箱の中身は最後の希望らしいですよ

いのうえもろ

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序章:箱の中身は最後の希望らしいですよ

箱の希望はチートらしいですよ

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 自慢になってしまうが、俺はかなり強い。空手の全国大会で二年連続優勝し、今年の夏も優勝するつもりだった。

 幼い頃から親父おやじに叩き込まれた武術――、実は空手じゃない。細かいことは省くが鎌倉時代あたりから受け継がれている古武術で、素手の他に刀も槍も弓もある。部活では空手のルール内でつかえる技だけを使っていた。

向こう厄災も気付いて来たみた~い! やること、もうわかっているよねっ?!」

「あぁ、わかってる! とりあえず、ぶっ飛ばせばいいんだろっ?!」

 パンドラが笑顔のままそう言うと、すばやく部屋の隅に移動する。俺はパンドラへ吐き捨てるように答えると、ベッドから降りて構える。
 同時に、窓が割れ蜥蜴頭とかげあたまに人間みたいな体の怪物が飛び出てきた。

 蜥蜴人リザードマンだ。

 同級生のふにゃ顔が一瞬浮かび、教わったファンタジーな世界の知識を思い出す。
 強面の俺にも遠慮なく話しかけてくる変な奴。いつもコスプレの誘いがしつこかったなぁ。

 窓を割って飛び出してきた一匹目を、左の拳槌打ちハンマーでベッドに叩き落とす。ワンバウントしたリザードマンの影から窓の方を見る。一、ニ、三。
 飛び道具はないらしく、三匹のリザードマンが這い上がってきていた。

「全部で四匹かっ!?」

「まだ窓の外に一匹いるよ~」

 見回しつつ数え叫ぶと、ありがたいことにパンドラのフォローが来た。
 叩き落とした奴の左側、俺から見て右側から飛び込んできた二匹目のリザードマンに順突きを放つ。

「クケェ?」

 鳩尾あたりに拳が突き刺さり、ベッドへ汚物を吐き出しながら、言葉にならない声をあげて倒れる。

「きったねぇ。戦う前に飯食うんじゃねぇよ……」

 汚物を避けてぼやく俺。こちらの世界の生き物も、胃の位置は同じだったらしい。

 ちゃんと戦えることに嬉しくなってきた俺は、窓から入ってきた三匹目の蜥蜴頭とかげあたまを鷲掴みにして握り潰し、無理やり窓の向こうの二匹へ投げ飛ばす。
 大きめのナイフを構えたリーダーっぽいリザードマンが、仲間の体をすばやくくぐって避けた。
 もう一匹は仲間をもろに受け、そのまま倒れて、仲間と地面に頭を挟まれ絶したっぽい。ラッキー! これで四匹。

 リーダーは仲間を潜った姿勢から、伸び上がるようにナイフを斬り上げてきた。

「おっせぇっ!!」

 頭を振ってナイフの腹をおでこを使ってずらし、左足を1歩出して床を強く踏み込む。
 そのまま左拳でフックのようにリーダーの右脇腹を持ち上げると、リーダーの体がくの字に折れ曲がった。
 なにかしらの臓器が弾け、その感触が左拳に伝わってきた。ちょっと気持ち悪い。
 それでリーダーは事切れた。

「よっし、終わった! あとはこいつらをどうするか」

 部屋を見渡し倒れたリザードマンのことを考える。

「終わったらちゃんと箱にしまってね!」

 パンドラがそう言って、手で箱を開ける仕草をする。床に落ちてた箱を拾い、パンドラの真似して箱を開けると、リザードマン達が光の粒になって箱に吸い込まれていった。

 これで災厄の封印完了!――らしい。
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