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番外編 兄の婚約事情
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『えー、お日柄も良く』なんて何度聞いた事か。そして何度妹(弟か?)に注意した事か。とりあえず今回も言っておく。
「フィリエルお前何故令嬢の格好で来ない⁉そしてまた何故殿下までいる⁉」
ビシッと指を差した先にいる妹(弟)とこの国の皇太子はしれっと紅茶を啜ってやがる。
「えー、別にいいでしょ」
「俺はフィリと離れたくないから来た」
口を尖らせ話すふたなりの可愛い妹(弟)とドヤ顔の婚約者候補の皇太子は別にいいだろという顔を向けてくる。
良くないぞ。お前ら毎回俺の婚約話を壊してるんだからな。
そう、原因はこの二人だ。
本人達は気付いていないが白銀の髪に薄紫の瞳の女性らしい美貌のフィリエルと金髪で赤く縁にいくほど青くグラデーションがかかっている皇族特有の瞳を持つ眉目秀麗な皇太子は異次元レベルの容姿を持っている。
並外れて見目が良いと言われる俺だがこの二人と並ぶと平凡に見える不思議。それくらいあいつらは桁違いに美麗なのだ。
それが見合いの顔合わせの時に俺の両脇に座るものだから相手のご令嬢が毎度二人に心奪われ婚約には至らない。文句を言うと
「兄さんに目もくれず俺らに色目を使う令嬢なんて願い下げだ」
と言う。それはそうだがお前らが誘惑してるんだろ!にこやかに話しかけ褒めアピールする・・・俺が気付いてないと思ってるのか⁉
「はあ・・・兄ちゃんはな、妹が欲しかったんだよ」
パチンと指を鳴らし侍女と侍従にフィリエルにドレスを着せるよう指示しこめかみをおさえながら椅子に座る。殿下は侍従に抱えられながら暴れるフィリエルに慌ててついていく。
今までは目を瞑っていたが国内にフィリエルがカルスバート皇太子殿下の婚約者候補として発表されたからプライベート以外は令嬢の格好をしてもらわないと困るのだ。殿下に諫めてもらいたいが殿下は「令息と令嬢どちらも味わえるなんていいよね」とのたまうのでこういう時は全くあてにならない。
てか味わえるって何だよ碌な意味で言ってないだろそれ。
変な性癖持ってそうな殿下が未来の夫で本当にいいのか妹(弟)よ・・・
1時間後ドレスを着たフィリエルとご機嫌な殿下が戻って来た。
見た目は紳士淑女のお似合いの美男美女カップルなんだよなぁ。実際は男らしい性格の令嬢と溺愛嫉妬大魔神皇太子なんだが。
「まあ、またご破算になるんだ、気楽に行こうぜ兄さん」
不吉な予言すんなし!あぁ、見た目と言葉遣いのギャップが酷い。え?それがいいだろってナニイッテンノ皇太子。
ちょっと遠い目になった時に執事が顔合わせの相手の来訪を告げる。俺達は部屋を出て玄関ホールで並び待つ。既に来ていた両親の横に並び出迎える。
玄関ホールに入ってきた伯爵夫妻とご令嬢がギョッとしている。
それはそうだ。入った途端にこの国の皇太子とその婚約者候補がにこにこと出迎えているんたから。驚かない方がおかしい。
「ここここ皇太子殿下、なっ何故ここに・・・?」
あーね、そう思うよね。
何とか言葉を発せた伯爵は偉いと思う。夫人なんて頭が追いつかないのか礼もせず固まっているしご令嬢はもじもじしてるし毎度このパターンだよ。
「我が最愛の付き添いだよ。さあ、移動しようじゃないか」
うぉーーーい、なぜ殿下が仕切ってるんだ!当たり前になってて誰も気にしてないし!
少々、いやかなりの不満を持ちながら用意していた部屋へ移動する。席へ座ると当たり前のように両脇へフィリエルと殿下が座る。またこの布陣だ。向かいには令嬢が座っている。
両親が相手の両親と談笑しているのでとりあえずは令嬢を観察してみる。
ふむ、見た目は可愛いらしい。趣味は刺繍と絵画鑑賞だったかな。しかしよくこの見合いを承諾したよなぁ。俺の縁談話は社交界では有名なんだが。侯爵家との繋がりが欲しいんだろうな。なんせ父は宰相、妹(弟)は皇太子妃候補だし。政略結婚ならそんなものか。
まあ、それも両脇にいるモンスターに潰されるんだろうけど。
「アンドール様でしたわね?兄様の事は知ってまして?」
「はっ、はい。姉がサイアス様と同級生で素敵な方だと聞いています」
「あら、お姉様がいらっしゃるのね。ふふっ、兄様素敵でしょ」
「はい。フィリエル様も素敵です」
ん?
微笑むフィリエルに頬を染めもじもじしている令嬢に違和感を持つ。隣に座っている殿下も微妙な顔になっている。
「うふふ、ありがとう。アンドール様って可愛いらしい方なのね」
ぱあっと嬉しそうにしている令嬢の視線がフィリエルのみに注がれ二人だけで話が進んでいく。
んんっ?
どうやら彼女の興味はフィリエルにしかないようだ。
あれ?今日フィリエルは令嬢の姿だよな?何故殿下じゃなくてフィリエルにあんな目を向けているんだ?
んんんんっ?
結局俺は殆ど話す事なく見合いが終わっでしまう。別に縁談を進める気は無かったのでそれでいいのだがいつも以上にモヤっとする終わり方だった。
後日相手方から縁談の断りと何故か「フィリエル様と個人的に仲良くなりたい」という手紙を貰う。
「なあ、これどう思う?」
「あー、それね。まあそういう事」
「だからどういう事だ?」
「彼女、女の子が好きみたい」
「!!あの違和感はそれか!!だーーーー、今回は百合かーーーー!!」
「何だとっ!フィリエルは俺のものだっ!」
「カルスうるさい!」
「おっ、久しぶりに名前で呼んだな」
「俺一生独身かも。そうしたらカルスとフィリエルの子供養子にちょうだい」
「じゃあいっぱい作らないとな」
「そうだな♡」
「俺に塩を塗るな。よそでやれ」
イチャイチャし始めたバカップルの脇で突っ伏す俺を慰めてくれるヤツはいない。
今春なのに俺には春が全く来ない。何故だ!
数年後、外交の為に行った先の第八王女に見初められ嫁に貰うまでサイアスの縁談はポシャるのであった。
「フィリエルお前何故令嬢の格好で来ない⁉そしてまた何故殿下までいる⁉」
ビシッと指を差した先にいる妹(弟)とこの国の皇太子はしれっと紅茶を啜ってやがる。
「えー、別にいいでしょ」
「俺はフィリと離れたくないから来た」
口を尖らせ話すふたなりの可愛い妹(弟)とドヤ顔の婚約者候補の皇太子は別にいいだろという顔を向けてくる。
良くないぞ。お前ら毎回俺の婚約話を壊してるんだからな。
そう、原因はこの二人だ。
本人達は気付いていないが白銀の髪に薄紫の瞳の女性らしい美貌のフィリエルと金髪で赤く縁にいくほど青くグラデーションがかかっている皇族特有の瞳を持つ眉目秀麗な皇太子は異次元レベルの容姿を持っている。
並外れて見目が良いと言われる俺だがこの二人と並ぶと平凡に見える不思議。それくらいあいつらは桁違いに美麗なのだ。
それが見合いの顔合わせの時に俺の両脇に座るものだから相手のご令嬢が毎度二人に心奪われ婚約には至らない。文句を言うと
「兄さんに目もくれず俺らに色目を使う令嬢なんて願い下げだ」
と言う。それはそうだがお前らが誘惑してるんだろ!にこやかに話しかけ褒めアピールする・・・俺が気付いてないと思ってるのか⁉
「はあ・・・兄ちゃんはな、妹が欲しかったんだよ」
パチンと指を鳴らし侍女と侍従にフィリエルにドレスを着せるよう指示しこめかみをおさえながら椅子に座る。殿下は侍従に抱えられながら暴れるフィリエルに慌ててついていく。
今までは目を瞑っていたが国内にフィリエルがカルスバート皇太子殿下の婚約者候補として発表されたからプライベート以外は令嬢の格好をしてもらわないと困るのだ。殿下に諫めてもらいたいが殿下は「令息と令嬢どちらも味わえるなんていいよね」とのたまうのでこういう時は全くあてにならない。
てか味わえるって何だよ碌な意味で言ってないだろそれ。
変な性癖持ってそうな殿下が未来の夫で本当にいいのか妹(弟)よ・・・
1時間後ドレスを着たフィリエルとご機嫌な殿下が戻って来た。
見た目は紳士淑女のお似合いの美男美女カップルなんだよなぁ。実際は男らしい性格の令嬢と溺愛嫉妬大魔神皇太子なんだが。
「まあ、またご破算になるんだ、気楽に行こうぜ兄さん」
不吉な予言すんなし!あぁ、見た目と言葉遣いのギャップが酷い。え?それがいいだろってナニイッテンノ皇太子。
ちょっと遠い目になった時に執事が顔合わせの相手の来訪を告げる。俺達は部屋を出て玄関ホールで並び待つ。既に来ていた両親の横に並び出迎える。
玄関ホールに入ってきた伯爵夫妻とご令嬢がギョッとしている。
それはそうだ。入った途端にこの国の皇太子とその婚約者候補がにこにこと出迎えているんたから。驚かない方がおかしい。
「ここここ皇太子殿下、なっ何故ここに・・・?」
あーね、そう思うよね。
何とか言葉を発せた伯爵は偉いと思う。夫人なんて頭が追いつかないのか礼もせず固まっているしご令嬢はもじもじしてるし毎度このパターンだよ。
「我が最愛の付き添いだよ。さあ、移動しようじゃないか」
うぉーーーい、なぜ殿下が仕切ってるんだ!当たり前になってて誰も気にしてないし!
少々、いやかなりの不満を持ちながら用意していた部屋へ移動する。席へ座ると当たり前のように両脇へフィリエルと殿下が座る。またこの布陣だ。向かいには令嬢が座っている。
両親が相手の両親と談笑しているのでとりあえずは令嬢を観察してみる。
ふむ、見た目は可愛いらしい。趣味は刺繍と絵画鑑賞だったかな。しかしよくこの見合いを承諾したよなぁ。俺の縁談話は社交界では有名なんだが。侯爵家との繋がりが欲しいんだろうな。なんせ父は宰相、妹(弟)は皇太子妃候補だし。政略結婚ならそんなものか。
まあ、それも両脇にいるモンスターに潰されるんだろうけど。
「アンドール様でしたわね?兄様の事は知ってまして?」
「はっ、はい。姉がサイアス様と同級生で素敵な方だと聞いています」
「あら、お姉様がいらっしゃるのね。ふふっ、兄様素敵でしょ」
「はい。フィリエル様も素敵です」
ん?
微笑むフィリエルに頬を染めもじもじしている令嬢に違和感を持つ。隣に座っている殿下も微妙な顔になっている。
「うふふ、ありがとう。アンドール様って可愛いらしい方なのね」
ぱあっと嬉しそうにしている令嬢の視線がフィリエルのみに注がれ二人だけで話が進んでいく。
んんっ?
どうやら彼女の興味はフィリエルにしかないようだ。
あれ?今日フィリエルは令嬢の姿だよな?何故殿下じゃなくてフィリエルにあんな目を向けているんだ?
んんんんっ?
結局俺は殆ど話す事なく見合いが終わっでしまう。別に縁談を進める気は無かったのでそれでいいのだがいつも以上にモヤっとする終わり方だった。
後日相手方から縁談の断りと何故か「フィリエル様と個人的に仲良くなりたい」という手紙を貰う。
「なあ、これどう思う?」
「あー、それね。まあそういう事」
「だからどういう事だ?」
「彼女、女の子が好きみたい」
「!!あの違和感はそれか!!だーーーー、今回は百合かーーーー!!」
「何だとっ!フィリエルは俺のものだっ!」
「カルスうるさい!」
「おっ、久しぶりに名前で呼んだな」
「俺一生独身かも。そうしたらカルスとフィリエルの子供養子にちょうだい」
「じゃあいっぱい作らないとな」
「そうだな♡」
「俺に塩を塗るな。よそでやれ」
イチャイチャし始めたバカップルの脇で突っ伏す俺を慰めてくれるヤツはいない。
今春なのに俺には春が全く来ない。何故だ!
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