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七つの厄災【悲哀編】:悲しみは積み重なるものらしいですよ
はじめの街は歩いて数日らしいですよ
しおりを挟むとりあえず俺はこの家をでることになった。
この家は【微笑みのパンドラ】――一緒にいるパンドラがそいつだ――が、俺を介抱する為に作った小人家というものらしい。そして、残念なことに【微笑みのパンドラ】は一緒に行けないそうだ。なんでも、パンドラは、長くこの世界にいると、さっきのように厄災に見つかってしまうそうで、もし厄災に殺されてしまうと、受け持っている概念がなくなってしまうらしい。
例えてもらったが、【微笑みのパンドラ】が死んでしまうと、この世界の人々は微笑まなくなり、微笑むということがなんだったかわからなくなってしまうということだ。書物でも微笑みの部分は読めなくなってしまうらしい。
三日月型の笑いって微笑みだったのかよ。もう概念の前からしておかしくねぇか?
なんとなくわかったような、わからないようなまま、俺は【微笑みのパンドラ】に示された方向に歩いていくと、横幅の大きな道にでた。
石畳で舗装されているくらいだし、これが街道で間違いないだろう。たぶん……。
後はこの街道を南に向かって数日いくと、一番近くの国【アテナイ】の辺境の街【プロタトス】に着くそうだ。
俺は空を見上げると、太陽の位置を確認する。今が何時かわからないが、日が落ちるまではまだまだありそうだ。
「南って……どっちだ?」
しばらく歩いているが、すれ違う馬車も人もないまま日が傾いてきた。まだまだ明るいが、真っ暗になってから準備すると焚き火すら難しいって、サバイバル生活ガイドブックに書いてある。俺は街に急ぐ気持ちをぐっと抑えて野宿することにした。
実は【微笑みのパンドラ】からは、旅をするための道具もいくつかもらっている。このサバイバル生活ガイドブックもその一つだ。ファンタジーなこの世界らしく魔道具と呼ばれているそうだ。
所持品一覧
・サバイバル生活ガイドブック薄いけど数千ページある不思議な本。内容はサバイバル生活ガイドブック。著者【天然のパンドラ】
・小人家:手のひらサイズで地面に置くと大きくなる。大きなテントくらいの大きさ。
・鑑定眼:これで覗くと野草や動物などの説明がわかる。
・火口箱:そのまんまオイルライター。
・魔法瓶:いくら使っても水が減らない。冷温調整可能。キャップにあったか~いとかつめた~いとか書いてある。
なんだろう……見た目はファンタジーの欠片もない。その他に魔道具ではないが、手頃なサイズの鍋とか解体用のナイフとか旅に必要な物も一通り貰った。
そして、その全てが箱に入っている。
厄災を全て吐き出し、最後の希望まで出た箱は今、なんでも入るただの空箱になっているらしい。詳しいことはよくわかんないが、便利なのでよしとしている。
俺はガイドブックを見ながら、その辺にある大きめの石でかまどをつくり、集めた枯れ葉にライターで火をつけ、細めの枝から少しずつ薪を足して火を大きくしていく。上手くいったようだ。お次はかまどの上に片手鍋を乗せ、お湯をいれる。ペットボトルのキャップに書いてあったあったか~いの方に回して開けると熱湯がでた。
その辺にあるキノコと野草を鑑定眼で調べ、食べられるものを片っ端から鍋に突っ込んでいく。キノコに火が通ったあたりで鍋を火からおろし、塩と胡椒加え味を整えてできあがり。
できたスープも鑑定眼で覗いてみるとちゃんと説明がでてきた。
【雑多なキノコと野草のスープ】レア1
キノコからとけでた旨味に、辛みのある野草と匂いの強い野草がアクセントになったスープ。
煮すぎて野草の歯ごたえがなくなってしまっている。野草の歯ごたえは置いといて味は美味い。
腹ペコだったので鍋いっぱいに作ったのだが、あっという間に食べ終わってしまった。美味いものができると、人間欲がでてくるものらしい。
「……肉が食いたいなぁ……。」
思わずぼやくと、ぐぅ……と腹の虫も同意してくれた。
明日は肉を手にいれると腹の虫に誓い、俺は小人家のベッドで眠りにつくのだった。
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