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俺が、その最強魔剣士と初めて会ったのは、今から5年前の事。
「あ! あれ! クロエ・ブランシェ局長じゃないか!?」
ゾロゾロと太い列を成して移動する、魔法警察庁第86期入庁の新人魔法使い達。
その中の一人がそんな声をあげると、50人を超える同期達の視線が、彼女に釘付けになった。
吹き抜け構造のロビー。その中央にある、大階段。
大勢の部下達を引きつれ、ゆったりとした足取りで降りて来たのは……若い女性。
「え!? あれが最強の魔剣士!? 」
「なんか……普通の女子じゃね?」
確かに。心の中で賛同する。
彼女は、建国史上最大量の魔力を持って生まれたという、別格レベルのエリート魔法使い。
てっきり……もっとイカツい女かと思っていた。真っ黒な長いローブを翻し、鋭い目つきで部下を従え、威圧感を振りまきながら庁内を闊歩するような。
なのに……今目の前にあらわれたのは、フツウの女性。
白い肌。小さな顔。アーモンドような形の目の中には、色素の薄い茶色い瞳。
同じ色のセミロングヘアは、彼女が歩く度に穏やかに揺れて、華奢な肩を撫でる。
ライトベージュのパンツスーツと、オフホワイトのノーカラーシャツはどちらも清潔感があって……総評、フツウ。フツウに可愛い、フツウの女子。
それでもなぜか……目が離せなかった。
彼女が一歩、また一歩と歩を進めるたびに、言い表しようのない空気が、周囲に広がるようで。
「いやいや、普通なのは見た目だけでしょ! 12歳で入庁、21歳で局長に就任したスーパーエリートだよ?」
「でも、すっげ~優しいって評判じゃん? せっかくなら、ああいう人の部下になりたいよな!」
いや、俺だけじゃない。
新人研修の一環で、職場である警察庁内を見学中だった俺達。
それまでは引率職員の後に続き、大人しくラウンドしていたのだが……有名人の登場にミーハー心が爆発。
私語を爆増させる新人達に、引率担当者は困り顔を浮かべていたのを、覚えている。
「静かにしろ86期! ああもう! ブランシェ局長がお通りになる! 道をあけろ!」
階段の下で叫ぶ引率職員。クロエ・ブランシェ局長は、反射的に俺達の方を見て。
「え」
目が合った。
この時の、まるで時間が止まったような感覚を、俺は生涯忘れる事はないだろう。
「お疲れ様です」
そしてにっこりと微笑み、小さく会釈をしてくれた……ような気がしたのだけれど。同じように感じた人間は、何人もいたようで。
「きゃ~! 今、局長と目が合っちゃった~!」
「俺なんか笑いかけられたぞ!? やば!」
局長とその取り巻き達の背を見送りながら、まるでファンサを受けた推し活民のように興奮する、同期達。
そんな中、俺の背後からとある会話が聞こえてきて。
「新人なんかに挨拶してくれるなんて……評判通り、良い人なんだね」
「最強な上に可愛くて優しい……天は二物を与えちゃうものね~」
「いやいや……魔力に関しては、天とやらに与えられたもんじゃねぇかもよ~? 知ってんだろ? あの人の、いかがわしい噂」
「「いかがわしい噂?」」
意味深な言葉に、リアクションをハモらせる同期達。俺の耳もピクリと反応する。
「クロエ・ブランシェ局長の魔力がレベチなのは、大勢の男と交わりまくって、魔力を略奪したからだっていう、噂だよ」
「あ! あれ! クロエ・ブランシェ局長じゃないか!?」
ゾロゾロと太い列を成して移動する、魔法警察庁第86期入庁の新人魔法使い達。
その中の一人がそんな声をあげると、50人を超える同期達の視線が、彼女に釘付けになった。
吹き抜け構造のロビー。その中央にある、大階段。
大勢の部下達を引きつれ、ゆったりとした足取りで降りて来たのは……若い女性。
「え!? あれが最強の魔剣士!? 」
「なんか……普通の女子じゃね?」
確かに。心の中で賛同する。
彼女は、建国史上最大量の魔力を持って生まれたという、別格レベルのエリート魔法使い。
てっきり……もっとイカツい女かと思っていた。真っ黒な長いローブを翻し、鋭い目つきで部下を従え、威圧感を振りまきながら庁内を闊歩するような。
なのに……今目の前にあらわれたのは、フツウの女性。
白い肌。小さな顔。アーモンドような形の目の中には、色素の薄い茶色い瞳。
同じ色のセミロングヘアは、彼女が歩く度に穏やかに揺れて、華奢な肩を撫でる。
ライトベージュのパンツスーツと、オフホワイトのノーカラーシャツはどちらも清潔感があって……総評、フツウ。フツウに可愛い、フツウの女子。
それでもなぜか……目が離せなかった。
彼女が一歩、また一歩と歩を進めるたびに、言い表しようのない空気が、周囲に広がるようで。
「いやいや、普通なのは見た目だけでしょ! 12歳で入庁、21歳で局長に就任したスーパーエリートだよ?」
「でも、すっげ~優しいって評判じゃん? せっかくなら、ああいう人の部下になりたいよな!」
いや、俺だけじゃない。
新人研修の一環で、職場である警察庁内を見学中だった俺達。
それまでは引率職員の後に続き、大人しくラウンドしていたのだが……有名人の登場にミーハー心が爆発。
私語を爆増させる新人達に、引率担当者は困り顔を浮かべていたのを、覚えている。
「静かにしろ86期! ああもう! ブランシェ局長がお通りになる! 道をあけろ!」
階段の下で叫ぶ引率職員。クロエ・ブランシェ局長は、反射的に俺達の方を見て。
「え」
目が合った。
この時の、まるで時間が止まったような感覚を、俺は生涯忘れる事はないだろう。
「お疲れ様です」
そしてにっこりと微笑み、小さく会釈をしてくれた……ような気がしたのだけれど。同じように感じた人間は、何人もいたようで。
「きゃ~! 今、局長と目が合っちゃった~!」
「俺なんか笑いかけられたぞ!? やば!」
局長とその取り巻き達の背を見送りながら、まるでファンサを受けた推し活民のように興奮する、同期達。
そんな中、俺の背後からとある会話が聞こえてきて。
「新人なんかに挨拶してくれるなんて……評判通り、良い人なんだね」
「最強な上に可愛くて優しい……天は二物を与えちゃうものね~」
「いやいや……魔力に関しては、天とやらに与えられたもんじゃねぇかもよ~? 知ってんだろ? あの人の、いかがわしい噂」
「「いかがわしい噂?」」
意味深な言葉に、リアクションをハモらせる同期達。俺の耳もピクリと反応する。
「クロエ・ブランシェ局長の魔力がレベチなのは、大勢の男と交わりまくって、魔力を略奪したからだっていう、噂だよ」
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