46 / 183
とうとう…亜耶
しおりを挟む翌日。
学校に登校してる途中で、悠磨くんを見かけた。
声をかけようと思ったけど、やめた。
何て言えばいいのかわからなかった。
同じ学校に通ってるのに、クラス違うし部活でしか会わないからどう接すればいいのかわからなくなってしまった。
それから、教室に入れば。
「亜耶ちゃん、おはよう。来て早々なんだけどさ、文化祭の役割分担決めないと不味い。」
って、龍哉くんが焦った声でかけてきた。
あっ、そうだった。
文化祭は、二日間あって、一日目は生徒だけの二日目は、一般・父兄が参加できるとあって、結構大変だって、お兄ちゃんに聞いたことある(実際に来た事あるけど……)。
「おはよう、龍哉くん。そうだね。当日の当番は、時間帯を区切ってクラス全員でやる事にして、装飾、備品作り、買い出しに分けた方がいいよね。」
私は、自分の席に着きメモ用紙を取り出した。
「そうだな。早めに決めて動いた方がいいな。」
龍哉くんと会話しながら、メモ帳に。
"例の件、梨花ちゃんに話して良いって許可が下りたよ"
と書いて、龍哉くんに見せる。
"ホント。ありがとう。これで、梨花に秘密にしなくてもすむ"
って、ホッとした様子だ。
「おはよう、龍哉。亜耶。」
調度良いタイミングで梨花ちゃんが登校してきた。
「おはよう、梨花。」
「おはよう、梨花ちゃん。」
龍哉くんが、顔を綻ばす。
梨花ちゃんの事、ホント好きだね。
何て見ていたら。
「二人で、何の相談?」
梨花ちゃんが、私に鋭い視線を向けてきた。
"梨花ちゃん、それって嫉妬ですか?" って聞きたくなるくらい鋭いんですけど…。
「ん? あぁ、文化祭の事だよ。ほら、やること決まったのに、細かいこと決めてないだろ? それでその相談な。」
龍哉くんが、梨花ちゃんを宥めるように言う。
「梨花も、何か案出してくれるか?」
龍哉くんが、梨花ちゃんに言う。
「じゃあさ、法被作らない? 屋台なんだしさ、法被着て接待しようよ」
って、梨花ちゃんが、はしゃぎながら言う。
法被か……。
それいいかも……。
「それ、いいね。亜耶ちゃん。高橋先生と買い出しお願いできないか?」
龍哉くんが言い出す。
ん?
あぁ、確かに遥さんなら色々と知ってそうだしね。
「亜耶だけ? ずるくない」
口を尖らせて言う梨花ちゃん。
梨花ちゃんの意見はごもっともなんだけど、私以外あの席に座って欲しくないので、お断りしたいです。
「遥さん、一緒に行ってくれるかなぁ……。」
って、つい名前で呼んでしまった。
そう、龍哉くんと話してる時は何時も名前呼びしてるから……。
気が緩んでる証拠だよね。いくら、梨花ちゃんに話すって決まってるって言っても、話してないのにその目の前で、名前呼びするなんて……。
自分でも、軽率だったと思う。
「今、 "遥さん" って言った。しかも、極自然に……。何で、亜耶だけが遥さん呼びなの!」
と、梨花が大きな声で言うから、クラス中が私の方を向く。
龍哉くんが、焦った顔をして梨花ちゃんを見る。
「えっ、あっ……。」
私も焦ってしまって、何て言ったらいいかわからず、あたふたしてしまう。
気付けば、周りにクラスの子(女子)が集まっていた。
うわ~、どうしよう……。
「こら、ホームルーム始めるぞ。席に着け!」
タイミング悪く遥さんが入ってきた。
「高橋先生。鞠山さんとの関係はなんなんですか?」
梨花ちゃんが、遥さんの方に質問をしに行った。
それに続くように、他の女子も遥さんの方に近寄る。
あ~、もうダメだ。
遥さんが、私の方を見てくる。
ちょっと、困った顔をしながらも笑顔の遥さん。
私は、遥さんに向かって、手を合わせて "ごめんなさい" って謝った。
「わかった。話すから、取り合えず席に着け。」
遥さんは、そう言って皆を席に着かせると、私に向かって手招きし。
「亜耶。おいで。」
って、甘い声音と笑顔で呼ぶ。
周りでは、信じられないと声とざわめきが起きる。
そりゃあ、そうだろう。
遥さんの笑顔物凄く優しいもの。
私は、遥さんの所に行く。
隣に並び私と目を合わせた後、手を握ってくれた。
そして。
「俺と亜耶は、夫婦だ。」
と、堂々と宣言したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
思わせぶりには騙されない。
ぽぽ
恋愛
「もう好きなのやめる」
恋愛経験ゼロの地味な女、小森陸。
そんな陸と仲良くなったのは、社内でも圧倒的人気を誇る“思わせぶりな男”加藤隼人。
加藤に片思いをするが、自分には脈が一切ないことを知った陸は、恋心を手放す決意をする。
自分磨きを始め、新しい恋を探し始めたそのとき、自分に興味ないと思っていた後輩から距離を縮められ…
毎週金曜日の夜に更新します。その他の曜日は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる