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第一章 何処へ?
13.弟君
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日記を何とか読もうとしていると、簾の外が騒がしくなり、遠くできゃーっという悲鳴が聞こえた。
何とか様!(聴きとれない)と叫ぶ男の人の声もする。
何だどうした、と、あたしが簾の裾を持ち上げて外を見ると、広い縁側の外は中庭のようで、築山が美しく作られて池もあり、花がいっぱい咲いていた。
その、美しいけれど広いとは言えない庭に建物の右側から従者のような人や、裾の短い着物を着た下働きの女性らしき人々が何人かなだれ込んできた。
建物は右側が庭の方へでっぱっていて、ここからは奥がどうなってるのか見えない。
「お停まりください!伊靖様!」
「この先は伊都子姫様の…!!」
焦ったように叫ぶ人々の声に混ざって、はっはっはぁ!と大声で笑っている声が響く。
なんなの、と見ていると。
狂ったように暴れている馬が入ってきた。
暴れ馬には烏帽子をかぶり、緑色の鮮やかな直衣を着た若者が乗っている。
楽しそうに顔を火照らせ、「どう!どうどう!白馬!鎮まれ!」と手綱を引く。
従者の人が息も絶え絶えに走ってきて、やっと馬のはみをつかんだ。
馬は鼻息荒くたてがみを振って、おとなしくなった。
「姉上!ご無沙汰しております!
貴女の弟の伊靖が、ご病気平癒見舞いに参りましたよ!」
馬上の若者が烏帽子を取って、あたしに向かって振り回した。
「姫様っっ」
「お危のうございます!早く中へ!」
あたしは女房さん達に部屋の中へ引きずり込まれてしまった。
外の「伊靖様!」という声が、家の中に移ったようだ。
女房さん達は「さ、御帳台の中へ!」とあたしを布団の片付けられた寝室へ押し込んだ。
置かれた座布団に所在なく座っていると、御帳台の裾がひょいと持ち上げられて、いたずらっ子のような伊靖様の顔がのぞいた。
「姉上、あの世からお戻りあそばしたそうで。
さすがの閻魔大王も姉上の毒舌には敵わなかったと見える」
くすくすと笑う。
「今、ちょうど幼馴染の義光が、方違えで私のところに来ていましてね。
あいつも姉上に会いたがってたから、後でまた義光と伺いますよ」
と言って、さっさと部屋を出て行った。
伊都子様には、弟君がいらっしゃったのか。
状況が全然判らない内に、あっちからどんどんやって来る。
何とか様!(聴きとれない)と叫ぶ男の人の声もする。
何だどうした、と、あたしが簾の裾を持ち上げて外を見ると、広い縁側の外は中庭のようで、築山が美しく作られて池もあり、花がいっぱい咲いていた。
その、美しいけれど広いとは言えない庭に建物の右側から従者のような人や、裾の短い着物を着た下働きの女性らしき人々が何人かなだれ込んできた。
建物は右側が庭の方へでっぱっていて、ここからは奥がどうなってるのか見えない。
「お停まりください!伊靖様!」
「この先は伊都子姫様の…!!」
焦ったように叫ぶ人々の声に混ざって、はっはっはぁ!と大声で笑っている声が響く。
なんなの、と見ていると。
狂ったように暴れている馬が入ってきた。
暴れ馬には烏帽子をかぶり、緑色の鮮やかな直衣を着た若者が乗っている。
楽しそうに顔を火照らせ、「どう!どうどう!白馬!鎮まれ!」と手綱を引く。
従者の人が息も絶え絶えに走ってきて、やっと馬のはみをつかんだ。
馬は鼻息荒くたてがみを振って、おとなしくなった。
「姉上!ご無沙汰しております!
貴女の弟の伊靖が、ご病気平癒見舞いに参りましたよ!」
馬上の若者が烏帽子を取って、あたしに向かって振り回した。
「姫様っっ」
「お危のうございます!早く中へ!」
あたしは女房さん達に部屋の中へ引きずり込まれてしまった。
外の「伊靖様!」という声が、家の中に移ったようだ。
女房さん達は「さ、御帳台の中へ!」とあたしを布団の片付けられた寝室へ押し込んだ。
置かれた座布団に所在なく座っていると、御帳台の裾がひょいと持ち上げられて、いたずらっ子のような伊靖様の顔がのぞいた。
「姉上、あの世からお戻りあそばしたそうで。
さすがの閻魔大王も姉上の毒舌には敵わなかったと見える」
くすくすと笑う。
「今、ちょうど幼馴染の義光が、方違えで私のところに来ていましてね。
あいつも姉上に会いたがってたから、後でまた義光と伺いますよ」
と言って、さっさと部屋を出て行った。
伊都子様には、弟君がいらっしゃったのか。
状況が全然判らない内に、あっちからどんどんやって来る。
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