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第四章 上達部との交流
3.東宮、やる気満々
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おやつを食べ終わるころ「失礼いたします、殿下、姉上」と言って、伊靖君が入ってきた。
何故か義光君も一緒に入ってくる。
「本日のお越し、誠にありがとうございます。
父は、まだ参内しておりまして、殿下の御前に罷り越すことができません、大変申し訳ありませんと言伝がございました」
と二人並んで平伏する。
「いや、右大臣からは今日の訪問はお断りしたいとのお文を頂いていたのだよ。
でも私はどうしても伊都子姫にお会いしたくて、東宮御所を抜け出してきてしまったのだ」
快活に笑って言う。
ツッコミどころ満載で、もうあたしはため息をつくしかなかった。
「しかし、治部大輔と民部大輔はいつも一緒だね。
兄弟のようだ。
…まあ、民部大輔の目当ては、別にありそうだけど」
あたしの方を意味ありげに見る。
「そうだ姉上、厩舎の舎人頭が泣いて訴えてきましたよ。
姉上が乗馬をしたいと言い出したと。
どうにかしろと言われても無理だって」
伊靖君、今それをここで言うかい?
君も空気読めよ!
東宮は可愛いきょとん顔でしばらくあたしの顔を眺めていたが、やがて耐えきれないといったように大笑いしだした。
うるさい。
東宮じゃなかったらぶっ飛ばす。
「別に外に出たいってわけじゃないの。
お屋敷の中を乗れればそれで満足なのよ」
だいたい、泣いて訴えてきたとか、大袈裟なんだよ!
「ああ、本当に面白い方だ。
貴女といると、嫌なことをすべて忘れてしまうな」
涙を拭きながら東宮は笑いの残る声で言う。
「ところで、先ほどから気になっているんだが…その、囲碁のような駒は何ですか?」
あ、片付けが間に合わなかったオセロ。
几帳を退けられちゃうとか思わないから、そのままにしといたんだった。
「これは…わたくしが考案しました(って言うしかない)、オセロという遊戯で…」
「へえ!それはどんなものですか。
やってみたい」
本当に好奇心旺盛だな。
あたしと同い年くらいか?
少年みたい。
あたしは嫌々ながらも、女房さん達を呼んでやって見せた。
伊靖君と義光君ものめり込んで見ていて、少年三人は夢中になって何度も対戦相手を変えてやっている。
そのうち、またしても帰ってこない東宮をお迎えに使者が続々とやってきて、東宮は渋々腰を上げた。
「楽しかった。囲碁や将棋のように時間がかからないのが良い。
一見簡単なようで、なかなか奥が深い。
これはぜひ、伊都子姫社交会でもやりましょう」
楽しげに言う東宮を、あたしたちは見上げた。
「伊都子姫社交会?」
「右大臣家で催す、知的な催しの名称ですよ。
楽しみだ。参加したいという公達もだいぶ集まっているよ。
最初は人選を厳選しないとね。
この社交会の格に関わってくるから」
やる気満々だなぁ、人ん家で、人の名前使って。
「それ、どうしてもやらなきゃいけません?」
あたしは嫌だという思いを、声に乗せて訊く。
東宮は心外だというように目を見開く。
「何をおっしゃるんですか、姫。
貴女の魅力が私をして社交場を立ち上げさせるんですよ!
また文を書きます。
貴女に解ってもらわなければ」
いーらーねーよー。
どうせ、自分の思い通りにしちゃうんでしょうよ。
「あ、そうだ。
今日お持ちしたものの中に、姫宛ての食材が入っています。
次回までに創作料理を作ってくださいね。
これは第一回社交会の、参加者共通の課題ですから」
東宮は爽やかに笑い、馬にひらりと飛び乗ると帰っていった。
何故か義光君も一緒に入ってくる。
「本日のお越し、誠にありがとうございます。
父は、まだ参内しておりまして、殿下の御前に罷り越すことができません、大変申し訳ありませんと言伝がございました」
と二人並んで平伏する。
「いや、右大臣からは今日の訪問はお断りしたいとのお文を頂いていたのだよ。
でも私はどうしても伊都子姫にお会いしたくて、東宮御所を抜け出してきてしまったのだ」
快活に笑って言う。
ツッコミどころ満載で、もうあたしはため息をつくしかなかった。
「しかし、治部大輔と民部大輔はいつも一緒だね。
兄弟のようだ。
…まあ、民部大輔の目当ては、別にありそうだけど」
あたしの方を意味ありげに見る。
「そうだ姉上、厩舎の舎人頭が泣いて訴えてきましたよ。
姉上が乗馬をしたいと言い出したと。
どうにかしろと言われても無理だって」
伊靖君、今それをここで言うかい?
君も空気読めよ!
東宮は可愛いきょとん顔でしばらくあたしの顔を眺めていたが、やがて耐えきれないといったように大笑いしだした。
うるさい。
東宮じゃなかったらぶっ飛ばす。
「別に外に出たいってわけじゃないの。
お屋敷の中を乗れればそれで満足なのよ」
だいたい、泣いて訴えてきたとか、大袈裟なんだよ!
「ああ、本当に面白い方だ。
貴女といると、嫌なことをすべて忘れてしまうな」
涙を拭きながら東宮は笑いの残る声で言う。
「ところで、先ほどから気になっているんだが…その、囲碁のような駒は何ですか?」
あ、片付けが間に合わなかったオセロ。
几帳を退けられちゃうとか思わないから、そのままにしといたんだった。
「これは…わたくしが考案しました(って言うしかない)、オセロという遊戯で…」
「へえ!それはどんなものですか。
やってみたい」
本当に好奇心旺盛だな。
あたしと同い年くらいか?
少年みたい。
あたしは嫌々ながらも、女房さん達を呼んでやって見せた。
伊靖君と義光君ものめり込んで見ていて、少年三人は夢中になって何度も対戦相手を変えてやっている。
そのうち、またしても帰ってこない東宮をお迎えに使者が続々とやってきて、東宮は渋々腰を上げた。
「楽しかった。囲碁や将棋のように時間がかからないのが良い。
一見簡単なようで、なかなか奥が深い。
これはぜひ、伊都子姫社交会でもやりましょう」
楽しげに言う東宮を、あたしたちは見上げた。
「伊都子姫社交会?」
「右大臣家で催す、知的な催しの名称ですよ。
楽しみだ。参加したいという公達もだいぶ集まっているよ。
最初は人選を厳選しないとね。
この社交会の格に関わってくるから」
やる気満々だなぁ、人ん家で、人の名前使って。
「それ、どうしてもやらなきゃいけません?」
あたしは嫌だという思いを、声に乗せて訊く。
東宮は心外だというように目を見開く。
「何をおっしゃるんですか、姫。
貴女の魅力が私をして社交場を立ち上げさせるんですよ!
また文を書きます。
貴女に解ってもらわなければ」
いーらーねーよー。
どうせ、自分の思い通りにしちゃうんでしょうよ。
「あ、そうだ。
今日お持ちしたものの中に、姫宛ての食材が入っています。
次回までに創作料理を作ってくださいね。
これは第一回社交会の、参加者共通の課題ですから」
東宮は爽やかに笑い、馬にひらりと飛び乗ると帰っていった。
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