三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第十一章 露顕と三日夜の餅

6.両親たち

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 それからは宴会になり、厨司長たちの工夫を凝らした様々な料理に、舌鼓を打つ。
 
 若公達や家族はあたしのせいで乳製品やオーブン料理に抵抗がないけれど、関白様や元信様のご両親は、けったいなゲテモノ料理に目を白黒させていた。

 しばらくすると、奥の席から両家の家族があたしたちの方へ来た。
 主上や東宮の前で一度座り、平伏してお礼の言葉を述べている。
 
 主上も東宮も、にこやかになにごとか話している。
 こういう姿は本当に上つ方と言う感じ。
 物慣れていて、優雅に気品がある。

 やがて皆で高砂に来る。
 「おめでとう…」
 と言ったまま、北の方様はあたしの手を取って泣き続ける。

 「このような形で、二人の結婚を祝える日が来るとは…」 
 お殿様も北の方様の肩に手を置いて、涙を拭っている。

 そうだよね…
 主上と東宮の求婚を断った時点で、どちらかの、あるいは双方の逆鱗に触れて流刑になるかもしれなかったんだもの。
 
 ごめんね、お殿様、ありがとう。
 でもまだ、実際には結婚してないんだけど!

 「伊都子姫、初めまして。
 元信の父親です。これは、私の妻で元信の母親」
 お父様が優しい声音で話しかけてきた。
 隣の、元信様によく似た面差しの女性も、微笑んで会釈する。

 あたしは北の方様の手を外し、床に手をついて頭を下げる。
 「初めまして…
 あの、、、、」
 
 言わなくちゃいけないことはたくさんある。
 だけど何からどう話していいのか、頭が混乱して言葉が出てこない。

 「伊都子姫、お顔を上げて…」
 お母様があたしの手を取る。

 顔を上げるとお母様はあたしの髪を優しく撫でて「ありがとう…貴女のお陰で元信は幸せになれると思います。末永くこの子を宜しくね」と言った。

 「わたくしの娘は二人とも、主上と東宮様に嫁いでしまって、手元に娘がいないのです。
 宜しかったら時々、ここへ貴女に会いに来てもいいかしら。
 先ほど主上からそう、お言葉を賜ったの」

 「あ、…もちろんでございますわ。
 突飛で妙な事ばかりしておりますが…
 母には叱られてばかりで」
 
 本当は来ないでほしいわ。嫌われる予感しかない。
 主上め、何てことを言ってくれるんだい。

 「それをおっしゃるなら、わたくしもですわ…
 伊都子はここに、そして二の姫は東宮様に嫁ぐことが決まって」
 北の方様は涙ながらに言う。

 あ、そっか…
 あたしは唇を噛む。

 「お母様方、お二人ともいつでもいらっしゃってくださいまし。
 わたくしの、家刀自としての至らなさを指摘してくださるとありがたいわ」
 
 う・そ!
 絶対ヤダ!!
 でも何だか可哀相で。
  
 普通は妻問婚だから、娘は一生実家にいて、孫の養育もするんだよね。
 でもここまで身分が高いと、そうもいかないことがあるんだ。

 「伊都子姫、儂は元信と貴女の結婚には絶対反対だった。
 子供にもそれぞれ感情があることに気づいていなかった。
 持ち駒くらいにしか考えていなかったのだ。
 情けない親だ。
 元信、定信も…申し訳なかった」
 お父様はあたしに話しかけ、途中から元信様の方を向いて頭を下げた。

 「いいえ…もう、良いのです。
 父上も、宜しければここへ遊びにいらしてください。
 姫考案の、父上のお好きそうな面白いものが、たくさんありますよ」

 元信様は嬉しそうに言う。
 お父さんと仲直りしたかったんだな、ずっと。
 あたしも何だか嬉しかった。
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