最強への道 〜努力は俺を裏切らない

ペンギン

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3章 3つ巴ベース編

43話 一撃

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俺の動きを先読みしているが如く的確に槍が突いてくる。

攻撃は見切れない程速いわけではない

雷を纏っているが速度は意識があった時に比べると遅い
もしかしたら他のスキルを使用に制限がかかるかもしれない

だがーー"強い"

まるでお手本のような一切の狂いのない攻撃
何を考えているかわからない無の表情
更に殺意も感じない。

故に一切挙動が読めない。
だが、俺は何とか全神経に意識を集中させ避ける。

「ねぇねぇ!あの男粘りすぎじゃない。」

少女の声が耳に入る。
なんて事を言うんだ
俺が全力で戦っているのに。
今も必死で槍を避け続けている。

「僕も不可解だ。彼のスキルにこれといった強力なスキルはないのに…」

うん?優等生君の発言に気になる部分はあるが、それどころではない。まずは戦闘に集中しなければ

まるで詰将棋のように俺の攻撃を封じ、動く先へと穂先が向かってくる。何をしても通じない。

だが決して槍が早いわけではないのならば

ギリギリで避けれる。
だがそれも徐々に厳しくなってきている。

しかし、相手が俺の攻撃を分析し演算し予測してくるならば
それを越えるまでだろ

俺は敢えて【全力】の発動を止める
急激に低下する身体能力。
スキルの反動が全身を襲う。

ーーヤバイっ

「うっ!!」

槍を避け切れず、脇腹を抉られる。
かなり痛い。

だが、これでいいんだ。
【直感】がこの相手を超えるには、自らをより境地に立たせる必要があると、鍛えた力を技に昇華させるのだと伝えて来る。

俺は自分の努力を信じる。

槍を避ける。
転げながら切り裂かれながらでも
泥臭くてもみっともなくてもひたすらに避ける。

集中しろ!集中だ!

全神経、全意識を研ぎ澄ますんだ。
【集中】だ。より深く

相手が俺を分析し、俺の戦闘中の成長までも読んでくるならば
俺はその読みの上をいかなればならない

一瞬で爆発的な予想を超える一撃を放たなければならない

「はぁ!!!!」

殺気を込めた気合の咆哮
ピアス少年が俺から距離を取る。
何かを警戒したのだろう。
だが、この咆哮は俺自身を焚き付けるだけのもの

"一瞬の空白を生み出すためのもの"

俺はナイフを逆手に持ち、足幅を広げる。
全身の力を溜めるイメージ、溢れ出しそうな力を蓋で強引に抑え込むイメージで力を溜める。

抑えろ!まだ耐えろ

ピアス少年の槍がまるで一本の矢のように向かって来る。

狙う先は俺の心臓だろう。
避けなければと身体が警報を鳴らすが、意志の力でねじ伏せ

限界まで待つ。

穂先は既に俺の身体の数十センチまで来ている。

まだだ……

ーー来た!周りが速度がスローに見える。

穂先が服に触れるーーーここだ!

【全力】を一気に解放!
全身の筋肉を強引に可動させる。
骨と筋繊維が軋む音が聞こえる

槍を支点に身体を回転させ、一気に懐へ近づく

一撃で決める!

俺はナイフの柄を思いっきり相手の腹に撃ち込んだ。

スローと化した時間が戻り、ピアス少年はまるで弾丸のように吹き飛び壁にぶち当たる。

今度はピクリとも動かない。
……が死んではいないだろう

後は、口を開けたまま固まっている2人だ。

さて、どうするか…
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