275 / 307
第十一章 露顕と三日夜の餅
9.後朝の文とお屋敷散歩
しおりを挟む
翌朝、早くに元信様は起きて女房さん達に手伝わせて着替えをし、参内したらしい。
女房さん達に、あたしを起こさないように言って行ったそうで、あたしが起きたのは日が大分高く昇ってからだった。
いやぁ…妻失格だなあ、すんませんした。
でも起きたところで、どうせあたしには束帯の着付けなんて無理だし。
なんつって。
元信様から手紙が届いていた。
後朝の文のつもりらしい。
まあねえ、先に露顕しちゃったからもう要らないといえば要らないんだけど…
元信様はちゃんと手順を踏んだ恋人のようにしたかったんだろう、あたしのために。
手紙を開いて読みながら、昨夜のことを思い出してしまって、あたしは一人赤くなってしまった。
元信様はずっとあたしの名前「香織」と呼んでくれて、優しくしてくれた。
愛されてるなあって実感できて嬉しかった…
朝ごはんを食べて、あたしはこのお屋敷の中を散歩してみることにした。
侍女さんに付き添ってもらって、部屋を出る。
とにかく広い。
今までの太政大臣家だって寝殿造の、相当大きな屋敷だったはずなんだけど、なんだかコンパクトに感じてしまう。
昨日、露顕をした部屋のある建物は、太政大臣家にはなかった建物だった。
西の対屋と言うらしい。
宮殿に一番近いところね。
その西の対屋は、大勢の工事の人が入っていた。
何してるんだろう…
そこへ「月子姫!」とラフに声をかけてきたのは。
義光!
「あんた…何でもうこんなところにいるの?!」
あたしが驚いて尋ねると
「この屋敷の厩舎と馬場の場所を確認しておこうと思いましてね。
後で淡香花を連れてきます」
と笑う。
「えーっ、いいよ、太政大臣家の舎人か、ここの舎人にお願いするから。
義光がわざわざ行かなくったって…」
あたしは慌てて言う。
そんなに責任感じてくれてなくても…
もうあたしには旦那様がいるんだし。
途端に義光は傷ついたような表情になる。
「そんなことおっしゃらないでください。
今まで通り、貴女と乗馬の稽古がしたいのです…」
泣きそうな顔するなよ…
あたしが苛めてるみたいじゃん。
「判ったわよ、お願いするわよ今まで通り」
仕方なくあたしが言うと、ぱっと笑顔になる。
敵わないなあ、もう…
あたしは笑いだしてしまう。
「月子姫も、馬場を観に行ってみませんか。
丹波を連れてきます」
と言うなり身を翻して駆けていく。
若いのお…
やがて丹波に乗った義光と、その後ろに鹿毛の馬に乗った實時さんが来た。
義光は丹波から降りるとあたしを抱きあげて鞍に乗せ、自分もあたしの後ろに乗った。
女房さん達に、あたしを起こさないように言って行ったそうで、あたしが起きたのは日が大分高く昇ってからだった。
いやぁ…妻失格だなあ、すんませんした。
でも起きたところで、どうせあたしには束帯の着付けなんて無理だし。
なんつって。
元信様から手紙が届いていた。
後朝の文のつもりらしい。
まあねえ、先に露顕しちゃったからもう要らないといえば要らないんだけど…
元信様はちゃんと手順を踏んだ恋人のようにしたかったんだろう、あたしのために。
手紙を開いて読みながら、昨夜のことを思い出してしまって、あたしは一人赤くなってしまった。
元信様はずっとあたしの名前「香織」と呼んでくれて、優しくしてくれた。
愛されてるなあって実感できて嬉しかった…
朝ごはんを食べて、あたしはこのお屋敷の中を散歩してみることにした。
侍女さんに付き添ってもらって、部屋を出る。
とにかく広い。
今までの太政大臣家だって寝殿造の、相当大きな屋敷だったはずなんだけど、なんだかコンパクトに感じてしまう。
昨日、露顕をした部屋のある建物は、太政大臣家にはなかった建物だった。
西の対屋と言うらしい。
宮殿に一番近いところね。
その西の対屋は、大勢の工事の人が入っていた。
何してるんだろう…
そこへ「月子姫!」とラフに声をかけてきたのは。
義光!
「あんた…何でもうこんなところにいるの?!」
あたしが驚いて尋ねると
「この屋敷の厩舎と馬場の場所を確認しておこうと思いましてね。
後で淡香花を連れてきます」
と笑う。
「えーっ、いいよ、太政大臣家の舎人か、ここの舎人にお願いするから。
義光がわざわざ行かなくったって…」
あたしは慌てて言う。
そんなに責任感じてくれてなくても…
もうあたしには旦那様がいるんだし。
途端に義光は傷ついたような表情になる。
「そんなことおっしゃらないでください。
今まで通り、貴女と乗馬の稽古がしたいのです…」
泣きそうな顔するなよ…
あたしが苛めてるみたいじゃん。
「判ったわよ、お願いするわよ今まで通り」
仕方なくあたしが言うと、ぱっと笑顔になる。
敵わないなあ、もう…
あたしは笑いだしてしまう。
「月子姫も、馬場を観に行ってみませんか。
丹波を連れてきます」
と言うなり身を翻して駆けていく。
若いのお…
やがて丹波に乗った義光と、その後ろに鹿毛の馬に乗った實時さんが来た。
義光は丹波から降りるとあたしを抱きあげて鞍に乗せ、自分もあたしの後ろに乗った。
1
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる