三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第十一章 露顕と三日夜の餅

7.お開き

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 両親たちと関白は早々に帰っていき、若者だけになった宴会はヒートアップして、宴会芸の披露大会になり(宮中ではこんなにくだけたことはできないんだって)、大いに盛り上がった。

 あたしは元信様の隣に堂々と座っていられることが嬉しくてならなかった。
 今まではすぐに主上や東宮に呼びつけられ隣に座らされて、元信様は常に遠かったから…
 元信様も同じ気持ちなのか、あたしの手を握ったまま離さなかった。

 幾望会で知り合った公達は、皆、立場を超えて良い人ばかりで、あたしは秘かに東宮の人選の確かさに舌を巻く。
 真贋を見極める目を持っていると思う。

 お膳の上のものがすべて無くなり、いい加減酔っ払った皆は、夜も更けてやっと腰を上げた。

 「宮中に泊まろう、今日は…」
 と蔵人頭様が言う。
 あ~、私も…と言う声があちこちで上がる。

 「来週の庚申待は、ここで皆で過ごそう」
 と主上が言い出し、皆はおお、そうだ!と喜ぶ。

 嫌だぁ!
 あたしは叫びだしたかった。
 
 ここはあたしと元信様のスイートホームなのよっ!
 貰いものだけど…
 前関白の怨念とか漂ってそうだけど…

 では月子姫またね、と皆が牛車に乗り合って御所へ帰っていくのを見送る。
 本当に宮殿と近いみたいで、先触れの声が遠くこだましているのが聴こえる。

 「寒いですね、姫。
 私たちも寝室に行きましょう」
 と元信様があたしの肩を抱いて言う。
 あたしは顔が赤くなってしまうのを自覚してうつむいた。

 手燭を持った内侍さんが先に立ち、元信様はあたしの手を引いて長い廊下を歩く。
 「姫、お疲れではありませんか。
 薫物合わせでの姫の雄姿を拝見したかったのですが…
 ここの準備を、東宮殿下と共にやっていたもので」

 あ、そうなんだ。
 だから二人ともいなかったのか。
 
 「ここに着いたとき東宮様が出迎えてくださって。
 あまりに大きなお屋敷ですし、一瞬東宮御所かと思って冷や汗が出ましたわ」
 あたしが言うと、元信様と、前を歩く内侍さんもくすっと笑った。

 「脅かすつもりはなかったのですが…
 とにかく月子姫には内緒だと。
 実は私も知らされたのは三日前で、腰を抜かすほど驚きました」

 今度はあたしが笑う。
 「皆の言動が何かおかしいなとは思っていましたのですけど。
 今思い返すと腑に落ちることばかりで。
 すっかり騙されてしまいましたわ」

 「双方の両親まで招いてくださって。
 通常の露顕では考えられないことです。
 父たちはすっかり仲直りしたばかりか、意気投合したようです。
 良かった…」
 元信様はあたしの手をぎゅっと握って言う。

 やっと部屋に着いて、あたしと元信様は別々に着替えを始める。
 
 うわぁ…何か緊張してきた…



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