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第18話 アリシナとエリーゼマリーナ

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騒ぎが収まり、アリシナは、笑顔で招待客から祝いの言葉を次々と受けている

「イールス様、凄く強かったです。 実力の違いを見せ付けられました」
フレシカがイールスを見つめている
「これでアリシナ様も元気になってくれますか?」
微笑みながら聞く
「元気に…何故家柄を教えないのですか?」
フレシカが真剣に聞く
「冒険者になるつもりなので、家柄はいりません」
「アリシナ様が悲しむと思います」
「え! それは…」
困ったように考え始める
「イールス御兄様は、お母様達が何を言おうと、自分の御兄様です」
ロイホールが真剣に言う
「え! 御兄様?」
フレシカが驚いてイールスを見る。イールスは生い立ちを説明をする

「イールス様は、苦労をしていたのですね… 家族構成が面倒な家なのは、解りましたが…お友達ですよね?」
フレシカが真剣に言う
「フレシカ様、これからも、よろしくお願い申し上げます」
「イールス様、お友達として、アリシナ様に話した方が良いです」
フレシカが真剣に言う
「友達だから、家柄は話したくないです…心からの友達です」
「イールス様はズルいですね」
フレシカがため息をする
(もしかして、自覚ないのかしら…言わない事が人を引き付けています。競争相手が多くなるのは良くないですよ!!)

「あの…少しお話よろしいですか?」
少女が数人でやってくる
「イールスと申します。お見知り置きして頂けたら、幸いに存じ上げます」
丁寧に挨拶をして頭を下げる
「イールス様は、剣の鍛練をいつもされているのですか? 凄く強かったです」
「朝から勉強の時間まで毎日しています」
「恋人は?」
少女が真剣に聞く
「今はいません。知り合いも少ないです」
「え? アリシナ様とクレーシア様とは、どのような御関係ですか?」
少女が真剣に聞くと、フレシカが驚いている
「王都に来てから、初めての友達です… 大切な友達です」
真剣に言うと、次々と質問責めにあっている。フレシカがイールスを真剣に見詰めている

「先程の騒動は、物語に出てきそうな、1場面でした」
少女が真剣に言うと、他の少女達もイールスを真剣に見ている
「あの物語ですか? 剣豪と王女様の恋物語?」
「はい!! 知っていらっしゃるのですか?」
「侍女の勧めで読まさせて貰いました」
イールスが真剣に言うと、少女達と物語に付いて話し合っている。フレシカとロイホールは、キョトンと見ている

アリシナが戻ってくる
「イールス様、楽しそうに…何の話ですか?」
アリシナが、少女達を気にしながら聞く
「アリシナ様、先程のゲイゼーラとの出来事が、剣豪と王女様の恋物語の1幕に似ているとの事で話しておりました」
「え? あの物語ですか? あ!! 本当です」
アリシナが驚きながら、少女達も微笑みながら話し始める

あれ? この子そわそわしている? もしかして…

「話しに夢中になりましたが、少し所用に行ってきます。 化粧直しも少し必要でしょうから…後程、少々食べながら話しませんか?」
ソワソワしている少女を見ながら言う
「はい! イールス様、少し疲れました」
アリシナが笑顔で言うと、イールスは、建物に向かい、少女達も建物に向かう

中庭に戻ろうと待っていると、侍女が微笑んで近付く
「イールス様、エリーゼマリーナ様から伺いましたが、気が付かれていましたか?」
侍女が微笑みながら聞くと、ロイホールが驚きながらイールスを見る
「ソワソワされていた少女ですか? それとも少し離れた位置で見ていた人ですか?」
「両方気が付かれていたのですね、そろそろ戻って来ます。 エリーゼマリーナ様は非常に感謝していました」
侍女が微笑みながら言うと、アリシナとフレシカが歩いてくるのが、見える
「イールス、話している間、周囲を見ていたの?」
ロイホールが驚きながら聞く
「視線を感じていたから、時々周囲も見ていただけです。」
「気にしてなかった…」
「ロイホール様も積極的に話してくださいね」
微笑みながら言うと、ロイホールが頷く

少女達が集まると、中庭に戻り、イールスは、チラチラ見ていた人の近くに歩いていく
「あの…少し話したいのですが…」
少女が意を決して、イールスに近付いて言う
「こちらこそ、皆様もよろしいですか?」
少女達を見ながら言うと、少女達が頷く
「イールス様、アリーオ御兄様とは、お知り合いでしょうか?」
ソワソワしていた少女が真剣に聞く
「アリーオ御兄様?」
「あ! はい! アリーオ様の従兄になります。 幼い頃より遊んで貰ってました…あ! エリーゼマリーナと申します」
エリーゼマリーナが、思い出して慌てて、優雅に挨拶をする
「エリーゼマリーナ様、お見知り置きして頂ければ幸いに存じ上げます 」
丁寧に挨拶をすると、エリーゼマリーナが少し赤くなっている。アリシナがむっとしている
「アリシナ様もお知り合いでしたか?」
「え? 友達が少ないので…初めてお会いしました」
アリシナが驚いている
「アリシナ様も仲良くしてくれますか?」
アリシナを見ながら言うと、エリーゼマリーナがアリシナと挨拶をしている

「ロイホール様も挨拶をしてませんでした」
イールスが後ろで見ている、ロイホールを見て言うと、ロイホールが慌てて挨拶をしている

みんなで仲良く話をしている
「イールス様がいると、アリシナも良く喋りますね」
クレーシアが笑顔で歩いてきて言う
「クレーシア、もう良いのですか?」
アリシナが、嬉しそうに言う
「やっと解放されたわ…それより、エリーゼマリーナ様までこちらに居て、宜しいのですか?」
クレーシアが真剣に聞く
「クレーシア様、何故でしょうか?」
真剣に聞くと、少女達が驚いている
「イールス様、誕生パーティーは、招待客と一般客に別れます。 一般客は、主催と招待客を独占したら、マナー違反と思われます」
クレーシアが真剣に説明をしていると、エリーゼマリーナ達が申し訳なさそうにしている

「クレーシア様、大変勉強になりました。 まだまだ未熟だと実感しました。 本日は、自分が 無知な為に御迷惑をお掛けして、本当に申し訳ありません」
頭を下げて言うと、エリーゼマリーナと少女達が驚いている
「イールス様は…優しすぎるのも困りますね」
クレーシアが少し驚きながら呟くと、アリシナ達が微笑みながらイールスを見ている

少女達は挨拶をしてから、少し離れた所に歩いていき、話している

「イールス様は、優しすぎます!! それに子爵家との繋がりは、有りそうですが… クーレセント子爵家も苦労したと聞いています」
クレーシアが真剣にイールスを睨みながら言うと、ロイホールが慌てている
「クレーシア様、申し訳ありません…事情は前に話した通りです…成人したら、家を出て冒険者をするつもりです… 」
真剣に頭を下げながら言う
「ゲイゼーラを叩き潰してくれたのですから、感謝しています。 イールス様がアリシアに沢山の友達を作ってくれて嬉しく思っています」
クレーシアが笑顔で言うと、アリシナが笑顔で見詰めている

「イールス様が居なかったら、家に引きこもりパーティーに出れませんでした… これからもパーティーでは、仲良くしてくれますか?」
アリシアが笑顔で、イールスとフレシカを見ながら言う
「アリシア様は、大切な最初の友達です。 クレーシア様もフレシカ様も大切な友達です」
「イールス様…」
アリシアが嬉しそうに笑みを浮かべている

パーティーが終わり、屋敷に帰る
「メサリア様、ただいま戻りました」
メサリアの待つ部屋に向かい、挨拶をする
「イールス、そこに座りなさい!! 決闘して、ゲイゼーラを叩き潰したそうですね」
メサリアが不機嫌そうに言うと、ロイホールが慌てている
「大変申し訳ありません…御迷惑なら… すぐに屋敷を出て、冒険者になります」
慌てて頭を下げる
「イールス、決闘見たかったですわ!! アリーオが男爵を黙らせたので、影響は有りません… あのアリーオの自慢気な顔、ムカつきますわ!!」
メサリアが不機嫌そうに言う
「え? アリーオ様から? 黙っているって、約束したのに…」
「え? 約束? どのような」
メサリアが驚いていると、イールスとロイホールが説明をする

「アリーオ!! 明日思い知らせますわ」
メサリアが満面の笑顔で言う
「メサリア様、エリーゼマリーナ様はご存知ですか?」
「エリーゼマリーナ! 侯爵家の分家の令嬢です。 アリーオの自慢ですわ!」
「誕生パーティーの招待客と一般客の違いを、無知の為に御迷惑をお掛けしました…今度パーティーでお会いしたら、謝りたいと思います」
真剣に言うと、詳しく説明をしている
「この子は…末恐ろしいですね…今度はエリーゼマリーナと仲良くなって…取り巻きは、各家の令嬢ですね…100点ですわ!! ロイホールは、30点のままですわ! 頑張りなさい」
メサリアが満面の笑顔で言う
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