二人の火照り遊び

山之辺アキラ

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1章

20.覚悟の捧げ ◆

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 美詠はまた同じポーズを取らされている。

「この中どうなってんのかな」

 拓斗は両手で秘所を割り裂いた。

「おー、すげー」

 くちゅりと開いた美詠の中は愛の蜜液にくまなく覆われていた。
 まるで水飴を塗りたくったかのように、どこを見てもぬらぬらと照っている。

「ニチャニチャ光ってるよ。めちゃくちゃエッチじゃん、みよみちゃん」

 愛の蜜ばかりではなく女の子の象徴的なひとつぶまで突き出ている。
 見た目に硬さを感じて拓斗はフフフと口の中で笑った。つぶの硬さは元々のものではなく、硬くなったものだということに、彼は気がついている。

「おまんこ叩かれてこんなに気持ち良くなってたのかよー」

 そう言うと美詠が何かをつぶやきながら蜜壺の口を喘がせた。
 蜜壺の口を半分ふさいでいる美詠の乙女のヒダは、丸みをおびてやや厚みがあり、糸を引く透明な粘液で覆われている。

 拓斗は顔を近づけてヒダに舌を当てた。昨日は触るのをためらった穴だが、なぜだかもうためらいを持たなかった。むしろ惹きつけられた。

 舌は小さなヒダの上で、ぬろん、れろん、と滑った。安定せず、尖った舌の先端がすぐに穴のくぼみに落っこちて、すぽりとはまった。

「あああああ……」

 自分が何をされているのか理解した美詠が腕に頭をこすりつけている。

 拓斗は舌先で検温でもするかのように、美詠に構わずその場に舌をとどめ続けた。滑ってしまったが、これはこれで良かった。美詠の体温も愛欲のぬめりも羞恥のうめきも心地良く感じて、舌をいっさい動かさなかった。

 そのあいだ、すべる秘唇を彼は両手で広げなおした。
 広げきったとき、舌先がはまっている蜜壺がヒクヒク動いた。中から押し出されようとする熱い蜜を、入り口で舌がふさいでいる状態だ。

 拓斗は舌を動かして蜜をすくった。穴のくぼみとヒダの盛り上がり部分をうまく使い、そのままピチャピチャと音を立てて舐め取りだした。

「おと……おと……ああ……」

 美詠の声がうわずっている。

 拓斗は舌でヒダをはじいた。ピチャリと高い音を鳴らしてやった。
 次も、その次も、穴とヒダを上手に使って音を響かせた。ひと舐めごとに、次はもっと大きな音を求めて舌を動かした。

 秘唇が徐々にすべって閉じていく。手で広げなおすと、美詠はまた穴をヒクつかせた。

 ぬろり……。

 蜜壺なめを堪能して拓斗は舌を恥豆へ向けて移動させた。
 舌はいやらしい生き物のように、ねっとりと動いた。熱い粘液をかき分けながら、ゆっくり進む。
 やがて粘膜の硬い部分に到達すると、恥豆をからめ取るように覆いながら、てっぺんに登った。

 恥豆を襲われた美詠は大きな声をあげている。腰を動かせないつらさを口から吐き出すかのような声であり、泣き声のようでもある。

 拓斗はつややかな極小の粒と、その周りのヒダを、力の抜けきったやわらかな舌で包んだ。
 舌の動きが止まって美詠の声もだんだんと小さな声に落ち着いた。耳を溶かすような甘ったるい吐息に変わった。

 拓斗は美詠の声の変化と不動の姿勢に充実感を覚えた。征服感や支配感ともつながっている。

 食べ物の味を楽しむための舌を、女の子の性器に当てている行為にも彼は無性に興奮した。

 恥豆とその周辺をまとめて舌で包みながら、彼は荒くなっている自分の呼気を遠慮なく美詠の粘膜に当ててみた。
 するとヒダと穴がヒクヒク動いた。逃げ出したい、せめて腰を動かしたい、そんな訴えが聞こえるかのような動きだ。

 もちろん彼はどちらも許さない。美詠は何をされてもお尻を突き上げたまま秘所をさらしてじっとしていなければならない。彼女もそこはわかっているから動かない。
 拓斗は征服感や支配感をますます強く感じるようになった。

 指からはずれそうになっていた秘唇を両手で広げなおし、舌を離して彼は言う。

「昨日みよみちゃんのおまんこ見てさ、貝みたいだなとか、豆みたいなのあるとか、お米のつぶより大きいかとか思ったけど――」

 唐突な内容だ。美詠はワンテンポ遅れて理解した。

「思ったのって全部食べ物なんだよな。じゃあ女の子についてるおまんこって男子の食べ物じゃん? 
みよみちゃんについてるおまんこって俺の食べ物じゃん」

「私のソコ……食べられちゃうの……?」美詠は力なく尋ねた。

「そうそう、食べちゃいたいな。みよみちゃんのエッチ豆も、ナカの他のところも、割れ目のお肉も全部食べちゃうよ。みよみちゃんの大事なところだから美味しいよ」

「いやぁぁぁ……」

 美詠はお腹がビクンビクン震えるのを止められなかった。
 桜色の鮮やかな粘膜もなまめかしく動いて、拓斗に見せつける格好となった。

 敏感な一点に、ふたたび拓斗の舌がのっかった。今度の舌は硬く尖っている。

「やん……」

 美詠の甘い声を合図にしたかのように舌がゆっくり動きはじめた。
 拓斗はバイオリンの弓のように舌を直線状に動かして、弦をこするように恥豆をこすった。

「あっ、ああああっ」

 美詠のお腹が波打った。
 拓斗のそれこそ目と鼻の先で、二つの小さな穴も、彼のいっそうの責めを誘うかのように動いた。

 眺めの良さに拓斗の頬が笑う。絶えることのない嬌声に耳が潤う。

 声をあげ続ける美詠に対して、楽器みたいだと彼は思った。
 舌を少しずつ、慎重に動かして、恥豆を縦にこすってやる。恥豆をめくり上げるように舌で押し、恥豆をなでつけるように舌を引く。

 美詠の口が嬌声のメロディを奏でている。広い客間の空間が淫靡な気配で盛り上がっている。
 甘いだけの声ではない。苦しげな忍耐の吐息をはさみながらのメロディだ。

 拓斗は最後に恥豆を舌先にのせ、小刻みに震わせながら熱い息を粘膜に送りこんだ。

「あっ、あっ、あっ、あああああーーーっ」

 美詠はとうとう体勢をくずした。脚も動いたし、お尻も下がった。腰も振った。

「なんで動いたの」

 打って変わって硬くなった声が美詠をとがめた。
 声に怒気を孕んでいる。

 あまりの刺激に涙目にすらなっていた美詠は、叱られる声に本当に泣きそうになった。
「ごめんなさい」と言いながらすぐにポーズを戻す。土下座しているような気分で秘所を差し出す。

「お尻も脚も、ぎりぎりまで上げて開いて」
「はいっ」

 美詠はお尻を突き上げた。脚も大きく開いた。
 罰が下される予感で全身に緊張が走った。

 パンッ!

 平手打ちが入った。
 差し出した秘所が強く打たれた。

「あ゛あっ」

 濁った叫び。声から甘さがこそげ落ちた。
 美詠はこぶしを右も左もぎゅっと握る。次に備えた。

 パンッ。

 やはり秘所打ち。同じ強さ。

「うぐっ」

 美詠は声を呑みこんだ。
 すぐに三発目が飛んでくる。

 パンッ。

「んぐっ」

 畳にへばりついて今度も耐えた。

「いいね、ちゃんと頑張っててえらい」

 拓斗の気配が和らいでいる。

「……はいっ」
「俺についてくるみよみちゃんが好きだよ」
「あは……」

 三発の罰に耐えた頬がゆるむ。

 はたかれた秘唇がふたたび開かれた。今だに硬さを失わない恥豆が片手で剥き出しにされた。

「みよみちゃん、デコピンって知ってるよね」

 美詠は、ぺちりとお尻をはじかれた。

「うん……あ、はい、知ってます」

 はじいた指の力加減は優しかったが、爪の背が当たった瞬間にお尻が受けた衝撃はそこそこあった。
 彼が何をしたいのかを理解して美詠は唾を飲んだ。

「俺が思いっきりデコピンするとこのくらいなんだけどさ」

 バンッと座布団を叩く大きな音がした。
 背中がびくっと震える。

「今の強さでみよみちゃんのエッチ豆をはじくよ」
「ひっ」

 顔どころか声からも血の気が引いた。背中の反りも甘くなった。肩も少しあがった。

「がんばれる? それとも無理?」

 美詠は選択を突き付けられた。

「血が出るかもしれないけど」

 言葉とともに美詠のつぼみに爪の背が当てられた。怯えて引っこんだ恥豆がサヤの中でくにゃりとゆがんだ。
 身体は口よりも正直だった。つぼみは氷雨に濡れたかのように、しょげている。失われずに残っている蜜が寂しそうに光っている。

「……がんばります」

 美詠は選んだ。生気が失われているが、細く絞りこまれた勇気のひとすじが声に震えを残さなかった。

「わかった」

 爪の背が離れた。
 準備に入った気配が立っている。

「おまんこしっかり出して」
「はい」

 美詠は乱れたポーズを元に戻した。
 打たれる秘部を差し出して、口を結び、畳についた手でこぶしを二つ固く握った。

「いくよ」
「はい」

 美詠は目をつぶる。
 爪の背がつぼみにちょんちょんと当たって離れた。
 壊される、と思って秘部が縮んだ。

 ぺろり――。

 やわらかで、ぬめった感触がソコをぬぐった。温かな舌。

「きゃううううう」

 裸の背中が丸まった。お腹が凹んだ。膝も動いた。

「離れちゃダメだろ」と笑う手が、逃げ出した秘所を捕まえた。
 秘唇を割り裂いて、壊されるはずのつぼみに触れている。
 爪ではなく指の腹で、ちょんちょんと何度もタッチしている。

「あああああ……なんで……なんで……」

 緊張していた身体がビクビク震える。覚悟を決めたはずの声まで震えている。

「なんでって欲しかったものもらったし。ほら、エッチ豆また出してよ」

 ちょんちょん、ちょんちょん。指が触ってうながしている。
 つぼみの中身は疑り深く引っこんで、様子見している。

「出てきてももうイジメないよ。お仕置きは終わりだよ」

 拓斗はつつくのをやめて、おマメさんが逃げこんでいそうな筋状の部分を指でなぞった。
 美詠の粘膜で最も前側にある筋状の皮だ。なぞるうちに皮の中身が膨らんで硬くなってきた。

「みよみちゃん、エッチ豆みせて」

 優しく声がかけられた。指も筋状の皮をなぞり続けている。

「お仕置き終わりなの……?」
「終わりだよ。終わりって言ってウソはつかないよ。俺そういうウソは嫌い」

 筋の終端から、ぷくりと恥豆が顔を出した。
「おかえり」拓斗は指でなでて可愛がる。
 かろうじて上げている美詠のお尻が震えた。

「みよみちゃんがエッチ豆を出すところも可愛いな」

 指先に愛液をたっぷりからめて、拓斗は恥豆の周りを指でぐるぐるなぞりはじめた。

「みよみちゃん、このままイッちゃってよ。ちょっとくらいならお尻も動かしていいよ」

 感じてみせろの指示。

「ああんっ」

 美詠は声が大きくなった。

 拓斗は恥豆の側面に指を当てながら周りをなぞっている。
 どう触ると良いのかがわからずに、自分の身体に置き換えて考えて、尖端ではなく周りをいじるという選択を彼はしたが、思ったよりも良い反応で顔が笑っている。

「ひゃあああ……あんっ……ああああ……やぁぁぁ……」

「はぁ、良い声だなー」

 拓斗は指の軌跡を目で追いながら、うっとりとため息をついた。
 喘ぎ声に耳を蕩かす甘さがたっぷり含まれている。癒される声だった。

「みよみちゃんがイッたらご褒美に抱きしめてあげるよ」

 そう言って優しく微笑んだのと同時だった。
「ああっ!」美詠は達した。ガクッ、ガクッと腰を二回震わせた。

 拓斗は指を止めて待っている。

「恥ずかしいよお……」

 派手に飛んだ意識が戻って、美詠はこぼした。
 達しているあいだも、達した今も、拓斗の手が秘所をすっかり覆っている。腰が落ちないように、そこで支えられ続けているのと同じだった。

「みよみちゃん、起きていいよ」
「たっくんが触ってるから起きられないもん……」
「起きたらご褒美あげるのに」
「……!」

 美詠はがばっと肩を上げた。四つん這いで前に進んで拓斗の手を振りきり、体を起こした。膝にも肘にもお仕置きの真っ赤な跡がついている。

 拓斗はハの字に脚を開いて座っていた。「ここに座って」と自分の脚の間を指でさしている。

 美詠は言われたとおりにした。拓斗の体を避けるように自分も脚を開いて座らなければならなかった。
 ハーフパンツと剥き出しの女の子の割れ目がキスしそうな近さで向かい合った。

「たっくんの大きくなってる?」

 見たままをつぶやくと「こら」と呼ばれて美詠は体を抱きしめられた。
 耳のそばでささやく声がする。

「恥ずかしいから、みよみちゃんは見ちゃダメだよ」
「え、ええー……」
「言いたいことあったら聞くけど」

 にやけた声だ。

「……ないもん」

 美詠は言葉をつづらなかった。
「ないの?」という残念そうな声が返ってきて、ちょっと笑ってしまった。

「せっかくご褒美もらってるのに、またお仕置きされたくないもん」

 拓斗にならって背中に手をまわして抱きついた。

「そうかー。なら教えてあげるよ。俺もずっとエッチになってドキドキしてたよ」
「そうなんだ。嬉しっ」

 美詠は拓斗にひっついた。手のしびれはもう完全に抜けている。

「みよみちゃんは最後のお仕置きマジでやられると思った?」
「うん」
「あんな力で、あんなところにされんのに? よく“がんばる”って言ったね」
「だってお股いっぱい叩かれたし……たっくんがやりたいならって思って」
「けどあれすげー痛そうじゃん」
「絶対痛いよ、泣いちゃうかも」
「泣かされても俺のこと好きなんだ」
「うん」
「かわいいなー」

 美詠は後ろ髪を頭からうなじまでなでられた。鼓動は速いのに頭はスッキリして落ち着いている。

「……私もひとつ聞いていい?」
「うん」
「がんばったらいつもご褒美ほしいって……もし私が言ったら、たっくんどうする?」

 まわりくどい問い方に美詠は自分で言いながら気付いたが、これが精いっぱいだった。言わないでいるよりはずっと良かった。

「ご褒美ってなにがほしいの?」
「えっと……いまみたいに抱きしめてくれるとか、好きって言ってくれるとか……」
「いいね、それ」
「え?」
「なんかそれドキドキするな。いいね、俺もやりたい」
「そうなんだ……!」
「決まり。みよみちゃんががんばったらご褒美あげる」
「やったー!」

 美詠はまたひっついた。ぎゅっといった。
 ふふ、と笑う声が聞こえる。

「あー、わかった。俺、みよみちゃんが可愛いから好きっていうのもあるけど」
「うん」
「必要なんだ、みよみちゃんが」

 美詠の背中を抱く手が肩に移った。

「はぁ、大好きだな」

 肩と腰が抱きしめられた。

 美詠は目を見開いた。なんの前ぶれもなく目尻から突然、ひとつぶの涙が落ちた。

 必要なんだ、みよみちゃんが――。

 心の中で鐘のように、もう一度いまの言葉が響いた。

 好きだと言われても、かわいいと言われても、
 抱きしめられても、身体を熱くされても、
 漠然と持ち続けていた不安が払われた。
 生きる道しるべまで示された。

 美詠は目の前をぼんやり見つめた。
 障子の含む光の向こうに道がずっと続いている。
 明日に帰る彼が飛んでいく空の向こうまで道は続いている。

 離れてしまってもきっともう孤独は感じないだろう。彼はまた必ず帰ってくるだろう。
 離ればなれになってもお互いの帰る場所は相手と同じところにあるだろう。

「私も大好きっ」

 涙と決別して美詠は元気よく笑った。

 抱きついている首筋から放たれる石鹸の香り。そこに隠れていた拓斗本人の匂いを美詠は感じた。
 今まで気がつかなかったことが不思議なくらい強く感じた。
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