三日夜の餅はハイティーと共に

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第二章 賀茂祭・流鏑馬神事

1.賀茂祭とは?

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 その日の夜、あたしは式部さんと衛門さんに脚をマッサージしてもらいながら、思い切って訊いてみた。
 「左近衛中将様がおっしゃってた『賀茂祭の流鏑馬神事の射手』って何?」
 
 式部さんと衛門さんは一瞬、顔を見合わせたが、先ほどの左近衛中将様の言葉を思い出したのか、納得したように頷いて話してくれた。
 「賀茂祭は別名、葵祭とも申し上げます。
 五月初旬に前儀と呼ばれる祭が行われておりまして、流鏑馬の神事と申します催しが一番人気があります」

 「これは、馬に乗って駆け抜けざまに的に向かって矢を射るというもので、矢が的中すればその年は豊作になり諸願が成就するというものでございます。
 その射手に選ばれる公達は当然、馬術と弓矢の名手でなくてはならず、大変名誉なことなのですわ」

 あー…葵祭!
 TVでやってるのを見たことがある。

 平安時代の公家装束の恰好をした人たちが京都の町を練り歩くやつだ。
 流鏑馬神事というのは知らないけど、そういうのもあるんだな。

 さっき、全然知らないから適当におめでとーって感じで軽く言っちゃった。
 悪いことしたなあ…
 せっかく、あたしに一番に報せてくれたのに。
 左近衛中将様の雄姿をぜひ見たい!

 「再来月と申しましても、今日は三月の晦日つごもりでございますから、正味あとひと月くらいでございますわね。
 左近衛中将様も練習に励まれることでしょう」

 「それは見ることはできないの?」
 我慢できず訊いてみる。
 式部さんは困ったように頬に手を遣る。
 「左様でございますわねえ…桟敷席が用意されるとは存じますが…
 お車では、場所がちょっと悪うございますね」

 ああ…そうなんだ。
 あたしはがっかりした。

 「お殿様や伊靖君は行かれることでしょう。
 先ほど、左近衛中将様も早馬を立てられるとおっしゃっておいででしたから、逐一様子は知らせてくることと思いますわ」

 インスタライブとかがあればなあ!
 その場にいなくてもアップしてくれれば、ライブで見られるのに。
 あたしは不便な時代を呪った。

 「さあ、もうお寝みあそばせ。
 わたくしどもも失礼いたします」
 小さな灯火ひとつにすると、そっと二人は出て行った。
 あたしは、なんとかして見に行く方法がないものか、考えていた。

 左近衛中将様…
 伊都子姫をあんなに愛しているんだと思うと、あたしの心は伊都子姫に嫉妬してしまう。
 もうこの世にいない人なのに。
 あたしがその姿を借りているのに。
 
 ねえ、伊都子姫。
 あたしは、伊都子姫の姿で、左近衛中将様と恋愛してもいい?

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