三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第六章 運命の歯車

12.ビンゴゲーム

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 「それで、月子姫は私たちにどんな案をお求めなのですか?」
 冷たく冷やした小さな桃を口に入れながら、権中納言様が訊く。

 「えーっとね、先日の庚申待でやったジェスチャーゲーム、一番数多くあてた人に賞品をつけたでしょう。
 あれを発展させて、いろんな賞品を差しあげるだけのゲームはどうかしらと」

 「そんなことができるんですか?」
 元信様が問う。
 「わたくしが頂戴した石鹸でございますわね。
 とても嬉しゅうございましたわ」
 と手を胸の前で打ち合わせて、縫姫が笑った。

 「そうそう、右近衛大将が宮中に戻ってからもずっとその話をしていて、中宮もご興味を抱かれたようでした。
 ああいう、女人受けするようなもの、右近衛大将は好きなんですよ」
 と権中納言様も微笑む。

 「それでね、こういうカードを使ったものなんだけど」
 とあたしは25個の数字が入ったカードを見せる。

 「これは…?
 さまざまな数字が入っていますね」
 元信様があたしの手元を覗き込む。

 「ビンゴって言いますの。
 で、これがビンゴマシン代わりの、カードね」

 ビンゴマシンはさすがに作れなかったので、昔、親戚の家でやったことのある、カードタイプにした。
 1から75までの数字を書いたカードをシャッフルして、ランダムにめくっていってビンゴマシンの玉の代わりにする。

 「それで?どうやるんです?」
 権中納言様は前のめりだ。
 本当に、数字のつくものは何でも好きなのね。
 
 あたしは笑って「ちょっとやってみましょうか。賞品はなしで」と言って、大工の棟梁の弟子さんの労作のカードを配る。

 「真ん中の『空』と書いてあるところを、抜いてくださいね」
 お手本を見せる。
 
 「へえ…すごい。一枚の紙かと思ったら、切れ目が入っていて、向こう側に折れ曲がるようになっているんですね」
 元信様が感心したように言った。

 そう、大変だったのよ~、紙がそもそもそんなふうに使うようにできてないし。
 めっちゃ器用な弟子さんと、いつも快く弟子さんを貸してくれる棟梁には、お殿様に頼んで臨時ボーナス出してあげた。
 
 「で、このカードをよく切って、一番上のカードをめくります…っと」
 あたしはカードをめくって、皆に見せる。
 数字は「五二ごじゅうに」だった。

 「手持ちのカードに、この数字があれば、先ほどと同じように抜いてください。
 では次のカードね」

 「あ、ひとりひとりカードに書いてある数字が違うんですのね」
 縫姫が楽しそうに言う。
 
 「そう。
 それで、縦横斜めのいずれかが一列が全て空いたら『ビンゴ』って宣言してくださいね。
 ビンゴした順番に、賞品が当たるってわけ」

 「あ、なるほど…くじ引きに遊戯性を持たせたような感じですね。
 これは面白い。さっそくやってみましょう」
 権中納言様は腕まくりせんばかりで、あたしたちは皆、笑ってしまう。

 女房さん達に手伝ってもらい、次々にカードをめくり、あたしたちは大騒ぎしながら遊んだ。
 女房さん達も楽しそうに笑ってやってくれている。

 一番は元信様、次に縫姫だった。
 あたしと権中納言様は全然開かなくて、途中でリタイアした。

 「ああ、面白かったです!
 これで賞品があったら、もっと盛り上がるでしょうね」
 権中納言様は大きくため息をついて言った。

 「そうなんですの。
 それで、賞品を東宮様とあれこれ考えたのですが、まだ足りなくて。
 一緒に考えて頂きたいの」
 とあたしは、リストを出しながら皆に相談する。
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