部下に秘密を知られたから口止めとしてセフレになったのに思ってたのとなんか違う!

丸井まー(旧:まー)

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16:キスしたいけどしたくない※

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 ダミアンは、自分の上でいやらしく腰を振り、天井を見上げるように仰け反ってペニスから派手に精液を飛ばしているアルノーをじっと見つめた。繋いだ手にぎゅっと力が入っている。今すぐにこの手を引いて、貪るようなキスがしたい。

 はぁー、はぁー、と大きく荒い息を吐いているアルノーは、とろんとした淫らな顔をしている。アルノーのアナルがダミアンのペニスをきゅっ、きゅっ、と締めつけてくる。
 ダミアンは興奮して乾く唇を舐めると、下から腰を突き上げ始めた。


「あっ!? あっ! あっ! あぅっ! あぁっ!」

「気持ちいい? アル」

「き、もちいいっ! もっと! もっと! あぁっ! すごいっ! いいっ!」

「ははっ! 俺も、気持ちいい」


 ダミアンの動きに合わせて、アルノーも再び身体全体で上下に動き始めた。繋いだ指を絡めた手に、お互いに力が入る。アルノーが腰を下ろすタイミングで腰を突き上げると、ペニスの先っぽが腹の奥深くの肉の壁にぶつかる。その度にアルノーが美しい髪を振り乱し、大きく喘ぐ。快感で赤く染まる蕩けきった顔が美しくて、淫らで、可愛らしい。

 もうイッてしまいそうだ。久しぶりだからか、溜まっているからか、いつもより射精が早い気がする。淫らに乱れるアルノーが堪らなく可愛いからかもしれない。
 ダミアンはベッドが軋む音が響く程激しく腰を振りまくり、アルノーの腹の奥深くの肉の壁を強く突き上げて、またアルノーの腹の中に精液を吐き出した。

 荒い息を吐いているアルノーが倒れてきたので、抱きしめて、乱れた髪を整えるように頭を撫でる。アルノーの熱い頬にキスをすれば、アルノーが濡れた瞳でダミアンを見た。
 キスがしたい。でも、キスはしたくない。キスをしてしまったら、きっともっとアルノーのことが欲しくなってしまう。

 ダミアンは複雑な心境を誤魔化すように、アルノーの尻を掴み、ゆっくりと半分萎えたペニスをアナルに抜き差しし始めた。ダミアンのペニスはアルノーの中ですぐに完全復活した。
 アルノーがダミアンの肩に額をつけて、気持ちよさそうに喘いでいる。アルノーのさらさらの髪が肌に触れるのが心地いい。

 ダミアンは半分程ペニスを引き抜き、カリで引っ掻くように前立腺をペニスで擦り始めた。アルノーの喘ぎ声が大きくなり、ぎゅぎゅっとアナルが締まる。気持ちがいいし、興奮する。
 ダミアンは膝を立てて、興奮するがままにアルノーのほっそりした身体を抱きしめて、めちゃくちゃに激しく腰を振り始めた。
 耳元にアルノーの低く掠れた喘ぎ声が響く。今すぐにキスがしたい。溺れるような激しいキスが。

 ダミアンはキスがしたい欲求をぐっと堪えて、熱くて蕩けるようなアルノーの中の感触と快感に意識を集中した。アルノーの声がどんどん切羽詰まったものになっていく。下腹部に触れているアルノーの硬く勃起したペニスから熱い液体が飛び出すのを感じながら、ダミアンも低く唸り、またアルノーの中に精液を吐き出した。

 ぜぇ、ぜぇ、と掠れた息を吐いているアルノーの髪をかき上げ、汗や涙などで濡れた熱い頬にキスをすると、アルノーが濡れた瞳でダミアンを見た。涎で濡れた唇にキスがしたくて堪らない。でも、したくないし、したらいけない。
 ダミアンはゆっくりと萎えたペニスを引き抜き、アルノーを抱きしめて、ころんと横向きになった。
 とろんとした顔のアルノーの鼻筋にキスをする。


「少し休憩する?」

「うん」

「水を持ってくるよ」

「ありがとう」


 ダミアンは、顔にかかるアルノーの髪を優しく整えると、アルノーの額にキスをしてからベッドから下りた。
 階下の台所に向かいながら、自分の薄い唇を指先でなぞる。
 アルノーの唇にキスがしたい。アルノーの口内を舐め回して、舌を絡め合って、アルノーの唾液を啜りたい。

 ダミアンは台所で水差しに水を入れながら、はぁーっと大きな溜め息を吐いた。
 出張中にシーロと色々話したせいか、どうにもアルノーをいつもより意識してしまうし、淫らに乱れるアルノーが可愛くて堪らなくなる。
 アルノーとはセフレ関係で終わるべきだ。でも、その先を望んでしまう自分がいることに嫌でも気づいてしまった。これは割とマズい気がする。

 アルノーと恋人になることはできない。アルノーの不利益になりかねないからだ。しかし、アルノーと恋人になって、愛し合って、寄り添っていきたいと思ってしまう自分がいる。
 ダミアンは水でいっぱいになった水差しを置くと、ひんやりした水で顔を洗った。
 アルノーへの想いは墓まで持っていく。それしかない。もう少しだけセフレ関係を続けたい。アルノーの心は得られなくても、アルノーと熱と快感を分け合えるだけで満足するべきだ。

 ダミアンはグラスと水差しをお盆にのせると、寝室へと戻った。

 ちょっと休憩した後で、正常位で二回、ちんぐり返しの状態で一回、最後に再び正常位で一回すると、終わる頃には朝が近くなっていた。
 気絶するように寝落ちたアルノーの閉じ切らないアナルに浄化球を入れてから、ダミアンは眠るアルノーのすぐ隣に寝転がり、じっとアルノーの寝顔を眺めた。
 アルノーは寝顔も問答無用で美しい。ぐっすり寝ているアルノーの唇にキスがしたいのを我慢しながら、ダミアンはアルノーの素足に足を絡め、アルノーをゆるく抱きしめた。
 汗の匂いとアルノーの匂いがする。不思議と気持ちが落ち着いて、眠気が訪れる。
 ダミアンはアルノーの匂いに包まれながら、深い眠りに落ちた。

 ダミアンが自然に目覚めた時には、もう昼過ぎの時間帯だった。腕の中のアルノーは、まだぐっすり寝ている。
 ダミアンはアルノーを起こさないように静かに身体を離し、ベッドから下りた。
 空腹を訴える腹を擦りながら階下の風呂場へ行き、ざっとシャワーを浴びて汗や色んな液体を流すと、持参してきた服を着てから台所へ向かう。

 台所の魔導冷蔵庫の中を見れば、今日も沢山の食材が揃っている。アルノーに何を食べさせようかと考えながら食材を選び、ダミアンは必要なものを取り出すと、早速朝食兼昼食を作り始めた。
 ベッドで食べやすいものがいいから、メインは揚げた魚と卵ソースを挟んだサンドイッチにして、ベーコンと野菜ゴロゴロのスープも作る。紅茶は硝子のポットで淹れよう。ポットと揃いのデザインのカップもちゃんと買ってきてある。喉に優しいように、紅茶には蜂蜜を入れたらいいだろう。
 ダミアンはご機嫌に鼻歌を歌いながら、できるだけ丁寧に料理を作った。

 お盆に出来上がったものをのせて寝室に向かうと、アルノーが起きていた。枕に顔を埋め、腰を押さえて低く唸っている。



「おはようございます。アル。痛み止めかけますねー」

「よろしく……セックスって気持ちいいけど腰痛がエグい……」

「はい。かけましたよ」

「ありがとう。楽になったよ」


 アルノーが枕から顔を上げたので、用意しておいた温かい濡れタオルでアルノーの顔を拭いてやる。
 のろのろと起き上がったアルノーが、サイドテーブルの上に置いたお盆を見て、小さく歓声を上げた。


「すごく素敵なポットだね。硝子のカップもキレイだなぁ」

「蜂蜜を入れてますから、ちょっと甘いですよ」

「ありがとう。……ん。美味しい」

「よかったです」


 アルノーは硝子のポットとカップを気に入ってくれたようだ。なんとも嬉しくなる。
 美味しそうに食べてくれるアルノーを眺めながら、ダミアンもサンドイッチに齧りついた。揚げた魚はふわふわで、まろやかな卵ソースと絶妙に合っている。野菜スープもちゃんと美味しく出来ている。

 今日はこの後何をしようかと話しながら、ダミアンは胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。


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