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第八章 暗雲
16.謀反と、その教唆の疑い
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元信様は組んだ自分の手を見つめながら、ゆっくり話しだす。
「東宮殿下のお立場は、相当悪くなっています。
主上はお心を大変痛めて居られる。
何とか救おうと、今、必死に動いて居られます」
「二の姫の女房は?」
とあたしが問うと、元信様は暗い顔で首を横に振った。
「どうやってか、このお屋敷から逃げた模様です。
書面は、御鷹狩の従者に紛れていた間諜の仲間に渡したらしく、主上が宮中に戻られる前に関白殿の手元に届けられていました」
「私はずっと、あの女房を怪しいと疑っていました。
もう少し気を付けていればよかった…」
唇を噛みしめて、拳をぐっと握りしめる。
「最悪です…
東宮には、謀反の疑いがかけられました。
体調にもよりますが、明日には御所へ護送されるでしょう」
うわ…そんなことになっちゃったんだ…
あたしは両手で口を覆う。
元信様はそんなあたしを見つめ、苦しそうに口を開いた。
「そして姫、あなたにも謀反の教唆の疑いがかけられています」
はあっ?
え?あたしにっ?
謀反の教唆って…
何それ!意味わかんないよ!!
「ここで、幾望会と称する正体不明の会を何度となく催し、誰も知らない魔性の知識を流布して若い公達を洗脳した罪、だそうです」
ええーっ!
あたしは、東宮がやりたいって言うから、つきあってただけなのに!
そりゃ、いろんな人と知り合えて、世界が広がって、すごく楽しかったけど!
「あたしは…だって…そんなつもりは…」
あたしが言葉も滅茶苦茶に、支離滅裂に呟くと、元信様は腕を伸ばしてあたしを抱きしめた。
「判っています。
主上もそこは強く否定なさって居られる。
私が主上の命で幾望会に参加し、記録も取っています。
姫が罪に問われるようなことは、絶対にさせませんから」
あ、それでか…
それで元信様は幾望会に毎回無条件で参加してたんだ。
そういえば主上の命令だって言ってたなぁ。
あたしは納得した。
ってことは、主上は最初からこうなることを予見してたんだ。
あたしと東宮が理解不能なことをしてたら、宮中の老獪な大人たちにあらぬ疑いをかけられるかもしれないと。
すごいな…
主上は頭が切れる。
そして優しい。
東宮のすることにダメを出すわけではなく好きにさせてくれて、自分は黙って考えられるリスクを事前に回避する策を練って実行しておいてくれる。
弟思いのお兄さんだ。
「今日、姫は東宮殿下のお怪我の一報を聞いてから、つききりで治療をし、手ずから御食事を差し上げて一晩中枕元について居られると、従者から聞きました。
今も殿下を怖がって誰も姫のところへ行ってくれず、二の姫が気を利かせてくださって、姫を呼びに行ってくださった」
元信様の口調が変わる。
なに?
…拗ねてるの?
「貴女は…東宮殿下をどう思っておられるのか。
私は勿論ですが、主上も非常に気になさって居られた。
先ほども、私から逃げるような仕草で接吻を避けてしまわれて…」
言って涙をポロっとこぼす。
いやそれは…違います違うんです。
元信様がどうとかではなく、右近衛大将様が…
あたしは混乱して口をつぐんでしまう。
「東宮殿下のお立場は、相当悪くなっています。
主上はお心を大変痛めて居られる。
何とか救おうと、今、必死に動いて居られます」
「二の姫の女房は?」
とあたしが問うと、元信様は暗い顔で首を横に振った。
「どうやってか、このお屋敷から逃げた模様です。
書面は、御鷹狩の従者に紛れていた間諜の仲間に渡したらしく、主上が宮中に戻られる前に関白殿の手元に届けられていました」
「私はずっと、あの女房を怪しいと疑っていました。
もう少し気を付けていればよかった…」
唇を噛みしめて、拳をぐっと握りしめる。
「最悪です…
東宮には、謀反の疑いがかけられました。
体調にもよりますが、明日には御所へ護送されるでしょう」
うわ…そんなことになっちゃったんだ…
あたしは両手で口を覆う。
元信様はそんなあたしを見つめ、苦しそうに口を開いた。
「そして姫、あなたにも謀反の教唆の疑いがかけられています」
はあっ?
え?あたしにっ?
謀反の教唆って…
何それ!意味わかんないよ!!
「ここで、幾望会と称する正体不明の会を何度となく催し、誰も知らない魔性の知識を流布して若い公達を洗脳した罪、だそうです」
ええーっ!
あたしは、東宮がやりたいって言うから、つきあってただけなのに!
そりゃ、いろんな人と知り合えて、世界が広がって、すごく楽しかったけど!
「あたしは…だって…そんなつもりは…」
あたしが言葉も滅茶苦茶に、支離滅裂に呟くと、元信様は腕を伸ばしてあたしを抱きしめた。
「判っています。
主上もそこは強く否定なさって居られる。
私が主上の命で幾望会に参加し、記録も取っています。
姫が罪に問われるようなことは、絶対にさせませんから」
あ、それでか…
それで元信様は幾望会に毎回無条件で参加してたんだ。
そういえば主上の命令だって言ってたなぁ。
あたしは納得した。
ってことは、主上は最初からこうなることを予見してたんだ。
あたしと東宮が理解不能なことをしてたら、宮中の老獪な大人たちにあらぬ疑いをかけられるかもしれないと。
すごいな…
主上は頭が切れる。
そして優しい。
東宮のすることにダメを出すわけではなく好きにさせてくれて、自分は黙って考えられるリスクを事前に回避する策を練って実行しておいてくれる。
弟思いのお兄さんだ。
「今日、姫は東宮殿下のお怪我の一報を聞いてから、つききりで治療をし、手ずから御食事を差し上げて一晩中枕元について居られると、従者から聞きました。
今も殿下を怖がって誰も姫のところへ行ってくれず、二の姫が気を利かせてくださって、姫を呼びに行ってくださった」
元信様の口調が変わる。
なに?
…拗ねてるの?
「貴女は…東宮殿下をどう思っておられるのか。
私は勿論ですが、主上も非常に気になさって居られた。
先ほども、私から逃げるような仕草で接吻を避けてしまわれて…」
言って涙をポロっとこぼす。
いやそれは…違います違うんです。
元信様がどうとかではなく、右近衛大将様が…
あたしは混乱して口をつぐんでしまう。
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