サイコパスハンター零

戸影絵麻

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第6章 となりはだあれ?

#7 都市伝説⑥

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「あ、これ、桃蘭女子ですよ、偏差値65の、お嬢様系進学校」
 スマホの画像をひと目見るなり、こともなげに野崎刑事は言った。
「スカートのひだの本数でわかります。それに、このハイソックス、ここに桃の刺繍があるでしょ」
「へーえ、すごい」
 言葉とは裏腹に、杏里は化け物でも見るような眼で、目の前の後輩を見つめた。
 刑事に必要なのは、さまざまな情報を敏感にキャッチする嗅覚である。
 それはわかっている。
 でも、野崎の場合、それが別の方向に偏っているのではないか。
 そんな気がしてならないのだ。
「制服の襟元が写ってれば、スカーフの色で学年もわかるんだけど、うーん、残念だなあ」
 などといいながら、画像をスクロールして、関係ないものまでチェックし始めた。
「あの、先輩、これ、俺のスマホにコピーさせてもらえませんかね? もう少し色々調べてみたいんで」
「だあめ」
 冷たく言い捨て、杏里は野崎の手からスマホを取り上げた。
「え? なんでです? せっかく、ニラさんに内緒で協力しようと思ってるのに」
 大事なおもちゃを取り上げられた幼児のように、不服そうに野崎が鼻を鳴らした。
「どうせ、趣味と実益を兼ねてって思ってるんでしょうが、そうはいかないわ。あんたを犯罪者にしたくないからね」
「ひでえなあ。杏里先輩、俺を何だと思ってるんですか?」
「変態刑事。それ以上でも、それ以下でもないってとこ」
 ふたりが今向かい合っているのは、千種署の近くのファミリーレストラン。
 科捜研を出ると、杏里は一番暇そうな野崎に携帯で電話を入れ、照和署から覆面パトカーで拾いに来るように命令したのだ。
 韮崎には、ちょっと調べたいことがあるから野崎を借りる、と先に電話で断っておいてある。
 そして野崎の運転で、杏里ははまたこの千種区に戻ってきたのだが、予想通り、変態刑事の協力で、たった今、新たな事実が判明したというわけである。
「さて、どっちから調べようかしら」
 テーブルの上に頬杖を突き、杏里は手帳を眺めた。
 消えた少年が先か。
 脚だけ映った謎の少女が先か。
「そりゃ、女子高が先に決まってるっしょ」
 アイスコーヒーをストローで勢いよく吸い上げると、野崎が言った。
「工業高校なんて、野郎しかいないし、行ったってしかたないっすから」
「ばーか」
 杏里は野崎の額をフォークの尻でつついた。
「あんたがそういうなら、工業高校で」
「だはっ、それ、いじめ?」
 大げさにのけぞる野崎を、杏里はじろりと睨みつけた。
「さっきも言ったでしょ。後輩を犯罪者にしたくないからよ」

 

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