偽りの姿(仮)

麻沙綺

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32話 もしかして運命?…成瀬side

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  あれから、あいつはこの教室に戻ってくることはなかった。

  期末の順位も一気に落ちて、周りから心配されてるが、別人になってるなんて誰も気付いていない。イヤ、一人だけ気付いてるか……。

  気付けば、夏休みに入っていた。

  夏休みの間は、寮は閉鎖しているなので俺は、家に戻っていた。

  夕暮れ時、何気に家を出てぶらつこうと近所を歩いていたら、目の前に見知った姿を見つけた。双子の姉唯華の隣を歩く女の子。
  だが、違和感がある。
  俺が知ってるのは、男の格好をしたヤツで、女の筈がない。
 
  アイツの兄弟か?
  でも、あいつは一人っ子の筈だ。
  じゃあ、誰なんだ?
  俺の見間違いか?


  そのうち十字路に出て、唯華がその子に手を振って別の道を歩き出した。
  その娘が向かう道を少しだけ先回りをして、前から顔を見ることにした。

  俺は、驚いた。
  って言うか、驚くことしかできずその場で立ち止まった。
  だって、幸矢本人が、目の前で女子の制服を着てるんだ。

  ってことは、俺の想いは封じ込めなくてもいいってことだろ?

  幸矢がだんだんと近付いてくる。
  心臓が、バクバクいってる。
  それをなんとか押し留めて。

「あれ、幸矢じゃん」

  って声をかけた。
  幸矢は、一瞬誰って顔を見せた。
  あんなに傍に居たのに酷いヤツだな。
「幸矢。俺だよ、俺。」
  もう一度そう言えば。
「成瀬……。」
  下の名前で言ってもらえなかったが、思い出してくれただけで、俺は良しとした。
「何で……居るの?」
  幸矢の呟きに。
「夏休みだから、帰省中。で、何で、幸矢はここに……。」
  俺は、そう返して幸矢が思案させるから、何か訳ありなんだと悟った。
「話せば長くなるけど……。」
  そう返してきたから。
「そうだな、どこか入るか。」
  俺が提案すれば、幸矢も頷いた。


  まさか、こんなところで会えるとは思っても見なかった。
  もしかして、これって運命(?)ってやつなのかも。



  そんなわけ無いのにな。









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