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第九章 二度目の死と伊都子姫
6.パノラマ視現象
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あたしは意識を失くしたり、戻ったりを繰り返す。
意識があるときでも、もう目を開けることはできず、耳しか聞こえない。
入れ替わり立ち替わり、いろんな人があたしの枕元に座って、声をかけてくれているようだ。
自分の荒い息遣いばかりが聞こえて、何を言っているかは判らない。
もういいかな。
あたしは変に納得する。
あたし、本当は5カ月前に電車に轢かれて死んでいるはずだったんだ。
伊都子姫にこの世に戻してもらって、伊都子姫の身体を借りて、すっごく楽しい思いをさせてもらった。
好きな人から好きだよって言ってもらえる、この上ない幸福も味わわせてもらった。
あたし自身の身体で生きていた時に、渇望してもしても手に入らなかったものが、全部手に入ったんだもの。
もう、いいんだ。
目の前が真っ暗だ…
次々に幻影が浮かんでは消える。
大学の、掲示板…
合格発表だ。
あたしの受験番号はない。
電車を待っている駅。
ホームから線路に落ちる。
容赦ない速さで近づく巨大な車体…
真っ暗な、川岸。
誰かいる…
平安時代?の女性。
式部さんと内侍さん。
お殿様と北の方様。
そして、元信様。
流鏑馬神事の射手。
黒い弾丸のような馬に乗って、駆け抜けざまに的を射抜く。
伊靖君、義光、東宮、二の姫、縫姫、権中納言様、右近衛大将様…
その他の公達。
それから主上。
料理長、ゆらちゃん、棟梁、お弟子さん、厩舎の舎人頭、鍛冶師…
少輔さんらの女房さん、侍女さん達。
幾望会、水無月会、庚申待など…
人々との楽しく面白い交流。
元信様の笑顔。
愛しい人、と囁く声。
ああ…これが「走馬灯のように思い出が駆け巡る」っていうやつかぁ。
あたし、死ぬんだな。
「姫!!逝くな!
逝かないでくれ!!」
元信様。
ありがとう。
意識があるときでも、もう目を開けることはできず、耳しか聞こえない。
入れ替わり立ち替わり、いろんな人があたしの枕元に座って、声をかけてくれているようだ。
自分の荒い息遣いばかりが聞こえて、何を言っているかは判らない。
もういいかな。
あたしは変に納得する。
あたし、本当は5カ月前に電車に轢かれて死んでいるはずだったんだ。
伊都子姫にこの世に戻してもらって、伊都子姫の身体を借りて、すっごく楽しい思いをさせてもらった。
好きな人から好きだよって言ってもらえる、この上ない幸福も味わわせてもらった。
あたし自身の身体で生きていた時に、渇望してもしても手に入らなかったものが、全部手に入ったんだもの。
もう、いいんだ。
目の前が真っ暗だ…
次々に幻影が浮かんでは消える。
大学の、掲示板…
合格発表だ。
あたしの受験番号はない。
電車を待っている駅。
ホームから線路に落ちる。
容赦ない速さで近づく巨大な車体…
真っ暗な、川岸。
誰かいる…
平安時代?の女性。
式部さんと内侍さん。
お殿様と北の方様。
そして、元信様。
流鏑馬神事の射手。
黒い弾丸のような馬に乗って、駆け抜けざまに的を射抜く。
伊靖君、義光、東宮、二の姫、縫姫、権中納言様、右近衛大将様…
その他の公達。
それから主上。
料理長、ゆらちゃん、棟梁、お弟子さん、厩舎の舎人頭、鍛冶師…
少輔さんらの女房さん、侍女さん達。
幾望会、水無月会、庚申待など…
人々との楽しく面白い交流。
元信様の笑顔。
愛しい人、と囁く声。
ああ…これが「走馬灯のように思い出が駆け巡る」っていうやつかぁ。
あたし、死ぬんだな。
「姫!!逝くな!
逝かないでくれ!!」
元信様。
ありがとう。
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