二人の火照り遊び

山之辺アキラ

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1章

21.勝負の果てに ◆

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「そろそろ最後の勝負やる?」と言われて美詠は、あっ!と思い出した。

「私、ハートの出しかたわかったよ!」
「マジで?」

 ハート付きの客が来る条件は、盛り付けの大成功を三回連続で取るか、または運が良いかだ。
 聞いて拓斗はうなずいた。

「大成功ってスコアが高いだけだと思ってた」
「私もそう思ってたけど、大成功いっぱい取ってもあんまり取らなかったときと変わんなくて、たっくんに負けちゃったし」
「ならスコアは成功と同じかなー。みよみちゃん、すごいじゃん」
「ふふふふふ」
「次は二人で大成功を毎回狙おう。ハートどんどん出して稼ごう」
「うん!」

 勝負はする。けれどもボーナスも狙う。もともとは美詠のジュエル稼ぎの応援で拓斗もゲームを始めたのだ。二人のテンションは大きく上がった。

 テーブルに戻ってジョイキャッチを起動する。
 美詠は膝で立ってミニゲームを選択した。同じタイトル画面だが新鮮だ。

「始めるね」
「おう」

 ミンちゃんのフルーツパーラー
 ―― START ――

 開店直後、幸先良く客の中にハートマークが交ざっていた。コアラのペアだ。ハート付きのほうがミンちゃんのレジに並んだ。

「コアラの注文なに?」

 拓斗がスーちゃんを自動調理器にスタンバイさせて聞いている。

「キウイのムースだよ」

 美詠はくすりと笑って答えた。ゲーム中の会話は今日初めてのこと。これなら相手側の画面をずっと見ていなくても連携がとれる。間違いも減る。

 減ったカットキウイの在庫を自動調理器が補充している。拓斗もスーちゃん側のコアラの注文をキウイで作った。
 品物を受け取った二頭のコアラがハートを並べて帰っていく。

「よしっ」「うんっ」

 手は合わせられないが気分はハイタッチ。
 次の注文はスコアの高いものを選んで受けた。勝負のためだ。

「さっきの盛り付けどうだった? 俺、大成功」
「私も」
「お、いいスタート」

 調理スピードはリズムでボタンを押す拓斗のほうが若干速い。美詠はやや慎重に操作している。

「大成功とった」
「私もとれた」
「おー、これでどっちも二回だな」

 レジ周りで客が入れ替わる。ハート付きの客が現れてスーちゃんのレジに並んだ。

「あれ? 来たぞ」
「運かも」
「ああ、そうか。ええと、オレンジだ」
「はーい」

 今度は美詠が自動調理器でカットオレンジを補充する。互いに無駄のない動きになっている。

「三回大成功したよー」
「さすが。俺とれなかったから、こっちやり直しか」

 しかし入れ替わった客にハート付きがいない。「来ないね?」美詠は首をかしげる。

「途中でハートの子が来ちゃったから?」
「さあな……おっ、大成功きた。一回目」
「あー、私とれなかった」
「まあ最初だからいいじゃん」

 客が入れ替わる。ここでハート付きの客が来店した。拓斗も首をかしげて言う。

「これ大成功を三回連続させんじゃなくて、二人あわせて三回って気がするな」
「そうかも」

 何人かの客で試してみると、そのとおりだった。そういうことなら回数で気を揉まなくていい。大成功を積極的に狙うだけで今までのゲームより格段にハート付き客が増える。

「すごい、たっくん。これすごいね」
「すごいな。こうなってんのか」
「楽しいー」

 お客さんが入れ替わるタイミングは二人ほぼ変わらない。調理が若干早いぶん、自動調理器の使用は拓斗のほうが多くなったが、美詠は大成功の回数が心持ち多いということで帳尻がついている。

「ハートきたけどパイナップルジュースだ~」
「ははは、安いやつじゃん。俺のほうミニパフェ」
「いいなー」

 お互い相手の顔は見えないが、笑っているのは声でわかる。
 残り時間はあとわずか。最後のハートのペアが帰る姿を二人は手を止めて見送った。

 ゲーム結果
 獲得ジュエル 1,635

「すごーい!」

 美詠は手をたたいた。一回で300ジュエルを稼いでいた時を思えば大きな進歩だ。

「みよみちゃん、これ今日全部で何ジュエル稼いだ?」
「あっ」

 所有ジュエルをチェックすると、目指していた額を超えていた。足りなかった8,000ジュエルをぎりぎりのところで稼ぎきっていた。

「やっ……たぁ!」

 美詠は拓斗に抱きついて頬ずりした。

「たっくん、ありがとーっ」
「やったなー! 欲しいやつ買っちゃいなよ」
「うん」

 欲しかったアイテムはゲームキャラクターに着せる特別なコスチュームだ。買ったその場で美詠は自分のキャラに着せてみせた。デザインの良さは拓斗にもひと目で理解できた。

「すげー良いじゃん、それ」
「うれしい。たっくんがゲームやってくれなかったら買えなかったよ」
「みよみちゃんがボーナスの出しかた見つけたのが効いたな」
「私は違ってたもん。たっくんが見つけたんだよ」
「俺ひとりじゃわかんなかったし、二人の力だな。楽しかった」
「うん、楽しかったー」

 二人で一緒にやるとうまくいく。美詠は手を合わせた。

 二人でやった9回のゲーム結果は、

1 72対28 500ジュエル
2 64対36 560ジュエル
3 56対44 640ジュエル
4 50対50 720ジュエル
5 48対52 790ジュエル
6 47対53 970ジュエル
7 49対51 1,000ジュエル
8 49対51 1,225ジュエル
9 49対51 1,635ジュエル

トータル 8,040ジュエル

 少しずつ稼げるようになっていって望外の結果が得られた。感慨もひとしおだ。
 しかし、ことはまだ終わらない。もうひとつの結果がある。

「みよみちゃん、まだゲームが残ってるよ」
「うん」

 美詠は拓斗に腰をおさえられ、身体を向かい合わせにさせられた。拓斗の顔にはまだ喜びあった笑みが残っている。美詠はそれを直視できずに目をそらした。

「恥ずかしい?」
「ずっと恥ずかしいよ……裸だもん」
「普通にゲームやってたから裸はもう慣れたと思った」
「慣れないよ。気にしてたらゲームできないから、がんばってただけ……」
「へー、じゃあ今から大変だね」

 勝負は49対51で美詠の負け。お互いに同じことを同じだけやっていたのだから、最後は同点でキスしてきれいに終わると美詠は思っていた。

「なんで私また負けたんだろ……」

「たまたまじゃん?」手をお尻にまわしながら拓斗は言う。「俺のほうスコア高そうな注文結構きてたし」

「じゃあ運が悪かっただけ?」
「そうそう」

 拓斗の手つきを美詠は気にしないふりをしているが、ふりを続けるのはなかなか大変なことだった。彼の手は、きゅっとお尻をつかんだかと思えば、お尻の割れ目に入りこもうとし、しかし美詠が反応する前にまた腰へ戻って肌をなでまわしている。
 手つきだけではない。太ももや下腹部のあたりには拓斗の視線が這っていて、いやがおうでも、これから受ける辱めを美詠に意識させている。

「運が悪かっただけなのに罰受けるんだ」

 抗議めいたことはちょっと口に出しづらくて、美詠は小声になって言った。理不尽は嫌いなはずだった。胸が少し苦しくなっているのはそのためだと思った。

「そうだよ。みよみちゃんは悪くなくても負けたから罰。せっかくいい勝負できるようになったのに運で負けちゃうんだから、みよみちゃんはきっと最初から俺に負けるようになってたんだよ。神様に仕組まれてたんだよ」

 拓斗が言うと本当のように聞こえてしまう。
「なんかそれ悔しい」美詠はつぶやいた。勝負しなおしても、また運で負けるような予感を自分でも感じた。最後に必ず辱められるようになっている運命が仕組んだ罠。まるでカミサマが拓斗にだけ祝福を与えているかのような――。

「罰ゲームなにするか覚えてる?」
「うん……」
「覚えてるのにそんなにエッチになってんの?」

 拓斗の目が胸を見ている。

「えっ!?」美詠は手で隠した。しかし胸のつぼみは柔らかかった。
 早とちりを知ったと同時にハッとなる。鋭い目が見上げている。まんまと罠にかかったヒツジをむさぼろうとするオオカミの目だ。

「……ごめんなさい」

 隠したことを咎められたような気分で胸から手をどける。
 拓斗の手が腰から離れた。「脚を開いて」と告げられた。

「俺の手が入るくらい開くんだよ。わかるよね」
「はい」

 彼の口調は不気味なほどやわらかで迷いがない。罰ゲームの内容を最初に聞かされたときと同じだ。

 ――裸になったあとにまた負けたら、みよみちゃんは俺に「私のおまんこ踏んづけてください」って言うんだよ。いっぱい踏んづけてあげるから。

 耳にささやかれたその語り口を思い出して、美詠は覚悟の定まらない手をすり合わせた。鋭い目がそれを見た。

「手は後ろだよね? みよみちゃん」
「はい」

 外堀がどんどん埋められていく。美詠は背中で手を組んだ。
 拓斗は靴下を脱いでウエットティシュで足をふいている。まるで料理の前に包丁をとぐかのように、踏みつけ前の足をふいている。美詠はそれを見せられながら、こんな格好で待たされていることに、平静では到底いられなかった。

「悔しいんだ?」
「え……」
「そんな顔してるよ」
「うん、ちょっと」
「ふふふ。勝利の女神様も、みよみちゃんがおまんこ踏んづけられるところ見たいってさ」
「ええー……」

 拓斗が背後に回った。きちんと手首をあわせているかの確認だと美詠は思った。
 だから刺激は無警戒なところに突然きた。秘めやかな女の子のひとつぶが指でクリッと動かされた。

「ああっ!」

 身体が跳ねた。

「エッチ豆カチカチじゃん。ぬるぬるだし」

 後ろから首筋に声。合わせた手首もつかまれた。

「やああ……」

 指がまだ秘所をまさぐっている。敏感なつぶの硬さと濡れ具合を執拗に確かめている。くりんくりんと弾かれた。

「だめ、だめーーーっ」

 美詠は座布団に崩れ落ちた。畳に両手をついた。昨日もこんなことをされた覚えがある。今日の拓斗も容赦ない。美詠が息を継ぐ間もなく次の指示がきた。

「さっきおまんこペンペンした所で仰向けになって」
「はい……」

 めまいがしそうなくらい赤い顔で返事をして、美詠は部屋の真ん中で仰向けになった。体のあちこちに畳の無情な硬さを感じた。

「お尻に座布団あげるよ」
「えっ」
「自分で膝を持ってお尻をあげて」
「ええっ」
「下に座布団いれてあげるから。早く」
「やあああ……」

 言葉と膝を叩く手にせかされ、美詠はお尻をあげて自分の脚を持った。赤ちゃんのオムツ交換のような格好だ。
 せめてもの気持ちで脚を閉じていると、
「脚ひらいて。ちゃんとおまんこ見せて」とお尻をはたかれた。
 言葉を失いながら脚をひらくと腰の下に座布団を差しこまれた。

 終わったはずなのに終わらない。そのままの格好で待たされて、なんで、と思ったときだ。股の割れ目をぐにっと広げられた。

「ふーん。エッチ豆まだカチカチじゃん」
「ああああ……」

 あまりのことに目をつぶる。
 が、みよみちゃん、と声をかけられた。目をつぶるなと言いたいのが、すぐにわかった。

「はぁい……」

 目を恨めしげに歪めてみせる。すると膝のあいだで顔が笑った。

「エッチなくせに意地っぱり」
「私がエッチなんじゃないもん」

 美詠は言い返した。拓斗は別に怒りもせずにうなずいた。

「知ってるよ。みよみちゃんじゃなくて、みよみちゃんのおまんこがエッチなんだよね。だからこの悪いおまんこを今から踏みつぶしてあげる」

「いやああああ」

「膝から手どけて。お尻を座布団にちゃんとのせて」

 座布団は二枚重ねでさらに折り曲げられていて、戻したお尻の位置は不自然に高かった。硬い畳の上よりも痛まないのかもしれないが、高さで恥ずかしいところが強調されてしまっている。

「足をまっすぐ上にあげて」
「……はい」

 拓斗は腰の高さまで上がってきた足首をつかんで左右に広げると、美詠の一本すじに狙いを定めて右足を近づけた。

「罰ゲームいくよ。みよみちゃん、俺にお願いして」

 静けさが返された。
 美詠は思い詰めた目で天井を見ている。裸の胸とお腹は大きく上下しているが、半開きで息をする唇をなかなか動かせないでいる。

「ほら、早く言わないと、このおまんこのナカ、親指でほじくるよ」

 足の指が恥丘を凹ませた。凹ませたまま割れ目に向かって位置を下げた。

「ううーーっ」

 混沌とした気持ちを奥歯で噛みつぶして美詠は言う。

「たっくん……」
「うん」
「私のおまんまんを踏んづけてください」
「わかった。たくさん踏んであげるから動くなよ」

 美詠の股のあいだに拓斗の足の裏が重なった。やわらかな秘唇は潰されて、ぶちゅりと愛液を吐き出した。

「ああっ」

 自分の大切なところを踏む愛しい少年の顔を美詠は見る。
 彼の表情には優越感がはっきりと表れていた。薄笑いを浮かべて美詠を見下ろしながら、踏みつけた足を動かさずにじっとしている。

「おまんこ踏むのって気持ちいいな」

 拓斗は足をずらして踏みなおした。美詠にとって身体が妙に震えてしまう刺激だった。また足がずれて踏んだ。

「ああ……」
「フフフ」

 拓斗は足をたくみに動かして、割れ目をちょっとづつ、まんべんなく踏みはじめた。
 ペダルか何かを踏むような無機質な動きだ。美詠は足で秘所を圧迫されるたびに「あっ……あっ……」と切ない声が出てしまう。
 膣口の位置が狙われた。足の先で、ぐにっと押された。

「んっ」

 美詠は目を閉じる。
「みよみちゃん」とすかさず声をかけられた。

「目をつぶっちゃダメだよ。ちゃんと踏まれるとこ見ないと。罰なんだから」

 美詠は自分がどんな表情をしているのかもうわからなかった。ただ彼の薄笑いを見れば、さぞイジメたくなる顔なんだろうということはわかる。

 拓斗の次の狙いは蕾から飛び出しているであろう肉の芯だった。拓斗は女の子の尊厳を踏みにじる確たる意思を足の先に込めて、秘唇をぐにゃりと潰した。

「やあああっ」
「あははは」

 一度では終わらない。同じ場所がぐにぐにと何度も何度も踏み潰される。

「ナカはどうなってんだよ、これ」

 足の指が片側だけ秘唇を開こうとした。しかし、ぬめる粘液に邪魔されてすべった。にちゃりと音が立った。

「開けないじゃん。エッチだなー、みよみちゃんのおまんこ。悪い子はいっぱい踏んであげないとな」

 荒くなった息遣いで拓斗は言った。また足がすべって秘唇をこすった。狙いとずれたであろう場所をキュッと踏んだ。

「うううう……」

 美詠はうめく。しかし声と表情でいくら哀願しても拓斗はとまらない。むしろ楽しそうに見ている。

「みよみちゃんは俺におまんこを踏まれるのと叩かれるのどっちが好き?」
「ああ……やだあ……」
「どっちも好きで選べないかー」

 秘唇は熱くなりきってふっくらと膨らんでいる。拓斗はそれを足でさすった。さすりながら美詠の脚をさらに大きく開いて、尖った芯のあたりを揺さぶった。

「ああっ……あああ……」

 畳に肩背をこすりつけて美詠はもがいた。畳を掻きむしろうと手の指を立てた。

「はははは。踏んづけられて嬉しいんだなー」
「ああんっ……ちが……やっ……」
「みよみちゃんのせいで俺の足の裏ニチャニチャになってるよ。すべるからちゃんと踏むの大変なんだぞ」

 証拠とばかりに拓斗は足を器用に動かして粘りの強い音を何度か立てた。

「ナカぐちゃぐちゃじゃん。みよみちゃん、イッちゃえよ。おまんこ踏まれてイクとこ俺に見せて」

 秘唇が大きく揺さぶられた。

「ああっ!」

 体が跳ねた。背中が一瞬反って戻った。
 一生懸命に刺激に耐えようとしていた心のつつみが破られた。

「ほらほら、ここ気持ちいいよね」

 尖った芯を狙う拓斗の足はリズムよく秘唇を押して、つぶして、揺さぶって、割れ目をひらいて音を立てた。ときおりすべって狙いをはずすさまが美詠をさらに煽った。

 美詠は体をくねらせて大きく喘いだ。こんな達しかたをさせられることへの悲痛が声に混ざった。

「みよみちゃんの声すげーいいよ」

 言葉の終わりに両足をぐいっと引っ張り上げられた。美詠は高い声をあげて達した。

「はははは。ホントに踏まれてイッちゃったな」

 美詠は足をようやく畳に下ろしてもらえた。が、閉じてはもらえず、当然のように股を大きく開いた状態にさせられた。美詠の一本すじは、高く盛られた座布団の上でまつられているような格好になった。
 拓斗はそれを眺めながら愛液まみれの自分の足をウェットティッシュで拭いた。ノンアルコールのウォータータイプのティッシュだ。ひんやりするだけで刺激はない。

「みよみちゃん」
「ん……う?」
「いっぱい濡れてるから、おまんこ拭くよ」
「ええ……」
「座布団いれたときの格好になって。脚あげて、膝を自分で持ってひらいて」
「あああ……」

 最初のポーズをとらされた美詠の秘所にウェットティッシュが当てられた。二枚の秘唇の右と左を、片側ずつ丁寧に磨くように肌が拭きあげられた。

「みよみちゃんが赤ちゃんみたいだ」
「恥ずかしいいい」
「ふふふ、まだだからな」

 秘唇の合わせ目がじくじく光っている。拓斗はウェットティッシュをからめた指でそこをなぞった。一度では足らず何度もなぞり返した。
 次いで秘唇を大きく広げ、ぬめぬめと照った桜色の粘膜をさらけ出させた。恥豆はやや縮んでいるがまだその場に見えている。ヒダで閉じた蜜壺の口には透明な粘液がもっとも溜まっている。

「ナカは拭いてもすぐ濡れちゃうかな?」
「……たぶん」
「ならいいか」

 拓斗はそのまま秘唇を閉じた。ポケットから自分のハンカチを取り出して秘所全体にかぶせ、手で丹念になでさすった。

「よし、いいよ、終わり」

 呼吸を整えて体を起こした美詠の頭を拓斗は抱いた。驚く顔に「ちょっとご褒美」と、おでこにキスした。

「いっぱいイジメられたからご褒美?」
「罰ゲームだからそれは違うなー。俺の言うこと全部聞いて、ちゃんとイッたから」
「えへ、そうなんだ」

 シャツの裏からボディソープのかすかな匂いが出て美詠の鼻を横切った。“ちょっとのご褒美”だと抱きついていいのかわからなくて美詠はじっとしていたが、裸でいるのは慣れそうもなく、全身が落ち着かずにそわそわした。
 おもしろいことに拓斗も手がそわそわしているようだった。

「たっくん、どうしたの」
「いや、みよみちゃんを抱きしめたくなるけど、ちょっとのご褒美だから我慢してんだよ。もう終わりな」

 拓斗が体を離した。
「変なの」美詠は笑った。
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