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第1章 覚醒
#2 再会①
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ベッドを降り、壁の鏡の前に立つ。
さらさらの長い髪を背中に垂らした、細面の女がルビイを見返してきた。
年の頃は20歳くらいか。
ルビイが死んだのと、ほぼ同じ年ぐらいだ。
切れ長の目に、凍った湖面のような冷ややかな瞳。
鼻筋が通り、引き結ばれた唇はどこか意志の強さを感じさせる。
これが、新しい私の顔。
”神”の言う通りだった。
転生は成功したのだ。
でも、と思う。
少しやせている点と、肌の色がおそろしく白いことを覗けば、なんと以前の私に似ていることだろう。
でも、いったい今は”いつ”で、ここは”どこ”なのか。
希望を伝える前に、転生は始まってしまっていたのだ。
したがって、ルビイには、今自分が置かれている状況がさっぱりわからない。
そうして、どれほどの間、鏡の中の自分に見入っていたことか。
ふと気づくと、鏡に映った部屋の扉が開いて、ガウンをまとった初老の男が戸口に立っていた。
男の正体に気づき、ルビイが眼を見開くのと、男がうめくような声をあげるのとが、ほとんど同時だった。
「お、おまえは、ルリじゃない…」
鏡の中で、20年分年老いたスナフがつぶやいた。
「ルビイ…ルビイじゃないか」
さらさらの長い髪を背中に垂らした、細面の女がルビイを見返してきた。
年の頃は20歳くらいか。
ルビイが死んだのと、ほぼ同じ年ぐらいだ。
切れ長の目に、凍った湖面のような冷ややかな瞳。
鼻筋が通り、引き結ばれた唇はどこか意志の強さを感じさせる。
これが、新しい私の顔。
”神”の言う通りだった。
転生は成功したのだ。
でも、と思う。
少しやせている点と、肌の色がおそろしく白いことを覗けば、なんと以前の私に似ていることだろう。
でも、いったい今は”いつ”で、ここは”どこ”なのか。
希望を伝える前に、転生は始まってしまっていたのだ。
したがって、ルビイには、今自分が置かれている状況がさっぱりわからない。
そうして、どれほどの間、鏡の中の自分に見入っていたことか。
ふと気づくと、鏡に映った部屋の扉が開いて、ガウンをまとった初老の男が戸口に立っていた。
男の正体に気づき、ルビイが眼を見開くのと、男がうめくような声をあげるのとが、ほとんど同時だった。
「お、おまえは、ルリじゃない…」
鏡の中で、20年分年老いたスナフがつぶやいた。
「ルビイ…ルビイじゃないか」
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