194 / 471
第2章 跪いて足をお舐め
#23 魔王の落とし子⑧
しおりを挟む
それには答えず、ルビイは走り出していた。
じっとしているより、駆けているほうがバランスを取りやすい。
ルビイの頑丈なライダーブーツの底が、揺れる大地を蹴った。
背後でカイルがまた何か叫んだようだったが、もう振り向かない。
仮に正体がバレたとしても、それがどうだというのだ。
彼の言うように、私は死ぬかもしれない。
カイルに再び会えるという保証など、どこにもないのだから。
疾走するルビイを狙うように、四方八方から地割れが迫ってくる。
それは5つの光る坑道から端を発し、崖自体を縦に割り、地面に亀裂をつくっている。
ルビイが目指しているのは、中央の坑道から続く一番広い裂け目である。
その奥に光の塊が見えたのだ。
本体がひそんでいるのは、間違いなくその奥だろう。
大気がうなり、突如として、1体のデスワームが横殴りに襲いかかってきた。
地面すれすれに身をかがめ、攻撃をやり過ごす。
後方から振り戻ってきた巨体を狙い、走りながらボウガンを撃った。
鋼鉄の銛があっけなく跳ね返される。
怪物の表皮は、おそろしく硬いようだった。
これでは、レイピアの刃も通らないに違いない。
銛をロープで手繰り寄せ、ボウガンにセットし直した。
攻撃はあきらめて、とにかく走ることに専念する。
1体、また1体と、ルビイの接近に気づいたデスワームたちが襲いかかってくる。
それを右に左に跳躍して避けながら、亀裂めざして全力疾走した。
もう少し、という所までたどり着いた時だった。
だしぬけに足の裏が空を蹴り、身体が宙に浮いた。
あっと思った時には、もう遅かった。
ふいに開いた地面の穴に呑み込まれ、ルビイは石礫のように漆黒の闇の底へと落下し始めた。
じっとしているより、駆けているほうがバランスを取りやすい。
ルビイの頑丈なライダーブーツの底が、揺れる大地を蹴った。
背後でカイルがまた何か叫んだようだったが、もう振り向かない。
仮に正体がバレたとしても、それがどうだというのだ。
彼の言うように、私は死ぬかもしれない。
カイルに再び会えるという保証など、どこにもないのだから。
疾走するルビイを狙うように、四方八方から地割れが迫ってくる。
それは5つの光る坑道から端を発し、崖自体を縦に割り、地面に亀裂をつくっている。
ルビイが目指しているのは、中央の坑道から続く一番広い裂け目である。
その奥に光の塊が見えたのだ。
本体がひそんでいるのは、間違いなくその奥だろう。
大気がうなり、突如として、1体のデスワームが横殴りに襲いかかってきた。
地面すれすれに身をかがめ、攻撃をやり過ごす。
後方から振り戻ってきた巨体を狙い、走りながらボウガンを撃った。
鋼鉄の銛があっけなく跳ね返される。
怪物の表皮は、おそろしく硬いようだった。
これでは、レイピアの刃も通らないに違いない。
銛をロープで手繰り寄せ、ボウガンにセットし直した。
攻撃はあきらめて、とにかく走ることに専念する。
1体、また1体と、ルビイの接近に気づいたデスワームたちが襲いかかってくる。
それを右に左に跳躍して避けながら、亀裂めざして全力疾走した。
もう少し、という所までたどり着いた時だった。
だしぬけに足の裏が空を蹴り、身体が宙に浮いた。
あっと思った時には、もう遅かった。
ふいに開いた地面の穴に呑み込まれ、ルビイは石礫のように漆黒の闇の底へと落下し始めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
503
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる