三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

文字の大きさ
299 / 307
第十二章 終わらない物語

8.モロバレを知る瞬間

しおりを挟む
 「じゃあ、今日はこれで解散しよう。
 明日から忙しいから、皆、頼むぞ」
 主上が言い、皆は真剣な表情で頷いた。

 「あの…ありがとうございます。
 わたくしの突拍子もない案を、すんなり受け入れてくださって…」

 あたしはちょっと戸惑って言った。
 反対意見が出ると思った。
 こうまるごと受け入れられちゃうと、なんか逆に空恐ろしいような?

 「私たちも何とかしなければと思っていたのだが、どうしたら良いのか、具体的にはまったく方策がなかった。
 月子姫が非常にはっきりと明確に我らのやるべきこと、行くべき道を示してくださった。
 お礼を申し上げるのはこちらの方です」
 
 権中納言様が整いすぎて冷たく見える顔に、爽やかな笑みを浮かべて言ってくれる。
 うわ、イケメンの清涼な笑みって、心洗われるわあ。

 「月子姫のいらっしゃった世界では、さまざまな事どもにおいて時代が進んで居られるのでしょう。
 月子姫がその知識を惜しみなく我らに差し出してくださることに、感謝しておりますよ」
 右近衛大将様が、あたしの手を取って、気障にキスする。

 「げっ?!」
 思わず、妙な声が出てしまった。

 右近衛大将様、今、何て言った??
 『月子姫のいらっしゃった世界』…?

 「うっそ!」あたしは叫ぶ。
 皆、大きな声で笑いだす。

 し、ってたの?
 あたしは思わず主上に詰め寄り、同時に「義光!」と大きな声で呼ぶ。
 
 主上と、傍に来た義光は「何も言ってない!」と首を横に振る。
 じゃあ…

 元信様を見ると「皆様、とっくにお気づきでしたよ」と苦笑いしている。
 
 「だってどう考えても、この時代の我々と共に生きている女人じゃないでしょ。
 所作も知識も」
 参議様が、砕けた調子で堅苦しく言う。
 難しくないすか、それ。

 あーあ、もう…
 あたしは座り込んで、顔を手で覆った。

 何だったのよ、この半年間…
 あたしなりに必死だったのに!

 「だけどね、月子姫」
 兵部卿様が優しくあたしの肩に手を置いて言う。

 「私たちは貴女のそういう、お可愛らしい資質を愛して止まないのですよ。
 主上と東宮殿下、治部卿が貴女を本気で取り合っているのでなければ、ここにいる皆、貴女に求愛していたでしょう」

 まさか!
 そんなことあるわけないでしょう!!
 
 「慰めてくださらなくて結構です。
 もう、何を信じたらいいのか判らないわ!」
 ヤケッパチになって顔を上げると、皆があたしの周りに集まっていた。

 「この都を、この国をより良くしていきましょう。
 主上と月子姫に、皆ついていきますよ。
 月子姫は、常に夜空に輝いて私たちの暗い足下あしもとを、迷わないように照らしてください」
 東宮が片膝をついて手を伸ばし、あたしの頭を優しく撫でて言う。

 皆も微笑んで頷く。
 
 うわ、むさくるしい…
 とか思ったら悪いかしら。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...