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第七章 宮中
9.疑い
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あたしが尋ねた途端に右近衛大将様は、暗く厳しい表情になる。
「検非違使庁から役人が派遣されてきていて、皆、事情聴取を受けています。
私も先ほど、いろいろ聞かれました。
姫も呼ばれるかもしれません」
え、検非違使庁って…警察か!
何で?食中毒ごときで役人が調査?
右近衛大将様は手を伸ばして、あたしの頬を撫でる。
「厨で死亡者が出ました。
今日の夕食に、毒が仕込んであったらしい」
「夕食自体は厨司達もウィルスとやらに感染している疑いが濃厚なので、月子姫の指示通り破棄しています。
勿体ないと、卑しい根性を出した厨司の一人が口にして、すぐに絶命したと」
ええーっ!
って、え、待って。
それで何で、右近衛大将様や皆が検非違使庁の役人に呼び出されるの?
「この先は、皆で話しましょう。
二人で居る時間も貴重だが、殿下が煩い。
姫の目が覚めたら、すぐにお連れするようにと言われていたのでね」
右近衛大将様は立ち上がると、あたしの手を取って立ち上がらせて楓間を出る。
あたしは更衣様にご挨拶したかったけれど、お寝みのようだったので遠慮した。
長い廊下を右左に折れて、ひたすら歩く。
松明があちこちに掲げてはあるけれど、ゆらゆら揺れる炎に影が映ってめちゃめちゃ怖い。
あたしは思わず右近衛大将様にしがみつき、右近衛大将様は歩きにくかったのか、あたしを抱きあげてすたすたと進んでいく。
意外に力持ちだなぁ。
部屋の前で警護していた衛士が異様な人影に警戒して構えようとし、右近衛大将様の顔を確認するとすぐに警戒を解いた。
「ご苦労さん」と右近衛大将様は軽く言って、部屋に入った。
「月子姫、お目ざめですよ」
右近衛大将様はこれ見よがしに、あたしを抱きかかえたまま部屋の中央まで行く。
「待ちかねましたよ、月子姫。
さあ、こちらへ。
右近衛大将、もういいだろう姫を降ろせ」
東宮がせかすように言う。
部屋には東宮・権中納言様・元信様・伊靖君と義光、それからなんと主上がいた。
あたしは、主上と東宮の間に降ろされる。
ものすごく、居心地が悪い。
「今日はお疲れ様でした。
姫の獅子奮迅の働きのお陰で、牡蠣を食べなかった者には感染者は出ませんでした。
…本当に、貴女の手にかかると、物事は何でも理屈で片が付くのだな。
加持祈祷なんて意味がない、と断言なさるわけだ」
東宮にとって、よっぽど衝撃だったんだろうな、あたしのあのセリフは…
何度も言われちゃう『加持祈祷なんて意味がない』。
「もうそれは、ご勘弁くださいまし」
あたしは困ったように笑ってみせる。
「ははは、判りましたよ。
さて、主上にまで同席して頂いたのには、訳がある」
「先ほど、皆も検非違使庁の役人に事情を聴かれたことと思う。
月子姫には…後で右大臣家に役人が行って、大臣《おとど》も一緒に話を聞くそうだ」
「今日のことで何か、不手際がございましたか」
あたしは不安になって訊く。
厨で死亡者が出たことと、あたしになんの関係があるの?
「夕食に仕込んであった毒は、伊都子姫の仕業だと、厨司長が証言した」
主上が低い声で呟くように言う。
え…
ええーっ!
あたしは驚きすぎて、後ろに倒れそうになる。
主上と東宮が同時に手を出して支えてくれる。
何で?!
意味が判らないよ!!
「検非違使庁から役人が派遣されてきていて、皆、事情聴取を受けています。
私も先ほど、いろいろ聞かれました。
姫も呼ばれるかもしれません」
え、検非違使庁って…警察か!
何で?食中毒ごときで役人が調査?
右近衛大将様は手を伸ばして、あたしの頬を撫でる。
「厨で死亡者が出ました。
今日の夕食に、毒が仕込んであったらしい」
「夕食自体は厨司達もウィルスとやらに感染している疑いが濃厚なので、月子姫の指示通り破棄しています。
勿体ないと、卑しい根性を出した厨司の一人が口にして、すぐに絶命したと」
ええーっ!
って、え、待って。
それで何で、右近衛大将様や皆が検非違使庁の役人に呼び出されるの?
「この先は、皆で話しましょう。
二人で居る時間も貴重だが、殿下が煩い。
姫の目が覚めたら、すぐにお連れするようにと言われていたのでね」
右近衛大将様は立ち上がると、あたしの手を取って立ち上がらせて楓間を出る。
あたしは更衣様にご挨拶したかったけれど、お寝みのようだったので遠慮した。
長い廊下を右左に折れて、ひたすら歩く。
松明があちこちに掲げてはあるけれど、ゆらゆら揺れる炎に影が映ってめちゃめちゃ怖い。
あたしは思わず右近衛大将様にしがみつき、右近衛大将様は歩きにくかったのか、あたしを抱きあげてすたすたと進んでいく。
意外に力持ちだなぁ。
部屋の前で警護していた衛士が異様な人影に警戒して構えようとし、右近衛大将様の顔を確認するとすぐに警戒を解いた。
「ご苦労さん」と右近衛大将様は軽く言って、部屋に入った。
「月子姫、お目ざめですよ」
右近衛大将様はこれ見よがしに、あたしを抱きかかえたまま部屋の中央まで行く。
「待ちかねましたよ、月子姫。
さあ、こちらへ。
右近衛大将、もういいだろう姫を降ろせ」
東宮がせかすように言う。
部屋には東宮・権中納言様・元信様・伊靖君と義光、それからなんと主上がいた。
あたしは、主上と東宮の間に降ろされる。
ものすごく、居心地が悪い。
「今日はお疲れ様でした。
姫の獅子奮迅の働きのお陰で、牡蠣を食べなかった者には感染者は出ませんでした。
…本当に、貴女の手にかかると、物事は何でも理屈で片が付くのだな。
加持祈祷なんて意味がない、と断言なさるわけだ」
東宮にとって、よっぽど衝撃だったんだろうな、あたしのあのセリフは…
何度も言われちゃう『加持祈祷なんて意味がない』。
「もうそれは、ご勘弁くださいまし」
あたしは困ったように笑ってみせる。
「ははは、判りましたよ。
さて、主上にまで同席して頂いたのには、訳がある」
「先ほど、皆も検非違使庁の役人に事情を聴かれたことと思う。
月子姫には…後で右大臣家に役人が行って、大臣《おとど》も一緒に話を聞くそうだ」
「今日のことで何か、不手際がございましたか」
あたしは不安になって訊く。
厨で死亡者が出たことと、あたしになんの関係があるの?
「夕食に仕込んであった毒は、伊都子姫の仕業だと、厨司長が証言した」
主上が低い声で呟くように言う。
え…
ええーっ!
あたしは驚きすぎて、後ろに倒れそうになる。
主上と東宮が同時に手を出して支えてくれる。
何で?!
意味が判らないよ!!
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