伯爵令嬢は身の危険を感じるので家を出ます 〜伯爵家は乗っ取られそうですが、本当に私がいなくて大丈夫ですか?〜

超高校級の小説家

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そろそろ果物も集まったので帰ろうとした時、たくさんの馬の足音が聞こえてきました。足音は次第に近づいてきます。

まさかマトリカリアに私の生存が知られてしまったのではと少し不安になりました。

どうやら本当にこちらに向かって来たらしく、姿が見えてきたので慌ててノーラを連れて木陰に隠れました。弓を持った軽装の男性の乗った馬が次々と私達の横を通り過ぎようとしました。

ノーラが珍しそうに眺めています。こんな山奥では集団で移動する馬なんてなかなか見ることはないでしょう。

その中でも一際目を引く顔をした身なりの良い青年が馬を止めると、他の人もそれに倣いました。

「お嬢さん方はこの辺りの村の住人かい?」

「きゃあっ!」

突然話しかけられた私はびっくりして座り込んでしまいました。

「ちょっとフリージア、びっくりし過ぎでしょ。いくら何でも失礼だよ」

「いきなり馬上から失礼なことをしたね」

そう言うと、青年は馬から降りて私に手を差し伸べてきました。手を取らないのも失礼なので、私はそのまま起こしていただきました。

「あの、ありがとうございます」

「こちらこそ驚かせてすまなかったね」

近くで見ると本当に綺麗な顔をした優しそうな人でした。身なりも仕草も間違いなく貴族ですが、私を追って来た訳ではなさそうで安心しました。

「フリージアどしたの。顔が赤いよ」

「ノーラ!」

思わず見つめてしまっていたのて、ノーラがニヤニヤしながらからかってきたようです。

「殿下、市井の者とそのように話をするものではありません」

お連れの中から髭を生やした恐そうな人が怪訝そうな顔をしています。

「まあいいじゃないか。ところで、君達の村で昼休憩を取らせてもらえないかな。それで声をかけたんだ」

ノーラは少し考えているようでした。

「案内はしますけど、冬ごもりの準備が終わったところで、この人数のお食事を用意するのは無理だと思いますよ?」

ノーラは歳の割に私よりしっかりしています。冬の間は作物は取れませんし、雪が積もると村から出れなくなるので、食料を備蓄しておくのです。

「それは問題ないよ、ほら」

青年は馬にくくりつけた数匹のウサギの亡き骸を見せてきました。

「ひいっ!」

「あのさ、フリージア。いちいち驚きすぎだよ」

死んだウサギを見て青ざめている私をノーラは呆れた顔で見ています。

「そういうことでしたら、村についたら屠殺場に案内しますね」

「ありがとう。君達にもご馳走するからね」

「わあ、ありがとうございます!」

ノーラが意気揚々と道案内を始めたので、私はよろめきながら後を追いかけました。
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