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第2章 地獄の底を這いまわれ

#25 淫売窟⑦

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 小人たちがどこからか樽に水を汲んできて、次々にルビイの裸身に浴びせかけた。

 汚物は床に渦を巻き、排水溝へと吸い込まれ、しばらくすると、かすかな便臭を残すだけとなった。

「はん、ざまあないね」

 水浸しになり、台の上に仰向けに横たわったルビイを見下ろして、吐き捨てるように女主人が言った。

 なんの特徴もない、ふつうの主婦を思わせる丸顔の裏から、悪鬼の形相が透けて見える。

 こっちがこの人の地だったのだ。

 かすむ頭でルビイは思った。

 名前はなんと言ったっけ…。

 そうだ。スナフは確か、アネモネとか呼んでいた…。

「ひと目見た時から、気づいてたさ。おまえがあの、王立連合軍のいくさ乙女、ルビイだってね」

 さらけだされたルビイの乳房、腹、股間の茂みへと視線を這わせながら、アネモネが言う。

「だって、この町の空にも、あれは映ってたからね。おまえが魔王にイかされて、ひいひい喘ぐあの幻像がさ」

「やめて…。もう、言わないで…」

 ルビイはしゃがれた声で、哀願した。

「これでも…後悔、してるんです…」

 それを言われると、もう何も言い返せない。

 おまえはクズだ。

 そう烙印を押されたも同然だからだ。

「いい気味だと思ったよ」

 アネモネが、悪魔のように嗤った。

「あたしは昔から勇者ってのが大っ嫌いでね。仲間の犠牲の上にふんぞり返って、自分だけ手柄と名声を独り占めする、その腐った根性が。ところがだよ、その勇者様が、敵の大将に裸に剥かれて強姦されたあげく、しまいには感じすぎて白目を剥いて、あそこからいやらしいお汁、いっぱいいっぱい、垂れ流してるじゃないか。あんまりよかったんで、あたしゃ、幻像眺めながら、思わず自分で自分を慰めちまったほどだよ」

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