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20:春の体術大会
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寒さが薄れ、季節はすっかり春になった。
今日は警邏隊の春の体術大会当日である。
イーヴォといやらしいことをしてしまった次の日。イーヴォから『全力で口説くのは大会が終わった後でな。まずは目先の大会に集中しろ』と言われた。
ちょっと抱きついてくるくらいのスキンシップはあったが、本当に本格的にアルッティを口説くのは体術大会が終わってからにするようである。
アルッティは一旦イーヴォとのあれこれは忘れて、ひたすら上位入賞を目指してガンガン鍛えてもらった。
前日に行われた予選をなんとか勝ち抜き、今日が本戦である。
気合もコンディションもいい感じだ。
アルッティが柔軟体操をしていると、マルーシェが紙を持って近くにやって来た。
今回はマルーシェも出ている。本戦は家族も観に来れるので、嫁と愛娘にいいところを見せたいらしい。
「アルッティ。これ見ろよ。上位八位以内に入ったら、お前、イーヴォ先輩とやり合うことになるぞ」
「……はぁ!? ちょっ、見せてくれ! うっそだろ……マジかよぉ!! 一緒に表彰台に上がる夢がっ!!」
「今回は諦めるしかないな。賞金が出るのは上位三位まででー、上位八位だと五連休もらえるらしいぞ。嫁ちゃんと娘ちゃん連れて小旅行に行きてぇから、ガチで狙っていくわ。俺」
「んーー。よし! イーヴォ先輩相手でも勝ちに行く! 死ぬ気で!!」
「頑張れよ。俺とお前は上位四位以内にならないとかち合わないしな。思う存分暴れるぞー」
「おー。ふふん。しこたまイーヴォ先輩からボッコボコに鍛えてもらいまくったからな。少なくともイーヴォ先輩とガチで戦えるまでは勝ち上がる!」
「俺もちょー頑張ろーっと。嫁ちゃんと娘ちゃんにいいとこ見せたいからな!」
マルーシェと『お互い頑張ろうぜ』と拳をぶつけ合うと、開会式が行われる時間になった。
本戦に出場できるのは予選を勝ち抜いた二十四人だけである。実はアルッティよりもマルーシェの方が強い。筋力はアルッティの方が上だが、とにかく素早い上に関節技がやたら上手く、アルッティが得意な力比べに持っていけない相性が悪い相手だ。
開会式が終わると、早速第一試合が行われる。アルッティはパァンと両手で自分の頬を叩いて気合を入れると、試合会場の中に入った。
体術大会のルールは、相手の膝か背中を地面につけるか、紐で仕切られている範囲の外に相手を出したら勝ちである。
第一試合の相手は、同じ官舎に住んでいた別の班の先輩だった。間違いなく賞金狙いである。
体格はアルッティの方がだいぶいい。その分、速さに気をつけておいた方がよさそうだ。
試合開始の合図と共に飛び込んできた先輩の拳をバックステップで避けると同時に全力で回し蹴りをかます。先輩が腕で防ごうとしていたが、身軽な分、アルッティの体重をのせた重い蹴りで身体が横に吹っ飛び、仕切り紐の外へと飛んでいった。
アルッティはふぅと小さく息を吐いた。
初戦の相手が、割と相性のいい相手でよかった。相手の体重が軽ければ、上手くいけば蹴り一発で場外にできる。
ふっ飛ばした先輩と握手をしてから、アルッティは次の試合まで、四つのブースに分かれて行われている試合をじっと観察した。
なんとか勝ち抜き、上位八位まできた。
次の試合の相手はイーヴォである。イーヴォ相手でも簡単に負けたくない。
アルッティはパァンと両手で頬を打って気合を入れると、イーヴォと向き合った。
イーヴォがニヤッと男臭く笑い、口を開いた。
「全力でこい。俺も全力でお前を叩き潰す」
「今回は全力で勝ちにいかせてもらいます」
「そうこなくっちゃ」
イーヴォが楽しそうに笑った。
試合開始の合図と共に素早くイーヴォが動いた。稽古中に散々くらいまくった蹴りを素早く伏せて躱し、イーヴォの軸足を狙って蹴りをかます。
イーヴォが飛び跳ねてくるりと空中を回り、しまった! と思った次の瞬間には背後をとられていた。
アルッティが動く前にイーヴォの太い腕が首に絡み、そのまま締められる。
クックッと楽しそうな低い笑い声が聞こえたかと思えば、イーヴォが首から腕を離し、同時に足払いをした。
体勢が崩れてなんとか前に倒れたアルッティの両足を掴み、イーヴォがそのまま力任せにぐるんぐるんアルッティの身体を振り回し始めた。
勢いよく振り回されてかなりキツい。ここからどうすればいいのか考えようとした瞬間、足からイーヴォの手が離れた。
自然と場外へと身体が飛んでいく。
「こ、んのぉぉぉぉ!」
アルッティは空中でなんとかくるりと回り、ずざぁぁぁぁっと地面に着地した。
ギリッギリ紐の外には出ていない。
イーヴォが楽しそうにぴゅーっと口笛を吹いた。
アルッティは真っ直ぐにイーヴォへ向かって駆け出した。腹に頭突きをするつもりで突進していると、イーヴォもこちらに向けてだっと駆け出し、頭突きのために頭を下げる前に、イーヴォの左腕がアルッティの首にがっと当たった。
思いっきり突進していたので、その勢いも相まって身体が浮き、次の瞬間には背中から地面に落ちていた。
「勝者! イーヴォ!」
響く審判の声を聞きながら、のろのろと起き上がると、イーヴォがニッと笑って手を伸ばしてきた。
イーヴォと握手をすると、イーヴォが嬉しそうに笑った。
「悪くない動きだったぜ。相手が俺じゃなけりゃ勝ててたかもな」
「ぐぅ……悔しいですっ!」
「ははっ! お前の分まで勝ってくる。ちゃんと見てろよ」
「はいっ!」
アルッティは試合会場から出ると、すぐに観客席に移動した。
マルーシェも上位八位に上がっていたが、次の試合で負け、上位四位には入れなかった。
近くにやってきたマルーシェとお互いの健闘を称えあってから、ひたすらイーヴォをガン見する。
アルッティはきゃーきゃー黄土色の歓声を上げながら、イーヴォを全力で応援した。
閉会式が終わると、イーヴォが走ってきて、そのまま真正面から抱きついてきた。
しっかりと受け止めて抱っこした状態で、イーヴォが満面の笑みを浮かべた。
至近距離での推しの輝く笑顔が眩しい。
「はっはっはー! 優勝してやったぜー!」
「おめでとうございます!!」
「ありがとな! 今日はもう解散だろ? ご褒美のお菓子買いに行こうぜ!」
「はいっ! あっ! 今夜はめちゃくちゃ豪華にしますか!? お高い牛肉のステーキとか!」
「最高! 肉食いてぇ。肉。あと酒」
「塩漬けの黒胡椒は食べきったから、今度は酒のツマミ用にオイル漬け買ってみます?」
「いいな! 試してみたい! よっと。んじゃ! 帰るぞー。明日から五連休だ!」
「はいっ! 五連休なんて入隊してから初めてですよ。俺」
「とことん楽しもうな!」
「はいっ!」
推しのキラキラ笑顔が眩しすぎて正直堪らん。
アルッティはうきうきと浮かれた足取りで詰め所を出て、イーヴォと一緒に馴染みの店へと向かった。
干した果物のチョコレートかけと黒胡椒の燻製オイル漬け、イーヴォが気に入っている木苺のジャム、何種類ものチーズを買い、市場へ寄ってお高い牛肉も含めた数日分の食料を買い込んだ。
家に帰りつく頃にはちょうど夕方になっていたので、先にイーヴォに風呂に入ってもらっている間に今夜のご馳走を作り始める。
イーヴォが気に入ってくれた木苺のジャムケーキも作る。連休中のおやつにする。
イーヴォの笑顔のために、アルッティはいつも以上に気合を入れて、丁寧にご馳走と酒のツマミを作り上げた。
酒は数日前のちょっと時間に余裕があった時に買ってある。
今夜は楽しく酒盛りだな! とうきうきしながら、イーヴォが風呂から出てくると、いそいそとご馳走を居間のテーブルに運んだ。
今日は警邏隊の春の体術大会当日である。
イーヴォといやらしいことをしてしまった次の日。イーヴォから『全力で口説くのは大会が終わった後でな。まずは目先の大会に集中しろ』と言われた。
ちょっと抱きついてくるくらいのスキンシップはあったが、本当に本格的にアルッティを口説くのは体術大会が終わってからにするようである。
アルッティは一旦イーヴォとのあれこれは忘れて、ひたすら上位入賞を目指してガンガン鍛えてもらった。
前日に行われた予選をなんとか勝ち抜き、今日が本戦である。
気合もコンディションもいい感じだ。
アルッティが柔軟体操をしていると、マルーシェが紙を持って近くにやって来た。
今回はマルーシェも出ている。本戦は家族も観に来れるので、嫁と愛娘にいいところを見せたいらしい。
「アルッティ。これ見ろよ。上位八位以内に入ったら、お前、イーヴォ先輩とやり合うことになるぞ」
「……はぁ!? ちょっ、見せてくれ! うっそだろ……マジかよぉ!! 一緒に表彰台に上がる夢がっ!!」
「今回は諦めるしかないな。賞金が出るのは上位三位まででー、上位八位だと五連休もらえるらしいぞ。嫁ちゃんと娘ちゃん連れて小旅行に行きてぇから、ガチで狙っていくわ。俺」
「んーー。よし! イーヴォ先輩相手でも勝ちに行く! 死ぬ気で!!」
「頑張れよ。俺とお前は上位四位以内にならないとかち合わないしな。思う存分暴れるぞー」
「おー。ふふん。しこたまイーヴォ先輩からボッコボコに鍛えてもらいまくったからな。少なくともイーヴォ先輩とガチで戦えるまでは勝ち上がる!」
「俺もちょー頑張ろーっと。嫁ちゃんと娘ちゃんにいいとこ見せたいからな!」
マルーシェと『お互い頑張ろうぜ』と拳をぶつけ合うと、開会式が行われる時間になった。
本戦に出場できるのは予選を勝ち抜いた二十四人だけである。実はアルッティよりもマルーシェの方が強い。筋力はアルッティの方が上だが、とにかく素早い上に関節技がやたら上手く、アルッティが得意な力比べに持っていけない相性が悪い相手だ。
開会式が終わると、早速第一試合が行われる。アルッティはパァンと両手で自分の頬を叩いて気合を入れると、試合会場の中に入った。
体術大会のルールは、相手の膝か背中を地面につけるか、紐で仕切られている範囲の外に相手を出したら勝ちである。
第一試合の相手は、同じ官舎に住んでいた別の班の先輩だった。間違いなく賞金狙いである。
体格はアルッティの方がだいぶいい。その分、速さに気をつけておいた方がよさそうだ。
試合開始の合図と共に飛び込んできた先輩の拳をバックステップで避けると同時に全力で回し蹴りをかます。先輩が腕で防ごうとしていたが、身軽な分、アルッティの体重をのせた重い蹴りで身体が横に吹っ飛び、仕切り紐の外へと飛んでいった。
アルッティはふぅと小さく息を吐いた。
初戦の相手が、割と相性のいい相手でよかった。相手の体重が軽ければ、上手くいけば蹴り一発で場外にできる。
ふっ飛ばした先輩と握手をしてから、アルッティは次の試合まで、四つのブースに分かれて行われている試合をじっと観察した。
なんとか勝ち抜き、上位八位まできた。
次の試合の相手はイーヴォである。イーヴォ相手でも簡単に負けたくない。
アルッティはパァンと両手で頬を打って気合を入れると、イーヴォと向き合った。
イーヴォがニヤッと男臭く笑い、口を開いた。
「全力でこい。俺も全力でお前を叩き潰す」
「今回は全力で勝ちにいかせてもらいます」
「そうこなくっちゃ」
イーヴォが楽しそうに笑った。
試合開始の合図と共に素早くイーヴォが動いた。稽古中に散々くらいまくった蹴りを素早く伏せて躱し、イーヴォの軸足を狙って蹴りをかます。
イーヴォが飛び跳ねてくるりと空中を回り、しまった! と思った次の瞬間には背後をとられていた。
アルッティが動く前にイーヴォの太い腕が首に絡み、そのまま締められる。
クックッと楽しそうな低い笑い声が聞こえたかと思えば、イーヴォが首から腕を離し、同時に足払いをした。
体勢が崩れてなんとか前に倒れたアルッティの両足を掴み、イーヴォがそのまま力任せにぐるんぐるんアルッティの身体を振り回し始めた。
勢いよく振り回されてかなりキツい。ここからどうすればいいのか考えようとした瞬間、足からイーヴォの手が離れた。
自然と場外へと身体が飛んでいく。
「こ、んのぉぉぉぉ!」
アルッティは空中でなんとかくるりと回り、ずざぁぁぁぁっと地面に着地した。
ギリッギリ紐の外には出ていない。
イーヴォが楽しそうにぴゅーっと口笛を吹いた。
アルッティは真っ直ぐにイーヴォへ向かって駆け出した。腹に頭突きをするつもりで突進していると、イーヴォもこちらに向けてだっと駆け出し、頭突きのために頭を下げる前に、イーヴォの左腕がアルッティの首にがっと当たった。
思いっきり突進していたので、その勢いも相まって身体が浮き、次の瞬間には背中から地面に落ちていた。
「勝者! イーヴォ!」
響く審判の声を聞きながら、のろのろと起き上がると、イーヴォがニッと笑って手を伸ばしてきた。
イーヴォと握手をすると、イーヴォが嬉しそうに笑った。
「悪くない動きだったぜ。相手が俺じゃなけりゃ勝ててたかもな」
「ぐぅ……悔しいですっ!」
「ははっ! お前の分まで勝ってくる。ちゃんと見てろよ」
「はいっ!」
アルッティは試合会場から出ると、すぐに観客席に移動した。
マルーシェも上位八位に上がっていたが、次の試合で負け、上位四位には入れなかった。
近くにやってきたマルーシェとお互いの健闘を称えあってから、ひたすらイーヴォをガン見する。
アルッティはきゃーきゃー黄土色の歓声を上げながら、イーヴォを全力で応援した。
閉会式が終わると、イーヴォが走ってきて、そのまま真正面から抱きついてきた。
しっかりと受け止めて抱っこした状態で、イーヴォが満面の笑みを浮かべた。
至近距離での推しの輝く笑顔が眩しい。
「はっはっはー! 優勝してやったぜー!」
「おめでとうございます!!」
「ありがとな! 今日はもう解散だろ? ご褒美のお菓子買いに行こうぜ!」
「はいっ! あっ! 今夜はめちゃくちゃ豪華にしますか!? お高い牛肉のステーキとか!」
「最高! 肉食いてぇ。肉。あと酒」
「塩漬けの黒胡椒は食べきったから、今度は酒のツマミ用にオイル漬け買ってみます?」
「いいな! 試してみたい! よっと。んじゃ! 帰るぞー。明日から五連休だ!」
「はいっ! 五連休なんて入隊してから初めてですよ。俺」
「とことん楽しもうな!」
「はいっ!」
推しのキラキラ笑顔が眩しすぎて正直堪らん。
アルッティはうきうきと浮かれた足取りで詰め所を出て、イーヴォと一緒に馴染みの店へと向かった。
干した果物のチョコレートかけと黒胡椒の燻製オイル漬け、イーヴォが気に入っている木苺のジャム、何種類ものチーズを買い、市場へ寄ってお高い牛肉も含めた数日分の食料を買い込んだ。
家に帰りつく頃にはちょうど夕方になっていたので、先にイーヴォに風呂に入ってもらっている間に今夜のご馳走を作り始める。
イーヴォが気に入ってくれた木苺のジャムケーキも作る。連休中のおやつにする。
イーヴォの笑顔のために、アルッティはいつも以上に気合を入れて、丁寧にご馳走と酒のツマミを作り上げた。
酒は数日前のちょっと時間に余裕があった時に買ってある。
今夜は楽しく酒盛りだな! とうきうきしながら、イーヴォが風呂から出てくると、いそいそとご馳走を居間のテーブルに運んだ。
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