王道学園にさせてなるものかっ!

ネコフク

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学園祭編

学園祭2日目⑦

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 PM0:30

「よーし、そろそろ準備はいい?移動するわよ!」

「「「「Yes Boss!!」」」」

 あげは姉ぇのかけ声に軍隊のような合った返事をするスタッフ。まあトップのあげは姉ぇ直属のスタッフばっかりだし。双子達が「「もっと時間をかけて準備するかと思ったー」」って言ってるけど、ショーの舞台裏なんて時間との勝負だから早いし、バタバタしてるんだよな。終わるとスタッフ全員野垂れ死にポーズで床に伏せってるもん。

「さあ、行くわよ!」

 ロングスカートの魅惑のスーツに着替え、パーン!と先頭切ってドアを開けて堂々と廊下に出るあげは姉ぇ。防犯カメラ気にして行かなきゃいけないんじゃないの?え、もう告知して妨害されてる連絡が無いから大丈夫?まあ、生徒会とインペリアルのコラボが知れ渡ったんだろうし、だったらいいか。

 それでも他の生徒に見つからないよう裏に回って第2体育館へ向かう。第2体育館は第1体育館と違い、演劇部や茶道部など文化部が発表する時に使用したりする為、舞台裏が広かったり、楽屋があったりする。こういうの見ると金持ち学校だよなーって思うよ。

 楽屋に着くと既に体育館の方が騒がしい。舞台はまだセッティング中だから中には客を入れてないらしいんだけど、テレビじゃなく生で見たい生徒が入り口に殺到しているらしい。そのうち何割が体育館に入れるんだろうな。

「あらぁ、もちろん入場料は取るわよ。だって『Imperial』のショーよ。しかも秘蔵っ子のお披露目だもの。安くはないわよ。おーほっほっほっほっ!」

 ヤベェ、高笑いするあげは姉ぇの目が$になってる!前にも言ったが¥ではない、$だ。そりゃImperialうちのファッションショーはお高いけどさ、学割効かせてあげてー。

 え?金持ちばかりだから払える払える?ソーデスネ。そんな事より準備しろって?イエス・シスター!

 楽屋内をバタバタと忙しそうに動き回るスタッフを横目に、モデルが全員押し込められている楽屋へ行くと、ヨウさんと静馬さん以外が落ち着きがなかった。モデル活動してる相沢さんがソワソワしているのは意外だ。

「そりゃインペリアルのショーだよ~。俺がやってる仕事の規模……というか、客層が違いすぎるんだよね」

 髪をセットしてもらいながら鏡越しに苦笑しているのが見える。
 確かにハイブランドのモデルは一握りだもんな。しかも日本人はイメージに合わないとか言われて起用されにくいし、起用されても国内限定だったりするからなぁ。それを考えるとヨウさんと静馬さんはImperialうちの一軍モデルだから凄いよね。

「だいじょーぶだいじょーぶ、俺らも最初はそんなモンだったし。これからだよなー静馬」

「(コクコク)」

「ウッス」

 まあ相沢さんはあげは姉ぇが目を付けてるから大丈夫じゃない?ここで話したら本番余計に緊張しそうだから言わないけど。

「ほら愛加杏仁だよ」

「マナ俺の膝の上に座れ」

 ……うん、チカと宏太は通常運転だな!はよ、って催促されなくても座るけどな!ほら早く杏仁くれ!

「いいなーイチャイチャ」

「そうだね有喜。僕達も番とイチャイチャしたーい」

「私も加奈子に会いたくなってきました」

「あれ、君達もう番がいるの?今の子達は早いね~」

 双子と一ノ蔵さんが番に思いを馳せていると、ヨウさんが反応した。今まで番の話題に興味なさげだったのに意外だ。

「今はいないねー。でもまなっちのお披露目ツアーが終わったら番う予定」

「うそっ!?ヨウさん相手いたの!?ああっ、杏仁落としたっ!杏仁~(泣)」

 知り合ってもう何年も経っているのに気づかなかった!オドロキすぎてチカの膝の上から勢いよく立ったら、宏太が食べさせようとしていた杏仁がその衝撃で床に落ちてしまった。

「ぶぁははっ、俺の番う話と落ちた杏仁同列かよ!」

 ヨウさんと落ちた杏仁を交互に見ているオレを見てヨウさんが爆笑している。違うとも言い訳できないので大人しくチカの膝の上に戻る。よしよしとチカが頭を撫でてくる。ほら、もっと撫でれ。

「だって(どっちも)驚いたんだもん。ヨウさん番に興味なさそうだったじゃん。って言うか恋人いたの?」

「いたよー。だって番の話題に興味示したらいるのバレそうだからさ。細心の注意をしてたんだよね」

 そっか、そうだよな。トップモデルのヨウさんはαだし色んな人に狙われ易いんだよな。スキャンダルを起こさないよう契約管理(バース性のトラブル処理もImperialの他部門で請け負ってる)されてるからある程度は防げるけど、隙を見せると突撃してくるやからはどこにでもいるし。バース性の話題は避けるよな。
 それにしてもよく今まで隠し通せたよ。

「ちなみに相手は静馬な」

「うえぇぇぇ!!あっ、また杏仁がー!!」

「マナっち天丼~」

「天丼~」

 ※天丼とはお笑いで2度同じ事をして笑いを取ることだよ。

 また驚いて勢いよく立ち杏仁を落としたオレに、ヨウさんと双子が爆笑。スッとウエットティッシュを寄こしてくれる静馬さんの優しさが染みる……

「だからですね、2人はよくペアを組んでたから静馬さんにヨウさんのフェロモンが付いてても気づかれなかったのは。不思議だったんですよね、朝別々に来てもヨウさんのフェロモンが付いてた時があったので。納得です」

 うんうんと頷く宏太に静馬さんが顔を真っ赤にしてるんだけど。多分今知られたくないトコに踏み込んだようだぞ宏太よ。

「そっか、それなら余計に今日のショー成功させないと!」

「「「「「おー!!」」」」」

 気づかいが出来るオレはそれ以上話題に踏み込まず皆んなに発破をかける。静馬さんが真っ赤で震えてるからもう踏み込んでやるなよ。特に宏太!
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