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17話
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しおりを挟む「まさか、あの本を読ませるなんてな」
どうせ読みたいと言われて、簡単に読ませたのだろう。リラの願いを叶えるためなら、どんなことでもする。ルールなんてニールには関係ないのだろう。
もしかすると、第一王子という立場だから許されるとでも思っていたのかもしれない。ルールはルール。第一王子であろうと、ルールを破ってしまえば罰せられる。
ノワールも罪に問われるのではないかと思っていると、ソレイユ王国では禁止書庫を管理している人がいて、特別許可書というものを発行してもらえるという。それには持ち出す人間と、見せる人間の名前を記入するのだという。持ち出してしまったら、そのあとは本当に記入した通りにするのかは判断することはできないが、ノワールはルージュにしか見せていない。ただし、その紙に記入したのはノワールではない。ノワールが立ち去ってからゼファーが書いたのだ。
そのあと本は、カバンの底に入れてベッドの下に隠すということしかしていないけれど、誰にも見つからなければルールを守っていることになるだろう。
「ニールにも罰は与える。それより、ノワール国王陛下。こちらの者に案内させますので、部屋で休んでください」
「いいえ、大丈夫です」
「ありがとうございます、国王陛下。そうさせていただきます」
断るノワールを気にすることなく、ルージュは国王の申し出を受け入れることにした。先ほどとは別の部屋に案内されることになるだろうが、ノワールはルージュが言っても断る。だったら、今しか休ませるチャンスはない。
国王の言ったメイドは救急箱を持ってきてくれた人のようで、救急箱を持ちながら「それでは、案内させていただきますね」と笑顔で言うのでノワールもそれ以上は何も言わなかった。
せっかく救急箱を持って来てもらったのに、使うことはなかったのだ。手間を取らせてしまったのだから、ノワールも何も言わなかったのだろう。
「あとで食事を運ばせる」
国王のその言葉を聞いて、もう一度お礼を言うと、ルージュはノワールの腕を引っ張ってメイドの背中を追いかけた。
部屋に行こうとしないわけではないが、途中で倒れても困るからと手を離すことはしなかった。もしも倒れそうになれば支えればいい。そう考えてルージュはノワールの隣を歩いた。
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