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第十一章 露顕と三日夜の餅
18.内侍さんの打ち明け話
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内侍さんに案内され、主上に手を引かれて長い長い廊下を歩く。
「宮中もそうだが…女人が楽に移動できる手段があればよいのにと思う。
もっとも、宮中の女人は月子姫のようにあちこち屋敷内を歩き回ったりしないが」
主上は笑いを含んだ声で言い、あたしを見下ろす。
主上って背が高い。
いつも座ってることが多くて、並んで歩いたこととかあまりなかったから知らなかった。
東宮より大きいかも。
「痩せるために右大臣家(当時)をお散歩なさっていると左近衛中将(当時)から聞いて、なんとも愉快な方だと、その場で笑いをこらえるのに苦労した。
そのような発想は、この世のものならざる月子姫ならではであろうな」
「あのっ!主上!それは…」
あたしは慌てて立ち止まる。
主上はあたしに手を引っ張られてたたらを踏む。
「…ああ、内侍は知って居るよ。
式部も、かな?」
主上は何でもないようにさらりと言って、後半は内侍さんに尋ねる。
内侍さんも立ち止まって振り返り、あたしに深く頭を下げた。
「姫様が伊都子姫様でないことは、卯月か…皐月には判っておりました。
でも、それを姫様はお隠しになりたいようで居られたので、お話し申し上げる機会もなく…」
あーなるほどねー。
それで、あたしが変な質問とかしても、あまり動じなくなったんだ。
時たま、意味深な発言もあったもんな。
あたしは妙に納得する。
んじゃ、結局、御仏なんて関係なかったんじゃないの!
元信様も、式部さんも内侍さんも知ってたんなら…
皆、あたしのこと信心がないなんて笑えなくってよ?!
「そう、だったのね…
じゃあもう、繕うのはやめたわ。
あたしはあたし!」
あたしは、言いながら何だか可笑しさがこみあげてきて、一人で大笑いしてしまった。
内侍さんはビックリしたようにあたしを見つめ、主上は「そう、月子姫は月子姫だ」とつられて笑いながら言ってあたしを抱きよせた。
「そうなの。
あたしの居たところは、痩せている方が可愛いって価値基準があって。
伊都子姫の身体は、その基準からするとちょっと、いやかなり太めなのよ。
だから痩せなくっちゃあ!って強迫観念みたいなものがあるのよね」
主上の腕の中でもごもごと言うと、内侍さんも笑いだした。
「月子姫様になられてから、召し上がる量も少し減ったようで。
私共は勿論、右大臣家の厨司長も心配申し上げておりましたのよ」
ええっ!
あれで減ったの??
道理でいつも、食べきれない量が出てくると思ったよ。
「もうちょっと量減らしてもらおうかなあ…
出てくるとつい、食べちゃうし」
あたしが呟くと、主上は「月子姫は今のままでよい。あまりお痩せになると、また体力が落ちて肺にいる悪い病の虫が騒ぎ出す」と心配そうに言ってあたしの髪に頬を寄せる。
あ…それもそうか…
抗生剤の無い時代、免疫で抑え込むしかないんだよね。
「主上、あたしをそんなに甘やかしてはダメよ。
ブクブクに太っちゃうから」
笑いながら身体を離す。
主上は「そうしたら入内の輿を担ぐ人数を増やすまでだ」と言って、あたしの頬を撫でた。
あたしはヒヤリとする。
何でそんなことを言うの…
「宮中もそうだが…女人が楽に移動できる手段があればよいのにと思う。
もっとも、宮中の女人は月子姫のようにあちこち屋敷内を歩き回ったりしないが」
主上は笑いを含んだ声で言い、あたしを見下ろす。
主上って背が高い。
いつも座ってることが多くて、並んで歩いたこととかあまりなかったから知らなかった。
東宮より大きいかも。
「痩せるために右大臣家(当時)をお散歩なさっていると左近衛中将(当時)から聞いて、なんとも愉快な方だと、その場で笑いをこらえるのに苦労した。
そのような発想は、この世のものならざる月子姫ならではであろうな」
「あのっ!主上!それは…」
あたしは慌てて立ち止まる。
主上はあたしに手を引っ張られてたたらを踏む。
「…ああ、内侍は知って居るよ。
式部も、かな?」
主上は何でもないようにさらりと言って、後半は内侍さんに尋ねる。
内侍さんも立ち止まって振り返り、あたしに深く頭を下げた。
「姫様が伊都子姫様でないことは、卯月か…皐月には判っておりました。
でも、それを姫様はお隠しになりたいようで居られたので、お話し申し上げる機会もなく…」
あーなるほどねー。
それで、あたしが変な質問とかしても、あまり動じなくなったんだ。
時たま、意味深な発言もあったもんな。
あたしは妙に納得する。
んじゃ、結局、御仏なんて関係なかったんじゃないの!
元信様も、式部さんも内侍さんも知ってたんなら…
皆、あたしのこと信心がないなんて笑えなくってよ?!
「そう、だったのね…
じゃあもう、繕うのはやめたわ。
あたしはあたし!」
あたしは、言いながら何だか可笑しさがこみあげてきて、一人で大笑いしてしまった。
内侍さんはビックリしたようにあたしを見つめ、主上は「そう、月子姫は月子姫だ」とつられて笑いながら言ってあたしを抱きよせた。
「そうなの。
あたしの居たところは、痩せている方が可愛いって価値基準があって。
伊都子姫の身体は、その基準からするとちょっと、いやかなり太めなのよ。
だから痩せなくっちゃあ!って強迫観念みたいなものがあるのよね」
主上の腕の中でもごもごと言うと、内侍さんも笑いだした。
「月子姫様になられてから、召し上がる量も少し減ったようで。
私共は勿論、右大臣家の厨司長も心配申し上げておりましたのよ」
ええっ!
あれで減ったの??
道理でいつも、食べきれない量が出てくると思ったよ。
「もうちょっと量減らしてもらおうかなあ…
出てくるとつい、食べちゃうし」
あたしが呟くと、主上は「月子姫は今のままでよい。あまりお痩せになると、また体力が落ちて肺にいる悪い病の虫が騒ぎ出す」と心配そうに言ってあたしの髪に頬を寄せる。
あ…それもそうか…
抗生剤の無い時代、免疫で抑え込むしかないんだよね。
「主上、あたしをそんなに甘やかしてはダメよ。
ブクブクに太っちゃうから」
笑いながら身体を離す。
主上は「そうしたら入内の輿を担ぐ人数を増やすまでだ」と言って、あたしの頬を撫でた。
あたしはヒヤリとする。
何でそんなことを言うの…
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