55 / 471
第2章 地獄の底を這いまわれ
#50 脱出⑧
しおりを挟む
「貴様がルビイか」
男がコートの前をはだけた。
ルビイは息を呑んだ。
男は、コートの下に何も着ていなかったからだ。
あばら骨の浮き出た骸骨みたいな身体だった。
歪曲した脚の間に白髪混じりの陰毛が茂り、そこからだらりと長いペニスが垂れ下がっている。
が、ルビイの肝を冷やしたのは、貧相なその裸体ではなく、むしろ男の眼つきだった。
薄く刃物で横に線を入れたような細い眼には、明らかに憎しみの色が宿っている。
「貴様、何をしたのか、わかってるのか」
黙っていると、大股に男が近づいてきた。
あっと思った時には、髪の毛をつかまれ、寝台から引きずり下ろされていた。
「魔王とやったんだな? そうだろ?」
丸太のように床に転がったルビイの脇腹を、男が蹴った。
「やってないとは言わせない。俺は見たんだ。貴様、ずいぶん気持ちよさそうだったよな!」
反動で仰向けになったルビイの裸の腹を、男が踏んだ。
鳩尾のあたりに踵をぐいぐい食い込ませてきた。
「魔王とのアレは、そんなによかったのか?」
「やめて!」
反射的にルビイは叫んでいた。
おなかの中には…赤ん坊がいるかもしれないのだ。
いくら魔王の種でも、子どもに罪はないし、少なくともこんな異常者のために命を落としていいはずがない。
「魔王にしたのと同じことを、俺にもやってみろよ」
髪をつかんで持ち上げると、男はルビイの背を寝台にもたせかけた。
そして、手足をもがれた人形のようなルビイを憎々しげに見下ろし、吐き捨てるように言った。
「貴様が本当に改心したなら、魔王にしたみたいに俺をいかせてみろ。ほら、早くやりやがれ。この売女!」
男がコートの前をはだけた。
ルビイは息を呑んだ。
男は、コートの下に何も着ていなかったからだ。
あばら骨の浮き出た骸骨みたいな身体だった。
歪曲した脚の間に白髪混じりの陰毛が茂り、そこからだらりと長いペニスが垂れ下がっている。
が、ルビイの肝を冷やしたのは、貧相なその裸体ではなく、むしろ男の眼つきだった。
薄く刃物で横に線を入れたような細い眼には、明らかに憎しみの色が宿っている。
「貴様、何をしたのか、わかってるのか」
黙っていると、大股に男が近づいてきた。
あっと思った時には、髪の毛をつかまれ、寝台から引きずり下ろされていた。
「魔王とやったんだな? そうだろ?」
丸太のように床に転がったルビイの脇腹を、男が蹴った。
「やってないとは言わせない。俺は見たんだ。貴様、ずいぶん気持ちよさそうだったよな!」
反動で仰向けになったルビイの裸の腹を、男が踏んだ。
鳩尾のあたりに踵をぐいぐい食い込ませてきた。
「魔王とのアレは、そんなによかったのか?」
「やめて!」
反射的にルビイは叫んでいた。
おなかの中には…赤ん坊がいるかもしれないのだ。
いくら魔王の種でも、子どもに罪はないし、少なくともこんな異常者のために命を落としていいはずがない。
「魔王にしたのと同じことを、俺にもやってみろよ」
髪をつかんで持ち上げると、男はルビイの背を寝台にもたせかけた。
そして、手足をもがれた人形のようなルビイを憎々しげに見下ろし、吐き捨てるように言った。
「貴様が本当に改心したなら、魔王にしたみたいに俺をいかせてみろ。ほら、早くやりやがれ。この売女!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
503
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる