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第一章 何処へ?
4.伊都子姫
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式部さんは泣き出したあたしを見てオロオロした。
「伊都子様…お苦しいのですか?
お薬湯がくるまで、少々お待ちくださいませ」
式部さんの後ろに控えていた、式部さんと同じくらいの年の凛とした感じの女性が「あの、お姫様は喉が渇いていらっしゃるのでは?飲み物をお持ちいたしましょう」と言って、膝でいざって簾の外へ出て行った。
式部さんの可哀相なほどの周章狼狽ぶりをみて、あたしは何とか涙を止めようとするけど、なかなか止まらなかった。
ごめんね、伊都子様とやらのことを心配してるんだよね。
でもあたし…伊都子様じゃないんだよ…
2021年の埼玉に住む18歳の高卒で、大学浪人が決定したおバカな一介の女子なんだよ…
でもなんでこんなことになったんだろう。
泣きながら考える。
駅のホームで階段を駆け下りてきた、でっかい男の人にぶつかられて、線路に落ちて。
そこに電車が来て、、、、
全然記憶にないけどたぶん、あたしは電車に轢かれて死んだ。
で、臨死体験した人がよく言う、三途の川みたいな場所のほとりにいた。
向こう岸から呼ばれて、声のする方へ行こうと歩いてたら、誰かが横にいて、、、、
あっ!
あたしは涙と一緒に息を飲んだ。
あの、高飛車な平安時代風のお姫様!
あの人が「伊都子様」か!
伊都子様に突き飛ばされて、あたし、この世に戻ってきたんだ。
でもなぜか、伊都子様の居た平安時代に。
伊都子様の身体で生き返っちゃった。
伊都子様は、恐らく川を渡って、あの世に行ってしまったんだろう。
本当に死んじゃったんだ…
この異常事態の理由が、朧気ながら見えてきてあたしは別の意味で不安になった。
どうしよう…
あたしに平安時代の姫なんて務まるわけがない!
程なくして先ほどの女性が小さなお盆に磁器製の吸い飲みのようなものを載せて戻ってきた。
式部さんがあたしの頭の下に左手を差し入れて少し持ち上げ、口に吸い飲みを差し込んでくれる。
少し甘みのある、冷たい水が口に広がった。
あ…美味しい。
飲み切ってしまうと、式部さんは「喉が渇いてらしたのですね。わたくしったら気づかなくて…」と恐縮したように言った。
「もう大丈夫です。ありがとうございます」
とあたしが言うと、式部さんはすごく驚いて、支えていたあたしの頭を危うく落としそうになった。
後ろの女性も、あたしの布団の周りにいる女性たちも、驚愕の表情を浮かべている。
なに…?
妙な反応にあたしも驚いて式部さんの顔を見ると、式部さんは涙を浮かべ「勿体ない…」と袖で目頭を押さえた。
周りの人たちも涙している。
そのとき「伊都子!」と男性の声がし、ガサガサと衣擦れの音がして誰かが入ってきた。
視界に中年男性と、中年女性の顔が現れる。
「伊都子…良かった…」
二人であたしの両手を取り、泣き崩れる。
伊都子様のご両親のようだ。
憔悴した二人の様子に、あたしは胸をつかれた。
あたしのお父さんお母さんも、あたしが轢死しちゃって泣いてるかな…
「伊都子様…お苦しいのですか?
お薬湯がくるまで、少々お待ちくださいませ」
式部さんの後ろに控えていた、式部さんと同じくらいの年の凛とした感じの女性が「あの、お姫様は喉が渇いていらっしゃるのでは?飲み物をお持ちいたしましょう」と言って、膝でいざって簾の外へ出て行った。
式部さんの可哀相なほどの周章狼狽ぶりをみて、あたしは何とか涙を止めようとするけど、なかなか止まらなかった。
ごめんね、伊都子様とやらのことを心配してるんだよね。
でもあたし…伊都子様じゃないんだよ…
2021年の埼玉に住む18歳の高卒で、大学浪人が決定したおバカな一介の女子なんだよ…
でもなんでこんなことになったんだろう。
泣きながら考える。
駅のホームで階段を駆け下りてきた、でっかい男の人にぶつかられて、線路に落ちて。
そこに電車が来て、、、、
全然記憶にないけどたぶん、あたしは電車に轢かれて死んだ。
で、臨死体験した人がよく言う、三途の川みたいな場所のほとりにいた。
向こう岸から呼ばれて、声のする方へ行こうと歩いてたら、誰かが横にいて、、、、
あっ!
あたしは涙と一緒に息を飲んだ。
あの、高飛車な平安時代風のお姫様!
あの人が「伊都子様」か!
伊都子様に突き飛ばされて、あたし、この世に戻ってきたんだ。
でもなぜか、伊都子様の居た平安時代に。
伊都子様の身体で生き返っちゃった。
伊都子様は、恐らく川を渡って、あの世に行ってしまったんだろう。
本当に死んじゃったんだ…
この異常事態の理由が、朧気ながら見えてきてあたしは別の意味で不安になった。
どうしよう…
あたしに平安時代の姫なんて務まるわけがない!
程なくして先ほどの女性が小さなお盆に磁器製の吸い飲みのようなものを載せて戻ってきた。
式部さんがあたしの頭の下に左手を差し入れて少し持ち上げ、口に吸い飲みを差し込んでくれる。
少し甘みのある、冷たい水が口に広がった。
あ…美味しい。
飲み切ってしまうと、式部さんは「喉が渇いてらしたのですね。わたくしったら気づかなくて…」と恐縮したように言った。
「もう大丈夫です。ありがとうございます」
とあたしが言うと、式部さんはすごく驚いて、支えていたあたしの頭を危うく落としそうになった。
後ろの女性も、あたしの布団の周りにいる女性たちも、驚愕の表情を浮かべている。
なに…?
妙な反応にあたしも驚いて式部さんの顔を見ると、式部さんは涙を浮かべ「勿体ない…」と袖で目頭を押さえた。
周りの人たちも涙している。
そのとき「伊都子!」と男性の声がし、ガサガサと衣擦れの音がして誰かが入ってきた。
視界に中年男性と、中年女性の顔が現れる。
「伊都子…良かった…」
二人であたしの両手を取り、泣き崩れる。
伊都子様のご両親のようだ。
憔悴した二人の様子に、あたしは胸をつかれた。
あたしのお父さんお母さんも、あたしが轢死しちゃって泣いてるかな…
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