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第2章 跪いて足をお舐め

#96 傀儡皇子④

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 まさか、本当にやるだなんて…。

 目の前の光景にルビイは唖然とする思いだった。

 長テーブルの上に、スレンダーでありながら筋肉質の裸身を惜しげなく晒して、宮廷一の美青年、マリウスがブリッジの体勢を取っている。

 両手と両足で身体を支え、腰の中心をまっすぐ上に突き出しているのだ。

 中心からそそり立つのは、すっかり包皮が剥け、赤紫色の亀頭をあらわにした勃起ペニスである。

 そのベニスの亀頭の首の部分は天井から下がった細紐で結ばれ、これ以上ないほどきつく締め上げられている。

「素敵ですわ」

 満足げに微笑み、透ける素材のメイド服に身を包んだサトが、その身体に両手に盛ったオイルを塗っていく。

 肛門から陰嚢、性器の竿の部分を丹念に撫で上げられ、

「ああ…」
 
 顔をのけぞらせたマリウスが、切なげな吐息を漏らす。

「私はどうすればいいの?」

 手持ち無沙汰も手伝ってサトに訊くと、

「ご主人さま、ひょっとして、おトイレに行きたくはありませんか?」

 サトが妙な返事を返してきた。

「そうね。彼が来る前に、あなたと少しワインを飲んだから」

 言われてみれば、下腹部にわずかに尿意を感じている。

 正直にそれを口にすると、

「そんなことだろうと思ってました」

 サトの笑みが、してやったりとばかりに大きくなった。

「それがどうかしたの?」

 意味が分からず訊き返すルビイに、サトが茶目っぽくウィンクして寄こした。

「ちょうどいいです。マリウスさまにとっては、願ったりかなったりだと思います」

「え?」

「そのお小水、マリウスさまに飲ませてあげるのです」

「お小水って…私の、その、おしっこを…?」

「そうです。マリウスさまのお口に、ご主人さまのあそこをじかに密着させて、おしっこを飲ませて差し上げるのです。どうです? 素敵なアイデアだとは思いませんか?」

「呆れた」

 ルビイはぽかんとした表情で、小悪魔めいた笑みを浮かべたままのサトの顔を見た。

「ひょっとして、それもインキュバスの里の拷問のひとつなの?」

 うふふ、とサトが声に出して笑った。

「これは拷問というより、愛の儀式のひとつですね。愛しい女人の下僕になることを決意した殿方は、その愛する人の排せつ物を喰らい、飲む。それが私の生まれた村の掟だったのです」


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