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#443話 妖怪探偵局⑨
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「れれれ? これ、ただの着ぐるみじゃね?」
駆け寄ってきた一平が、素っ頓狂な声を上げた。
「な、なんだと?」
私はこちらに尻を向けて伸びている妖怪羊を見下ろした。
なるほど、背中にチャックがある。
「おまえ、誰なんだよ?」
一平が飛びかかった。
「や、やめろ」
羊が暴れる。
一平が、一気にファスナーを下げたのだ。
「あ」
あたしが絶句したのも、無理はない。
中から転がり出てきたインテリ風の男。
こいつって…。
「おまえ、唯の父ちゃんじゃないか」
一平が呆れたように言った。
「なんで父ちゃんが、自分の家族を襲うんだ?」
「た、たのむ。見逃してくれ!」
土下座を始める中年男。
着ぐるみに入っていたため、パンツ一丁の裸である。
「唯のやつが、成長したらあんまりいい女になっちまったもんだから、ムラムラと来て、つい」
「それが動機か?」
あたしは呆れた。
実の娘に欲情して、クネクネだのテケテケだの八尺様だのを召喚したというのか?
ばかばかしいにもほどがある。
「そ、そうだ。毎晩毎晩、裸同然の美少女が目の前をうろついてみろ。私でなくったって催すだろう」
「ありえんな」
私はぺっと唾を吐いた。
そして、高々と右足を振り上げた。
開帳されるスカートの中にオヤジの視線が釘付けになるのを見計らい、
「死ね」
もう一発。
その薄くなりかけた頭頂部に、今度は渾身の力を込めて、踵落としをお見舞いする。
「がふっ
衝撃で、オヤジの顔から眼鏡と前歯が吹っ飛んだ。
こうして、事件は終わったのだ。
駆け寄ってきた一平が、素っ頓狂な声を上げた。
「な、なんだと?」
私はこちらに尻を向けて伸びている妖怪羊を見下ろした。
なるほど、背中にチャックがある。
「おまえ、誰なんだよ?」
一平が飛びかかった。
「や、やめろ」
羊が暴れる。
一平が、一気にファスナーを下げたのだ。
「あ」
あたしが絶句したのも、無理はない。
中から転がり出てきたインテリ風の男。
こいつって…。
「おまえ、唯の父ちゃんじゃないか」
一平が呆れたように言った。
「なんで父ちゃんが、自分の家族を襲うんだ?」
「た、たのむ。見逃してくれ!」
土下座を始める中年男。
着ぐるみに入っていたため、パンツ一丁の裸である。
「唯のやつが、成長したらあんまりいい女になっちまったもんだから、ムラムラと来て、つい」
「それが動機か?」
あたしは呆れた。
実の娘に欲情して、クネクネだのテケテケだの八尺様だのを召喚したというのか?
ばかばかしいにもほどがある。
「そ、そうだ。毎晩毎晩、裸同然の美少女が目の前をうろついてみろ。私でなくったって催すだろう」
「ありえんな」
私はぺっと唾を吐いた。
そして、高々と右足を振り上げた。
開帳されるスカートの中にオヤジの視線が釘付けになるのを見計らい、
「死ね」
もう一発。
その薄くなりかけた頭頂部に、今度は渾身の力を込めて、踵落としをお見舞いする。
「がふっ
衝撃で、オヤジの顔から眼鏡と前歯が吹っ飛んだ。
こうして、事件は終わったのだ。
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