アキヤはゔっと顔を真っ赤にした。
彼女は彼氏に出会う前までは奇抜なメイクと金髪のウィッグを付け、変な男から執着されないように装っていたのに、今や彼氏が守ってくれる安心感から、キラキラと艶めく黒いロングストレートの髪を下ろし、黒いタイトなミニスカートのドレスと胸元と腕を隠すピンクのフェイクファーケープボレロを着ていた。腰はキュッとしまっており、ミニスカートから覗く白い脚は細くスタイルの良さを際立たせている。足を組み黒いピンヒールがローテーブルからチラチラと覗くと、艶かしく意識をしないと彼女に見惚れてしまうのを、アキヤに気を許している彼女だけは気がつかない。
今まで散々粘着質な男に目をつけられてきた彼女は、原因はこの顔のせいだと思っているの節があり、それだけじゃなく守ってあげたくなる庇護欲をそそられる雰囲気とスタイル抜群のその身体にも影響があると思うアキヤだった。
しかしこのホストクラブのオーナーである、シロさん――白崎智也しろさきともやと付き合ってからのマイは、自由に羽ばたけるようになった小鳥みたいにのびのびと幸せオーラを放っていて、彼氏を知らない人からしたらふらふらーっと近づいてしまいそうだ。
――白崎智也しろさきともや、CLUB Snow Kingdomを作った創設者。基本的に黒いスーツと白いYシャツ姿で出勤し、冗談抜きで用心棒のように大柄で強面の顔のオーナーは、いつもはお店の奥にいる。それが変わったのは…いつなのか、そう初めて彼女マイをお店に連れて行った日、たまたまお店の外にいたオーナーはやって来た彼女に一目惚れをした。それ以来、彼女が来る日を業務の一環として教えなければならず、彼女が来ない週があるとヘマでもしたのかとヤクザばりに凄まれた。
そんな俺でも持ち前のポジティブシンキングでオーナーとマネージャーからの圧にも耐えられたのは、彼女がお店の外にいるはずのオーナーに視線を向けているのに気がついたからだ。
『ホストたるもの、お姫様の一挙一動を見逃すな』
強面の顔からこんな目標スローガンが掲げられているのにもびっくりだが、そのおかげでこうして彼女の想い人が誰なのかを知る事が出来たのだ。


「こんなところで何をしている」
「智也っ!」
VIPルームにやってきた彼氏の智也を見て、嬉しくて満面の笑みが溢れる。立ち上がって近く美しい彼女の笑みに智也も彼女を見る向け視線は優しいが、腕の中に晶子を入れた瞬間に部下に向ける眼差しは厳しい。
「なぜ彼女をVIPルームに?」
久しぶりに聞く低い怒った声がアキヤを責めるが、晶子は彼の胸から顔を上げてアキヤの代わりに返事をした。
「私がアキヤに言ったの、勤めてるホストじゃないとVIPルームはリザーブ出来ないってアキヤが言うから」
「…じゃっ、じゃあ、もう行くよ」
オーナーの怒りに焦って部屋から出ようとするアキヤに
「もう少し一緒に飲まないの?」
と首を傾げる晶子は、まだ早いんじゃないかと思って引き留めてしまう。それにムスッとする智也は、アキヤを睨みつけながら
「アキヤはまだ少し・・・・ノルマがあるからな、代わりに俺が相手をしよう」
晶子をホストクラブに連れて来た時から、順調に新規客が付くようになったアキヤにはノルマなんでないのに、オーナーにそう言われれば、出て行くしかなくなる。
「うぅ…ごめんねマイ、また来てね」
「うん、わかった頑張ってね」
ホストとお姫様じゃなくて、同世代ぐらいの感覚でマイと話す時間が楽しいアキヤが泣く真似をすると、オーナー直々が側にいると知ると、彼氏が一番な彼女はあっさりとアキヤを見送った。


「これ、全部頼んだのか」
珍しく驚く表情を見せる智也に、サプライズが成功したと嬉しくなる。ソファーに座る彼の右片足に横向きで座り、テーブルに並べられたフルーツ盛りのメロンを彼に食べさせていた。いつぞやの出来事のように、今度は私が彼に食べさせている。
「うん、本当はもう少し豪華にしたかったけど…気に入った?」
私としては智也のためにお金を使うし、そのお金は智也のお店の売り上げにもなるから一石二鳥だと思ったけどら智也の眉は寄せられたままだ。
「…いや、ありがたいが…このお金はどうした?」
「どうっ…て、家賃代とか入れてないからそのまま貯金した分だよ…嬉しくない?迷惑?」
思っていた反応と違って少しだけ悲しくなると、智也は私の頬をさらりと撫でた。
「嬉しいが…他の男と2人きりでいると思うと腹立たしい…そのお金は自分に使え」
智也の言っている事は正しいんだけど、
「初めて…のクリスマスだから…智也と一緒に居たかっただけ」
私も自分の想いを伝えたけど、確かにアキヤの名前でVIPルーム貸し切っちゃたから、他の男と言われたらそうかもしれない。
「…ごめん…なさい…やっぱり家で待ってればよかった」
自分のした事がすごく自分勝手に思えてきて、しょんぼりとしてします。
「そう言う意味じゃ…確かアキヤが取っていた時間は3時間だったな」
「…?…うん、そうだけど…」
本当はお店が閉店するまでVIPルームを貸切たかったが、アキヤはまだ新人だしクリスマスの時期だし、私もVIPじゃないから3時間が限界だったようだ。
「なら、俺が買い取ろう」
私の顎に手を置いた智也は低い声でそう囁くと、私の唇に自分の唇を重ねた。



「ふ…、ん…っ、…ん」
智也に食べさせていたフルーツの盛り合わせのお皿を取られ、智也の視線に促されフォークでメロンを刺して智也の口の中へ入れると口を塞がれ、まだカットされたままのメロンが私の口の中へと移った。一口サイズといっても、割と大きいメロンが口の中にあると、キスもまともに出来ない。メロンを噛むとメロンの果汁が口の中に溢れてゴクンと飲み込むと、智也も私の口内からちゅうちゅうと吸いついた。メロンをお互いの口に移しては、少しずつ食べていきあっという間になくなってしまう。
「…次は、何食べたい」
「…い…ちご」
舌を絡めとられてぼうっとする私に、智也が次のフルーツをお皿から直接取って自分の口の中へと入れた。フォークをお皿の上へと置いた私は、彼に誘われるように彼の口に自分の口を重ねた。智也の首のうしろへと腕を回して、メロンの時と同じように2人で味わう。
口の中にいちごが無くなっても、キスは止まらずお互いの舌を貪り絡める。智也の開いていた足が閉じるように動くと、私はキスを続けたまま智也の腰の上へと跨り向かい合わせに膝立ちをした。上から見下ろすように智也の口の中に自分の舌を入れ、彼の口内を貪る。
「っ、ん、んふっ」
微かなアルコールにフルーツといつも吸っているタバコの味が混ざった智也の口内をうっとりとしながら堪能していると、智也の手が私の腰を掴み揉み始めた。
「っ…ん」
唇を離せば、おたがタイトなミニスカートだから、彼の上に座ったら足を広げて座らないといけないから下着が見えてしまう。クリスマスという恋人のイベントのために…彼のために用意したこの日の服。
「どうして隠す」
面白くないように話す智也は、私の首から下にあるピンクのフェイクファーケープボレロでボタンで留めている事が嫌みたいだ。腰からボレロの中へと手を忍び込ませた智也は、ワンピースの上から胸を揉んだ。
「ん…だって…ファーないとっ、寒いし…っあ」
もう冬だ、寒いからファーを羽織らないと風邪を引いてしまう。だけど智也が何を言いたいのか、私は気がついてるのだ。手を上げて首から留まっているボタンを外していくと、私の素肌が露わとなっていく。L字のソファーの背もたれに投げると、ファーはズリ落ちて座るところに落ちた。首から下、大きく開いた胸元の膨らみまである赤い所有印が、腕の内側にも無数ついている。服から見えないところにも内腿のミニスカートの下、ぎりぎり隠れるところまで付いている所有印を、普段隠す事を許さないのは、この証を付けた張本人の智也だ。
情事の色を残したまま外を歩くのは、流石の私もそこまで神経が太くない。
それにいくらなんでも智也が一緒に居ないといまだに変な男に声を掛けられる事もあるので、逆上した男相手に立ち向かえる程私は強くない。
「…晶子…綺麗だ」
私の首や盛り上がった胸についている自分がつけた証を、ひとつひとつ確かめながら指先で触れる智也は目を細めて嬉しそうだ。少し触れただけの僅かな触れ合いにも、嬉しく感じる。
「…ちゃんと…触って」
そう言って彼におねだりのキスをすれば、くくっ、と笑った彼が私の寄せて上げている盛り上がった胸元に指を引っ掻けて下ろす。胸元のドレスがウエストまで勢いよく下されると、ぷるんと弾けた乳房が揺れる。
「…何もつけてないのか」
ブラをつけてない事を咎める智也の声に、ゾクゾクっとしてしまう。
「うん…だって、つけたら身体のラインが…くずれちゃ…っ」
全てを言い終わる前に智也の顔が、私の乳房に近づき口にする。ちゅぅ、と強く吸われ、舌で硬くなった粒を転がし甘噛みする。交互に乳房を口にし、智也の手も口にしてない方の乳房を揉み、粒を爪で引っ掻き摘みこねる。
「んんっ、んっ、ぁっ」
いつだって綺麗でいたい、智也にだけ愛されたい。日々一緒にいると、そう思う事が増えてきて、ついに彼好みの女になる事に努力を惜しまなくなった。エステに行ったり、夜な夜な自分で脚や腕をマッサージをしたり、元々の素材がいいからそんなの必要ないと思っていたのに、智也に飽きられてしまうのが怖くなってしまった。
――好き
シンプルな気持ちなのに、彼を繋ぎ止めるためだけに溢れる欲を抑える事が出来ない。困った事に、それが嫌だと思えない。
私が綺麗になっていくにつれ、更にねちっこくなる智也とのえっちは求められているのを強く感じて嬉しい。執拗に身体につけられた赤い証を、お風呂に入る時や鏡に映る自分を見ると満たされている。気のせいかもしれないけど、ほんの1、2時間だけど最近では帰りも早くなった気がする。
まさか私が男に溺れる日が来るなんて、思いもしなかった。 

「…好き」
私の乳房に顔を埋める智也の頭を抱きしめながらそう告げると、智也の顔が上がり、お互いの視線が絡むと自然と顔が近づき唇が重なる。
「…俺も…愛してる」
低く掠れた声の智也は、私のタイトなミニスカのドレスから出ている太ももに手を這わす。スカートもずり上がると黒い下着が現れ、智也の手が私の下半身に触れた。下着の上から智也の指先で押され、智也の指先がヌルッと滑る。下着の中に指先が忍び込み、2本の固い指先が蜜壺へ吸い込まれるように入る。智也とのキスと胸の愛撫だけで十分に潤った蜜壺は、美味しそうに智也の指先をぎゅうぎゅうに締めつける。溢れた蜜が彼の指先から手へ伝うと、激しくなっていく蜜壺の中を広げる攻めにだんだんと物足りなくなってくる。
「あっ、なっ…んでっ、んっ、っ」
わざと私の感じる所を外す彼に、本能で身体が動き彼の指先を当てようとするが、するりとかわされる。私の乳房への愛撫に夢中になっている智也へ、そう不満をぶつけるため私の腰に置かれた智也の左手の上に自分の手を重ねると、やっと私の胸から顔を上げた智也は欲情に塗れた鋭い眼差しを私に向けた。
「…好き…なの」
――カッコいい、どうしよう
持て余す気持ちを抑えられず、また彼に好きと告げる。智也は返事の代わりに噛み付くような激しいキスを返すと、腰を掴まれた手が腰を下ろすように促す。一度背後に倒され落ちないように智也の首の後ろへと腕を回し、膝を上げて靴を履いたままソファーに足をつけると、彼の前でスカートが上がり下着を露わにしたまま両脚を広がった。下着をズラされ、いつの間にくつろいだのか分からないけど、彼のスーツのズボンから飛び出した昂りの先端が私の下半身に当たる。何度か蜜口を彼の昂りの先端が行き来して、グチュ、グチュと粘音を立てる。
「はっ…ぁっ、っ」
息を深く吸い私の全身の力が抜けると、私の準備が終わるのを待っていたかのように智也の昂りが蜜口をいっぱいに広げながら奥へと入っていった。腰を掴まれ、一気に最奥まで貫かれた。
ズンッと強い衝撃に軽く達すると、休む間もなく下からの突き上げか始まる。
「ぁっあっ、ぁっ」
大きくなる甘い声に我慢が出来なくて彼の口を塞ぎ、唇を貪るとお互いを強く抱きしめ合う。下から突き上げられ、快感に溺れた身体はもっと感じたくて腰を前後に動かす。お互いの欲を思いの丈だけぶつけ、ソファーの革の擦れる音が微かに聞こえる。
下からの突き上げに絶頂がやってきて、彼の舌を思わず噛んでしまうと、彼は腰を上げて私の蜜壺の最奥へと熱い証を勢いよく注いだ。その熱さに耐えきれず、私の意識がぷつりときれてしまう。





「…今から行く、ああ、帰らすな」
グチュグチュと音を立てながら、結合部から白い証がドロリと溢れるのだが、気にせず抽送が続く。彼が喋るたびに僅かに蜜壺に入る角度が変わり、死ぬほど気持ちいい。電話中の彼のせいで声を上げる事も、快感で頭がいっぱいになった私も途中で止められる事も出来ない。Yシャツのボタンを外しただけの、彼の胸元に唇を押し付けてたまに噛む。次第に彼の胸元は私の歯形の跡が多くなり、それもまた嬉しくて舌を這わせると余計に彼を煽ってしまい抽送が激しくなる。
「…待ってろ、すぐ戻る、勝手に弄るなよ」
自分だけ私の蜜壺なかに達した後、サッと身なりを整え部屋から出て行ってしまうと、中途半端に快感が残り悶える。
――酷いっ、ひど…いっ
下を触りたくてうずうずするのに、触ったら自己嫌悪になるのが分かるからソファーにぐったりして彼が来るのを待つしかない。触るなと言われた、彼の言いつけを守っているのに、胴体におさまったドレスが少し動くだけで私の肌を刺激して頭がおかしくなりそう。


永遠にも感じた時、VIPルームの扉が開いた。待ちに待った彼がソファーに座る私の前に立ち、無言で私を見下ろす。逆光で見えない彼の顔、だけど身体中に刺さる熱い視線を感じる。
「…とも…や…はや…く、来て」
智也が去った時と同じ格好の私は足を上げると、潤む瞳で彼を見上げて満たして欲しいとねだった。




***************



「…終わったのか」
閉店するまでVIPルームに近寄るのを禁止にしたオーナーが出てきたのは、閉店してホストも客もいないシンとした時だった。
もう帰る準備をしていたマネージャーは、気怠げに来たオーナーを見て呆れた顔をした。
「全く、イベントの日は私的にVIPルームの使用すんな」
売上が落ちるだろ、とぶつぶつ文句を言うマネージャーに、オーナーである智也は開き直った。
「ふん、ちゃんとチャージ料も飲食代食べもんも、なんならチップもくれてやる」
そう言ってこれ以上責められる前にマネージャーを店から追い出し施錠すると、1人店の奥で酒瓶を漁りウィスキーのロックを作った。
『初めてのクリスマス…一緒に居たかったの』
ホストクラブに来た理由を執拗に聞く俺に、頬を染めた彼女が可愛らしい事を言ったので頭の中の理性の糸が切れた。
途中何度かオーナーとして顔を出さなければいけなかったが、それ以外はVIPルームで彼女と愛し合っていた。
「…プレゼントは…後で渡すか」
柄にもなく内緒で買ったのは、某ブランドのバッグ。帰ったら渡そうと思っていたが、彼女が店に来るなんて知らなかった。オーナー室にあるソレ・・を後で取りに行くのを忘れないようにして、疲れた彼女を家へと連れて帰るべくVIPルームへと向かった。


次の日の午後やっと身体が動かせるようになり、お財布を開けたらお金はそのままだし領収書もなかった。
その事を智也に聞くと、
「俺が払うと言ったろ」
といい、なんなら
「いいな…イベント日前後は店に拘束されるが、支払いさえすれば一緒にいれるな」
ふむ、と智也から零れたひと言が、本気なのかジョークなのかわからないまま、改めて2人きりのクリスマスパーティーをした。お互いプレゼントを交換し、彼の愛用しているブランドのお揃いのキーケースを渡すと喜び、彼からのプレゼントは某ブランドのバッグで、あんまりブランドに興味のない私も値段を知っているほどのバッグを貰い、
――これ持って歩いたら盗まれそう
などと現実的な事を考えてしまい、智也といる時にしか使わないと心に決めた。


しばらくお店のイベント前後にVIPルームを貸し切っていたが、『店の売上を稼ぐ時にお前が借りたらおかしいだろっ』と、マネージャーに怒られたオーナーは、
「なら作ればいいだろ」
と他の男と一緒にいて欲しくないがために彼女をお店のホールに出す事なく、使用されていなかったオーナー室の横の部屋を改装して2人の時間を楽しんだとさ。
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