気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#10 「砂の器」にはあってこれにはないもの ~祈りの幕が下りる時~

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「マスカレード・ホテル」同様、東野圭吾作品の映画化で、阿部寛演じる加賀刑事ものの第3弾。

 泣ける作品ですし、「マスカレード・ホテル」みたいにミステリ映画としての瑕瑾もなく、見て損はないです。
 
 でも…。 

 公開当時、犯人の過去の描き方の類似点から「現在版・砂の器」と持ち上げられていましたが、残念ながら、「砂の器」には遠く及びません。
 
 観終わってもさほど心に残らないのは、ある視点が欠けているからだと思います。

 主人公と犯人には共通点があります。

 ともに毒ママに捨てられた子どもだという点です。

 ところが映画では、この母親たちがなぜ夫と子を残して失踪したのか、その心理がほとんど描かれていないのです。

 なので、見ている側には、妙なもやもや感が最後まで残ることになります。

 犯人も主人公もその父親たちも確かに可哀想だけど、それって結局どっちもかあちゃんが悪いんじゃないの?

 かあちゃんたちにも何か弁解すべき事情があるのでは?

 そこを描かないと、一方的な視点の押しつけ、所謂カタテオチになってしまうのではないかと思うわけです。

 ちなみに、「砂の器」は何度見ても号泣必須の映画です。

 あれに比べると、この作品、残念ながらずいぶん軽いです。
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