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第十一章 露顕と三日夜の餅
3.怯え
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先ほど東宮と別れた辺りまで来ると、廊下の向こうの部屋からざわざわと人の声がした。
結構、たくさんの人がいるようだ。
大きな部屋の前に直立不動で立っている衛士があたしたちに気づき、部屋の中にいる人に何か伝えている。
部屋の中ではあたしの到着を報せる大きな声が、ここまでわずかに聞こえてきた。
部屋の中が鎮まる。
やだ…何が起こっているんだろう。
何がこれから始まるんだろう。
あたしは恐怖に足がすくみ、立ち止まる。
式部さんと内侍さんは心配そうにあたしを振り返る。
「姫様…」
「嫌!
いったいどうなってるの?
誰も何も教えてくれないし…
もうここから動けない!」
あたしの頬を涙が流れる。
式部さんは慌てて懐紙を出してあたしの涙を拭う。
「姫様、怖いことは何もございません。
大丈夫でございますわ、今の、この涙は悲しいものではなく、嬉しいものに変わります、絶対」
内侍さんが急いで部屋に入っていく。
式部さんが一生懸命にあたしを慰めてくれて、あたしは少しずつ心が落ち着いてくる。
「姫…!」
そこへ内侍さんを伴って、元信様が駆け寄ってきた。
え…!
衣冠の元信様…?
す、ごく素敵…
あたしは思わず見惚れてしまう。
元信様も足を止め、口を少し開けたままあたしを見つめている。
「お殿様…」
内侍さんが急かすように元信様の背後から囁く。
元信様は、はっとしたように口をつぐみ、あたしに近寄って手を差し出した。
「すみません、今までにより勝ってお綺麗で…
こんなに美しい女人は、これまでに見たことがない。
天女のようです」
あたしの手を取り、指の先の方へ唇をつける。
「お集まりの皆様が、お待ちかねですよ。
このお姿は、皆様に見せびらかしたいような、私だけに秘しておきたいような…
悩ましいですね」
微笑んで、あたしの手を左手で持ち、右手をあたしの背に回して柔らかく押して歩き出す。
5日間くらい会えていなかったので、あたしはとにかく嬉しくて、元信様の凛々しい姿に見惚れながら歩く。
部屋に入って、舞台のように一段高くなった場所に、二人並んで座る。
「御簾を上げろとの主上の仰せでございますが…宜しいのですか」
と家人があたしをちらちらと見ながら、小声で元信様に訊いている。
「姫、顔見知りの方ばかりですから、御簾を上げて宜しいですか。
主上も東宮殿下も、貴女の輝くばかりの姿を、今か今かと待ちわびていらっしゃったのです」
はあ…なんだかよく判んないけど、もうどうでもいいよ。
あたしが投げやりに頷くと、元信様は苦笑してあたしの手をポンポンと叩き、家人に「御簾を上げて良い」と耳打ちした。
御簾が一斉に巻き上げられる。
最初に目に飛び込んできたのは、とにかくものすっごく広い部屋!
あたしと元信様のいるところからすべてが見渡せる。
ここって、なんて言うんだっけ、そう、あれだ!
高砂ってやつ??
結構、たくさんの人がいるようだ。
大きな部屋の前に直立不動で立っている衛士があたしたちに気づき、部屋の中にいる人に何か伝えている。
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誰も何も教えてくれないし…
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大丈夫でございますわ、今の、この涙は悲しいものではなく、嬉しいものに変わります、絶対」
内侍さんが急いで部屋に入っていく。
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「姫…!」
そこへ内侍さんを伴って、元信様が駆け寄ってきた。
え…!
衣冠の元信様…?
す、ごく素敵…
あたしは思わず見惚れてしまう。
元信様も足を止め、口を少し開けたままあたしを見つめている。
「お殿様…」
内侍さんが急かすように元信様の背後から囁く。
元信様は、はっとしたように口をつぐみ、あたしに近寄って手を差し出した。
「すみません、今までにより勝ってお綺麗で…
こんなに美しい女人は、これまでに見たことがない。
天女のようです」
あたしの手を取り、指の先の方へ唇をつける。
「お集まりの皆様が、お待ちかねですよ。
このお姿は、皆様に見せびらかしたいような、私だけに秘しておきたいような…
悩ましいですね」
微笑んで、あたしの手を左手で持ち、右手をあたしの背に回して柔らかく押して歩き出す。
5日間くらい会えていなかったので、あたしはとにかく嬉しくて、元信様の凛々しい姿に見惚れながら歩く。
部屋に入って、舞台のように一段高くなった場所に、二人並んで座る。
「御簾を上げろとの主上の仰せでございますが…宜しいのですか」
と家人があたしをちらちらと見ながら、小声で元信様に訊いている。
「姫、顔見知りの方ばかりですから、御簾を上げて宜しいですか。
主上も東宮殿下も、貴女の輝くばかりの姿を、今か今かと待ちわびていらっしゃったのです」
はあ…なんだかよく判んないけど、もうどうでもいいよ。
あたしが投げやりに頷くと、元信様は苦笑してあたしの手をポンポンと叩き、家人に「御簾を上げて良い」と耳打ちした。
御簾が一斉に巻き上げられる。
最初に目に飛び込んできたのは、とにかくものすっごく広い部屋!
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ここって、なんて言うんだっけ、そう、あれだ!
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