皇太子ってクールで格好いいよね。っていやいやアイツはワガママで甘えん坊だけど?〜皇太子は俺を嫁にしたいらしい〜

ネコフク

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皇太子に娶られたい2

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入学式当日、俺はカルと一緒に馬車で学園へ向かう。遠くから入学する者は学園内にある寮へ入っている為徒歩になるが他は馬車で登校する。乗り場も寄り合い馬車と各爵家の乗り場は分けられており皇族が使う場所も分けられていた。

馬車から降りると側近候補のカノンとユニが待っており挨拶を交わし式典がある講堂へ向かう。校舎までの道のりは両脇に腰の高さまでしかない青々とした木々が植えられておりその外側には桜や木蓮など春を彩る樹木が咲き誇っている。

俺の右側にカル、左側にカノン、カルの右側にユニという並びで歩いていると何度も脇の木々から女生徒が転がり出てくる場面に遭遇する。その度に後ろで控えている俺とカルの護衛が女生徒を排除していく。

なんかすっごい転がってきてるけど何かの流行りなのか?しかも俺を見てギョッとしてるのがやな感じなんだけど。

「・・・何だあれは。ここの生徒は転がるのが趣味なのか?」

皇太子モードの無表情カルスバートが不審な声色で聞いてくる。

「ああ、あれは多分今下位令嬢達の中で流行っている物語になぞらえての行動かと」

「何それ」

「男爵令嬢が入学式当日に王子にぶつかりきっかけを作り学園内でイジメに合う令嬢を度々助けてもらい令嬢の健気さに王子が心を惹かれそれに嫉妬した婚約者が令嬢をイジメ卒業式に婚約破棄され王子と令嬢が結ばれるという物語です」

そんな物語を真に受けて行動するなんて実にくだらない、馬鹿なんですねって口悪いなカノン。俺もそう思うけど。

「でもわたしを見てギョッとしてたのは何故?」

「それはフィリエル嬢が想像を遥かに超える美人だったからですよ」

えっ?何だソレ。

「あー、確かに。皇太子殿下の婚約は国内に知れ渡っていますがフィリエル嬢のお姿は知られてないですからね。自分の見目に自信がある令嬢は蹴落とせると思ったんじゃないでしょうか」

「はあ?フィリほどの美麗な奴なんているわけないだろうが」

そう言うと俺の腰を引き寄せ頬を頭に擦り付ける。

「フィリエル嬢のお姿は婚約発表の時にいた上位貴族しか知りませんからね。知ったらおかしな事をする令嬢も減るんじゃないですか」

むー、そんなものか?でもカルが狙われるの嫌だな。

寄せられている体をさらに密着させると俺が不安になっているのに気づいたのかフィリ可愛いと余計すりすりしてくる。見えないけどニヤニヤしてるんだろうな。

校舎の入口に近づくとそこには沢山の子息・令嬢がいた(主に令嬢だけど)
俺達を見つけるとあれだけ騒がしかった声がピタリと止み海が割れるように人集りがひいていく。その間を通る途中の顔を赤らめ感嘆のため息があちこちから聞こえる。

どうだ、俺の皇太子カルスバートは格好良いだろ。ドヤ顔したいけど顔に出さないよ。令嬢の格好してるからね。

心の中でドヤっていると人集りの中から一人の令嬢が飛び出してくる。驚く俺をカルが抱きしめその前にカノンとユニが守るように立ち塞がる。

見るとそこにはふわふわのピンクブロンドに空色の瞳を持つ可愛らしい令嬢がウルウルとカルを見つめていた。まあカルは背中を向けていて見てないけど。そうしているうちに護衛があっさりと令嬢を連れていく。その時に何か騒いでいたけど大勢の前で抱きしめられている現状に恥ずかしくなり聞くどころでは無くなっていた。

「・・・カル恥ずかしい」

「学園とは危険な場所なんだな。フィリ俺から離れるなよ」

額に口づけを落とし抱きしめた腕を腰に回し歩き出す。令嬢達の黄色い悲鳴が聞こえる中恥ずかしさで顔を上げられなくなってしまう。

普段やってる事だけど人前はさすがに恥ずかしい・・・後で人前はやめてって言わないとな。

講堂へ行くとカルと一緒に先生方の後ろの席へ座らされる。カルは新入生代表で壇上へ上がるので分かるが何故俺までここへ座るのか。答えは一つ。カルのワガママだ。こんなトコで皇太子権限発揮するなよなー。つーか、学園も拒否しろよ。

式典が終わり教室へ向かう。学園では高位貴族と下位貴族の学ぶ棟が分かれている。従って合同の授業と食堂、生徒会の催し物でしかお互いの交流がないのだ。
理由は下位貴族の令息や令嬢が高位貴族の教室へ接点を持とうとして押しかけてくるから。休み時間中纏わりつかれて迷惑だという事でかなり前から分けられていて棟の入口には受付が設けられ用事がある者だけがそこで呼び出しをできるようになっている。

そしてごくたまにどこからか侵入してくるやからがいる――――

それが今目の前にいる校舎の入口で飛び出てきたピンクブロンドの令嬢が「道に迷っちゃった、テヘッ」と言いながら近づいてくる人物、侵入者である。

「あのぉ、ここどこですかぁ?」

舌っ足らずな甘い話し方をしてくる令嬢はカルに話しかける。不安そうな顔をしているがその瞳は獲物を狙う肉食動物の様な輝きを放っている。
俺とカルの前にカノンとユニが立っているのにお構いなしにカルをロックオンしている。

「・・・・・・」

「あのぉ聞いてますかぁ?」

「・・・・・・失せろ」

「えっ?」

「目障りだ。失せろと言っている」

無表情で言い放つカルの目はどこまでも冷ややかだ。ピンクブロンドの令嬢は驚きのあまり固まっている。
彼女は知らなかったんだろう。カルスバート皇太子殿下はには常に無表情で刺すような目を向け冷たい態度をとる事を。

そう、これがデフォなのだ。

そして俺に絶対見せないその態度が未来の為政者を思わせて俺はキュンとしてしまうのだ。

「やだ、カルカッコイイ・・・」

あ、こっち向いてニヤけるの我慢してる。あーあ、締まらないなぁ。
それよりどうすんの令嬢アレ



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