【完結】畑暮らしのΩ王子、20年越しに“番”が現れました

兎沢にこり

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畑の王子と国王陛下

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畑での姿のまま、城の謁見の間に突撃しそうになったのを、ジョスに止められてなんとか自室へとひっこむ。

普段ならすぐ頭が回るのに、エリオスは動揺を隠せずにいた。
仕事着のまま、兄とは言え王に謁見できる訳もない。
農夫さながらの出で立ちは、ふくらはぎまで覆う靴に泥がついている。
すぐさま靴を脱いで、麦わら帽子をジョスに放る。
汗の浮いたシャツもそれに続いた。
部屋に備え付けられた洗面台に近づいて、綺麗に磨き上げられた鏡に映る自身を見つめた。

どこからどう見ても。
Ωとは程遠い。三十五まで育った己の姿は、どうしたって堪えた。
大きくなりにくいΩの身体で必死に体力をつけ、Ωとしての美とは程遠い焼けた肌も、職務の最中に手に入れた。
それはエリオス自身がそう望んで、努力を重ねてやっと勝ち取り、日々を過ごしてきたというのに。

蛇口を捻り、勢いよく流れる冷たい水で荒っぽく顔を洗う。
鏡に映った己の顔が、みっともなく泣き出しそうに歪んで見えたもんだから、弱い心を押さえつけるように流し切る。
王家に生まれて、その血を繋ぐ役目があることは確かだ。
しかし、エリオスの気持ちを汲んで、番の婚姻を結ばせる事はせず、ここでの役割と居場所を与えてくれたというのに。
王であるセレノスからの手紙が、いまだに信じられない。
セレ兄がそう許してくれたのに。

顔を上げてもう一度、己と向き合う。
水で冷え切った掌をそっと頸に持って行き、まだ何もない肌を確かめた。

「坊っちゃま、お支度を」
「あぁ。悪い。すぐ」

用意された白のブラウスは金の刺繍が施されている。それに躊躇いなく腕を通し次々と第五王子足る姿に身を整える。
麦わら帽子でヘタっていた髪も後ろに撫で付けて、前髪を片方だけ垂らせば、まぁマシに見えた。

「なぁ、この事いつから知ってたんだよ」

少し拗ねたような言い方なのは勘弁して欲しい。
血の繋がった家族程、長くいる関係である。それを十分に分かっているジョスは、宥めるような声でいた。

「私も同じようなタイミングですよ。もっとも、坊っちゃま程取り乱しはしませんでしたが」

ジョスはエリオスの襟元を直してそう言うと、一度身を半歩下げる。

「これがゼフィ兄の言う事なら、タチの悪い冗談とかになるのにな」

ゼフィ兄こと四男のゼフィルは、言い方は悪いが幼い頃から口が上手い。
αであるのだが、その特性が全部人たらしに振り切ってしまったかのような人だ。
兄弟の誰よりも、人の懐に入るのが上手いし、笑わせるのも得意である。
そして今は、他国との交渉や取引をする王国外交官だ。
しかし、特異体質というべきか、Ωだけでなくαやβから熱烈なアプローチを貰う事も多い。
兄という贔屓目もあるが見目は良い。
だが、好意を向けられる理由は確実に口である。

「ゼフィル様のご冗談なら、今頃エリオス坊っちゃまは笑い転げ回ってますよ」
「そうだよなぁ………」

嫌な気持ちがずっと拭えない。

エリオスは殆ど無意識に足をそこへ向ける。
一番の末弟であっても、第五王子の与えられた部屋は広い。
洗面から、ちょっとしたソファやローテーブルのある部屋を抜けて、寝室へと躊躇いなく向かった。
ベットサイドにある棚の、取手へ手をかける。
「坊ちゃん」
咎めるような声であるが、聞こえないふりをしてそこを開けた。
引き出しの中は、一枚の布が蓋をするように覆ってある。
それを掴んで捲り、掌よりも余る大きな瓶を取り出した。
緑色の蓋に、金色の文字が浮かんでいる。
Ωが冷遇されずに日々を過ごせるのは、この画期的な薬が世にもたらされたからだ。

この世界には、男女の性別とは別にα(アルファ)、β(ベータ)、Ω(オメガ)と第二の性が存在する。
それぞれに特有の体質があり、過去を綴る歴史の中では、崇拝や侮蔑の対象となり得た記録もある。

αは圧倒的カリスマ性を持ち、高い身体能力を持つ。
秀でた才能を持ち、国や軍を率いるものが多く、歴史に名を残す著名な人物たちは殆どがαである。

βは社会の大多数を占めるが、αやΩのような特性は持たない為、重要視されることは少ない。
けれどその特徴は、社会の秩序を円滑に回す為には、必要不可欠な存在である。

Ωは男女ともに適齢期を迎えると、約二ヶ月に一回のペースで発情期と呼ばれるヒートを迎える。
その時に放出されるフェロモンでアルファを誘い、性行為を行うと子を成す事ができるのが特徴である。


エリオスのお守り代わりと言ってもいいその薬。
二ヶ月に一回。
発情期はΩにとって一生涯、付き合っていかなくてはならないものである。
発情期における身体的、重さは人によってまちまちであるが、エリオスの場合……それが分からない。

専用の抑制剤であるその錠剤は、一日一錠。
王家専属のバース専用医師から処方されたのは、今日で丁度一週間前である。
だというのに、瓶の中の錠剤は既に半分を切っており、エリオスはその蓋を回して薬をまたと取り出した。

「いけません」
「飲まない、持っていくだけだから」

ジョスは瓶を持ったエリオスの腕を掴み咎める。
侍従の垣根を超えた、不安そうな瞳に罪悪感が芽生えるが、元の場所に戻すという事は出来ない。
持っているという安心感が欲しいのだ。

「ただでさえ強い薬です。α様の匂いが分からなくなってしまいます」
「俺は、もう匂いなんて欲しくないんだよ」
「御身を守る為でもあります」

誰がこんな身体狙うかよ。
喉まででかかった言葉を飲み込んで、胸にあるチーフに錠剤を包みまたそこへ戻す。
ジョスのほっとしたような顔に、エリオスは居心地の悪さを感じた。





大理石で出来た円柱は高く広い天井を支えている。そこへ橋をかけるように、紋章付の掛け布が並んだ。

入り口の大扉から真っ赤な絨毯が一本、太陽の女神が描かれたステンドグラスに向かっていく。
たっぷりと光を受けて輝く女神。そしてそのお膝元には、王だけが座ることの許された玉座が置かれている。

プライベートの歓談としてセレノスの自室へ行く事も考えた。
普段エリオスならばそうしていたであろう。畑の民たちと作ったクッキーなんかをぶら下げて。
だが、この婚姻に関してはダメだ。
セレノスが国王として手紙を寄越した。ならば既にこの話は、公の物として動いてる。
公式に話をつけて、婚姻の意思は無いと伝えなければ。

なんでよりによってヴァルデンハイト王国なんだ。
他なら良いとなどは露ほどもないが、なんでよりによって、
あそこには行きたくない。

「エリオス様、セレノス様がいらっしゃいます」
「あぁ」

ジョスの外行き用である、凛とした声で我に帰る。
エリオスが我に帰ったのを見届けてから、壁沿いに控えた。
近衛の騎士と侍従、そしてメイド長がそれぞれ静かに集まれば、首を垂れて国王の登場を待つ。

扉が開かれたが、足音は全て上等な絨毯に吸い込まれた。

「エリオス、面をあげよ」
「はい」

視線を上げて兄を捉える。

エリオスは、セレノスがそこに座る姿が好きだ。
大きな体躯はステンドグラスから一心に光を浴びて、煌々と輝くその姿は、一種の天啓を感じさせる時がある。
しかし、飲まれるわけにはいかない。
いつも通りと言った風に、足を地面に縫い付けて立つ。
ジっと見つめてくる目元が涼しい作りをしている分、心の中まで見透かされているように感じる。

「お前が謁見を開くのは久しぶりだな」
「はい、農政での権限を承った時以来でございます」

和やかな口調でそう返せば、目元が少し柔らかくなる。

「兄上、発言をお許しいただけますでしょうか」
「あぁ、申してみよ」

大丈夫と自身に言い聞かせるよう、胸元に入ったチーフに手を添える。
必ずやり遂げなければ。

「先ほど兄上から承った、ご書状のヴァルデンハイト王国との婚姻。お断りさせていただきます」
「……その応えだろうと分かっていた。理由を申してみよ」
「私は既に旬を過ぎております。しかもお相手は第一王子。お相手の国や民らを侮辱するのと一緒かと」
「ふっ、旬か!お前らしい」

続けろと言わんばかりに、手のひらをこちらに差し出して先を促す。

「それに私はΩとは呼べません」
「そんな事はない」
「華奢な者が好まれるΩです。それとは遠く離れてしまった身としては、恥ずかしくて……とても、とても嫁ぐなんて出来ませんっ」

筋肉のついた腕でしなりを作り、やり過ぎかと思うくらい身体を捩る。
目元に指先を持っていき、何かを堪える……ような仕草だ。
想像では健気なΩの心を宿した、農夫というイメージだ。
エリオスの認識では、王族の服を着た農夫なのだから間違ってはいないだろう。
こんな演技をするのは、火が出るほど恥ずかしいが、そんなことを言っている場合では無い。
エリオスは指の隙間から、セレノスを覗く。
セレノスは一瞬、目を伏せる。
そして次に開いた時には、国王たる物となっていた。

「そうか……だがしかし困った」

悩んでいないくせに、悩んでいるという程をとる。
エリオスは、兄を見て育ったと言わざるを得ない。
そんな姿でいたはずなのに、セレノスは思い出したと言わんばかりに、口調を和らげる。

「ところで、エリオス。運命の番についてどう思う?」

運命。運命の番、
一人のΩに、一人のα。
離れ難い存在。唯一の存在。

思い出したくもない。恐ろしい記憶。

きらきらと輝く、星のような金色の髪。
透明で陶器のように白い肌。
ふわりと笑いかけてくれた。
甘くて、なのにミントのような、優しい香り。

「エリオス」

セレノスの言葉に、ハッとして恐怖にすくみ上がる。
胸元のチーフに溺れてるみたいに縋ると、無理矢理チーフを引き抜いた。
そこに包まれた錠剤型の抑制剤は、決して大きい物ではなくて、不安に駆られるまま掌の中で探す。
見つけた瞬間、国王の前だというのに我慢はできず、その薬を口に押し込んだ。
揺れていた情緒が安定した気がする。いつもそうだ。

あのお方が脳裏に浮かんでしまうと、エリオスは自分からフェロモンが漏れ出ているのではと錯覚してしまう。
あのお方を呼ぶために、あのお方に番になりたいと体が叫ぶ。

「ヴァルデンハイト王国の国王が、余と学友だったのを覚えているだろう?」

取り乱したエリオスに咎めることはせず、ただ揺れているその目を涼しい瞳が探るだけだ。
セレノスにこの状態を見せるのは初めてではない。だが、人前ではなるべく隠していた。
横に控える侍従たちの中では初めて見る者もいたのだろう、一瞬場がさざめいた。

未だ空気が十分に取り込めていないような気がして、喘ぐように頷く。
知っている。忘れたことなんかない。

「その息子がαなんだが……まぁ、容姿のせいだとは思うんだが、自国も他国からも恋文が届いて、ほとほと辟易しているらしい」
「っ、それと、俺の、何が関係あるの」

嫌だ嫌だと想像できうる先に、自然と首を振る。

「いずれは国を背負う国王になるというのに、浮ついた話一つも無い。それをジークは不安がってな」

ジーク……ジークハルト様
俺の、運命だった人。
俺が末弟に生まれたばっかりに、もっと、もっと早く。
俺が長男に生まれていれば。

「それで息子に、誰かいないのかと聞いたんだそうだ」

ジークハルト様の息子。
分かっていた。だから、嫌だった。

国王セレノスは座り直して、怯え続けるエリオスを逃がさない。
聞きたくないと耳を塞ぎたいのに、体が硬直して動けない。

「『ソルグランに俺の運命がいる』」
「っそんな!そんな理由で?冗談じゃない!」

思わず出てしまった叫びに、エリオス自身が驚いてしまう。
猫が威嚇をすように髪は逆立つ。確実に頭に血が昇っている。

ふぅーふぅーと力をいなしながら、呼吸を整える。
国王たるセレノスは何も変わらない。
こうなることが分かっていたと、言わんばかりに落ち着いている。

「エリィ、落ち着け。それだけじゃあないから言ってるんだ」
「俺、もう三十五だよ。他のΩでしょ絶対」
「それが……その話を聞いた時、初めてジークから息子のレオンハルトを紹介されたんだが、」

会った時を思い出しているんだろう、口元が楽しそうに弧を描いている。ここまで機嫌を分かりやすく出してくるのも珍しい。

「俺からするエリオスのフェロモンを嗅ぎとったんだ」
「そっ、そんなフェロモンが、俺から出てっ」
うなじを乱雑に擦る。薬を飲んでいれば出ないと思っていたのに、まだ、まだ足りないの?

「そもそも、ヒートだってこの歳まで一度だって、俺は経験していない!でたらめだ!」
「でたらめ……か」

鋭く、視線は冷める。
慈悲のない。兄から向けられた事のないものがそこにはある。

「まぁそうだとしてもだ。運命の番を引き離すとなれば、それは国家間の問題にもなりかねない。友人との縁、国同士の縁を違えて、民を危険に晒し戦にでも発展しようものなら、余は耐えられない。ましてや、王族同士の婚姻でだ」

いつだって兄には敵わない。
どんな時も冷静で、王たる道を違わない。

「それは、俺に、生贄になれってこと?」
「私はそうではないと思っているが、エリオスがそう捉えてしまうのならば、今は仕方ない」

這い上がってきた感情が、瞳の奥からボロリと溢れる。
兄はもう国王の顔をしていた。
太陽の女神を背負い、全てを導く。
俺だけがみっともなく、兄へと縋りたい。
幼い頃に戻ったかのように泣いて、助けてと手を伸ばしたいのに。

「嫌だよ、セレ兄、いやだ、あそこは行きたくない」
「エリオス……ヴァルデンハイト王国レオンハルト・ヴァルシュタイン第一王子の元へ嫁げ」
「いやだ!俺は行かない!」

癇癪を垂れる幼子のようだ。
しかし、セレノスは眉根一つ動かさず言い放つ。

「これはソルグラン王国、国王の王命である」

この言葉を違えることはない。
そう言い終わるとセレノスはエリオスに背を向けた。


エリオスの婚姻が、確実のものとなった瞬間であった。
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