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第6章 ネオ・チャイナの野望
#19 鬼岩城⑭
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そう叫ぶや否や、ルビイの胴回りほどもある太さの右腕が空を薙いだ。
ルビイの誤算は、童子第二形態の腕の長さを見誤ったことだった。
すさまじい質量のこぶしが、唸りを上げてルビイを襲う。
「ぐっ!」
辛うじて右腕上腕部で顔面直撃を防ぐのが精一杯だった。
巨獣の突進を素手で受けたような衝撃に、ルビイは身体ごと吹っ飛んだ。
数メートル宙を飛ばされ、背中から玉座の天蓋に突っ込んでしまう。
玉座を構成する資材が木っ端みじんに砕け、残骸に埋まったルビイの上に降り注ぐ。
立ち上がって逃げようとした時には、すでに童子が目と鼻の先に迫っていた。
熊手のごとき左手が伸び、ルビイの髪をつかんだ。
強引に引きずり上げられたルビイのあらわな腹めがけて、童子の強烈なパンチが炸裂する。
「あうっ!」
躰を二つ折りにして、ルビイはうめいた。
童子は容赦なく、ルビイの滑らかな下腹を岩のようなこぶしで殴りつけてくる。
「死ね! このクソアマ!」
耳まで裂けた口から牙を剥き出して、狂気に憑りつかれたような叫びを上げる。
内臓が潰れ、ドロドロの肉塊と化して口から飛び出す気がした。
くううっ! この化け物め!
打撃の痛みに薄れる意識を奮い立たせ、相手の攻撃の間合いに目を凝らす。
しばらく耐えていると、パンチの連打のリズムが見えてきた。
今だ!
ルビイは腰のばねを活かすと一気に両足を跳ね上げ、童子の鼻っ柱に渾身のキックを食らわせた。
「ぐはあっ!」
のけぞる童子。
髪の毛から童子の手が離れた。
着地と同時に跳躍し、壁際までジャンプする。
垂直な壁に両足の裏がついたところで、更に跳躍を繰り返す。
童子の頭上まで飛び上がり、長い足から繰り出す必殺の二段蹴りを繰り出そうとした時ー。
想定外の敏捷さで童子がルビイの攻撃をかわした。
「ちっ!」
かわされたルビイは、バランスを崩して床でたたらを踏んだ。
体勢を立て直そうと棒立ちになった一瞬のことである。
「もらった!」
いつのまに背後に回られたのかー。
頭上高く、握った両手を童子が振り上げた。
「あっ!」
振り向いた時には、すでに手遅れだった。
「くたばれ!」
童子が喚いた。
と、次の瞬間ー。
両のこぶしが落石のごとく飛来して、ルビイの無防備な裸の背中を、情け容赦なく強打した。
「ぎゃああっ!」
前身の骨が砕けるような激痛に、思わず絶叫するルビイ。
束の間意識が飛び、ルビイは陸に打ち上げられた魚のように大きく跳ね、冷たい床に顔面から激突した。
ルビイの誤算は、童子第二形態の腕の長さを見誤ったことだった。
すさまじい質量のこぶしが、唸りを上げてルビイを襲う。
「ぐっ!」
辛うじて右腕上腕部で顔面直撃を防ぐのが精一杯だった。
巨獣の突進を素手で受けたような衝撃に、ルビイは身体ごと吹っ飛んだ。
数メートル宙を飛ばされ、背中から玉座の天蓋に突っ込んでしまう。
玉座を構成する資材が木っ端みじんに砕け、残骸に埋まったルビイの上に降り注ぐ。
立ち上がって逃げようとした時には、すでに童子が目と鼻の先に迫っていた。
熊手のごとき左手が伸び、ルビイの髪をつかんだ。
強引に引きずり上げられたルビイのあらわな腹めがけて、童子の強烈なパンチが炸裂する。
「あうっ!」
躰を二つ折りにして、ルビイはうめいた。
童子は容赦なく、ルビイの滑らかな下腹を岩のようなこぶしで殴りつけてくる。
「死ね! このクソアマ!」
耳まで裂けた口から牙を剥き出して、狂気に憑りつかれたような叫びを上げる。
内臓が潰れ、ドロドロの肉塊と化して口から飛び出す気がした。
くううっ! この化け物め!
打撃の痛みに薄れる意識を奮い立たせ、相手の攻撃の間合いに目を凝らす。
しばらく耐えていると、パンチの連打のリズムが見えてきた。
今だ!
ルビイは腰のばねを活かすと一気に両足を跳ね上げ、童子の鼻っ柱に渾身のキックを食らわせた。
「ぐはあっ!」
のけぞる童子。
髪の毛から童子の手が離れた。
着地と同時に跳躍し、壁際までジャンプする。
垂直な壁に両足の裏がついたところで、更に跳躍を繰り返す。
童子の頭上まで飛び上がり、長い足から繰り出す必殺の二段蹴りを繰り出そうとした時ー。
想定外の敏捷さで童子がルビイの攻撃をかわした。
「ちっ!」
かわされたルビイは、バランスを崩して床でたたらを踏んだ。
体勢を立て直そうと棒立ちになった一瞬のことである。
「もらった!」
いつのまに背後に回られたのかー。
頭上高く、握った両手を童子が振り上げた。
「あっ!」
振り向いた時には、すでに手遅れだった。
「くたばれ!」
童子が喚いた。
と、次の瞬間ー。
両のこぶしが落石のごとく飛来して、ルビイの無防備な裸の背中を、情け容赦なく強打した。
「ぎゃああっ!」
前身の骨が砕けるような激痛に、思わず絶叫するルビイ。
束の間意識が飛び、ルビイは陸に打ち上げられた魚のように大きく跳ね、冷たい床に顔面から激突した。
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