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13.新しい住居は新築でした。
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数週間ぶりのロドハルトには、夕方過ぎに到着した。しかしもうこの時期になると、夕方といってもあたりはもう夜闇が広がっている。
国主邸の前に、ギャムシアは居た。馬車に乗りながら、一旦彼を過ぎて納車庫へ向かう。しかしその姿を見つけてから、動悸が止まらなくなる。彼は馬車には気付いたが中に隠れているラチカには気付いていないらしく、こちらに少し視線を寄せただけだった。
それだけで、射貫かれたかのような感覚。彼の空色の目は、相変わらず美しかった。
馬車を繋ぎ、シャイネが荷物を下ろす。ラチカも彼に手を取ってもらう形で馬車から降りる。
「お嬢様、酔われましたか。震えが」
「だ……大丈夫」
会える。もうすぐ、会える。ギャムシアに。
先立って迎えにきてくれた使用人達が荷物を回収してくれる。彼らに礼を言いながら、国主邸へと向かう。ようやく、彼と視線が合った。どきり、とする。彼は未だ猫を被った微笑みを向け、歩み寄ってきた。
「久し振りですね、妹君。それに、レヂェマシュトルの」
「シャイネです。ご機嫌麗しゅう、ギャムシア様」
表面上では穏やかに微笑んでいるし声も穏やかだが、ラチカには分かる。まるで猫が威嚇するような毛の逆立ちが。内心冷や冷やしたが一触即発だけはどうにか回避しようとはしているらしい。
「この度は突然の要請にお応え頂き、誠にありがとうございます。両国の発展のために、私も尽力致しますので……妹君にも、ご協力いただければ心強い事この上ありません」
本当に外向きの顔だ。あの時のような劣情など微塵も感じられない。その事に安心と……ほんの少しの、がっかりとした気持ち。
差し出された右手を、そっと握り返す。
「とんでもないです。私のような未熟者でお勤めが果たせるかどうかといった所ですが、頑張らせて頂きますね」
彼の熱い、体温。ああ、あの時の。あの時自分を掻きまわした指が、自分に触れている。じわり、と。条件反射のような熱が広がる。
シャイネが、こちらを見てきた。ハッとして離す。ギャムシアはくすくすと笑いながら、シャイネを見た。
「ああ、確かに目の前で主君にべたべたと触られるのは気分を害しますね。申し訳ない」
「目の前じゃなくてもですが、ええ、そうですね」
ぎょっとして彼を見るが、シャイネはしれっと前を向いていた。ギャムシアは笑みを崩す事なく続ける。
「今日はお疲れでしょうから、先に妹君の住居に案内致します。シャイネくんには、先日お伝えしている通りうちの使用人の宿舎を使って頂きます。前回使って頂いたのと同じ部屋になります」
「申し訳ありません、わざわざ」
「とんでもない。では、こちらです」
ギャムシアが先頭を立って歩き出す。同時にふわり、と漂う匂い。嗅いだことあるとは思ったが、思い出した。ヴェリアナの実家の工場が作っている香水だ。男が使うと、少し印象が変わる気がする。
国主邸のあの森を脇に、奥へと進む。すると、ひとつの小ぢんまりとした建物……エヴァイアンの国民の一家族が平均して持っているような家屋が見えた。
「こちらです」
「え、こんなの前無かったくないですか?」
「人員を駆使して急ピッチで仕上げました」
そんな事までしたのか。シャイネを見ると、露骨に顔を歪めていた。なんとかギャムシアには見えていないものの、ひやりとする。
ギャムシアはポケットから三種類の鍵のついた束を取り出した。
「こちらが鍵となります。大変申し訳ありませんが、万が一の為に扉は三重、窓はすべて二重構造となっております」
「わ、そこまで気を使ってくれたんですか……何かすみません」
「いえいえ。さすがに用心には用心を重ねておくべきですからね。鍵はこの一組しか無いので、くれぐれも無くされないように」
鍵の束を受け取る。玄関の扉を一枚ずつ、それぞれ違う鍵で開いていく。かなり厳重だ。
中に入ると、造りたての建物の匂いがした。香ばしい木の香りを胸いっぱい吸い込みながら、中へと進む。
「すっご」
思わず、声が漏れる。
内部は明るく、すでに調度品は一式用意されていた。真っ白な壁紙、灰色の豪奢な柄の絨毯、白く輝くテーブルとソファ……見覚えがあると思ったら、エヴァイアンの自室と同じ色使いでまとめられていた。
「兄君から事前に聞いて、妹君の部屋のように見立ててみました。さすがに急に環境が変わるのはストレスを感じてしまうでしょうし……いかがでしょうか」
「いやすごいです……本当うちみたい……ありがとうございます」
ギャムシアは誇らしげに微笑んだ。シャイネがあちこち見回っている隙に素を見せてきたような顔だ。どこか懐かしく、胸の奥がきゅんとする。
シャイネが戻ってきた。
「台所も付いているんですね、ここ。浴室も」
「ええ、ある程度の生活が出来るようにはさせて頂いております。一応大使館も兼ねていますが、私くらいしか来ませんしこちらで公務もして頂けます。勿論、妹君に呼ばれもしない内は勝手に入ったりしないのでご安心を」
ああ、それはそうか。シャイネはどこかホッとしたような顔になっていた。
ある程度部屋を見終えたところで、ギャムシアは申し訳なさそうにラチカを見た。
「来て頂いた早々で申し訳ありませんが、私はこれから街まで降りて病院に行かなければなりません」
「病院?」
「医者の集合拠点です。そちらの長も兼ねているので、少し会議がありまして」
確か、話には聞いていた。エヴァイアンの医療も少しずつ進歩してきているものの、やはり大陸中一番栄えているのはロドハルトだ。医者であるギャムシアが国の頂点に立ったからか、より力が入っているらしい。
「夕飯はうちの使用人に運ばせます。今日はもうお休みになってください、また詳しい話は明日に致しましょう。シャイネくんは申し訳ないが、うちの執事長が色々話したいらしく付き合ってもらえないだろうか」
「ええ、そちらに関しては伝書鳩ですでにお伺いしております。ロドハルトでもお役に立てるよう、色々お聞きさせて頂きますよ」
執事長がシャイネを迎えにあがり、部屋を出て行った。最後に一目、ラチカを見てから。同時に、ギャムシアも出ていく。
急に、ひとりになった。急に、眠気が襲ってくる。しかしここで寝てはならない。まずシャワーを浴びなければ。もう夕飯もいい。
ひとまず脱衣所であらゆる衣服を脱ぎ捨て、浴室に入る。部屋の三分の一程面積はあろうという広々とした空間だ。誰も未だに使った事が無いと一目でわかる程磨き上げられている。照明も数段階に分けて調節可能であり、無駄に気が利いている。
バルブを広げ、温水を出す。夜風に当たっていて冷えた体に、じんわりと熱がしみ込んでいくのが分かる。エヴァイアンは基本的に温泉地帯から温水を引いているが、ロドハルトは地下に温水をつくる工場を構えていると聞いた。
「ほぁー……」
心地いい。何ならもうここで眠れる。いやそれだけは多分ひととしてしてはいけない。
備え付けてもらっていた石鹸で、体をこする。ふわりとした花の香りは、どこかで覚えがある。ああ、ギャムシアと同じだ。あの情事の時の。
目を閉じる。あの彼の香りに包まれたまま、意識は運ばれていった。
「……ん、んっ……?」
熱い。主に、秘所が。とろけるような、熱いぬめり。
うっすらと目を覚ますと、やはり先程の浴室のまま。体は未だ温かい。そして。
「……えっ!?」
うごめく、影。あの濡れた烏のような艶のある黒髪。上下前後に細かく動きながら、ラチカの柔らかな土手に何度も押し付けられている。それだけでもどこかくすぐったいのに、更にその下は。
「起きたか」
「や、ぁっ……」
ギャムシアは再びぬるり、とその柔らかな舌を再び大陰唇と小陰唇の隙間に滑らせた。まるで身を抉られるような、けれど甘い刺激に体がのけぞる。挿入されるよりも細やかな、それでいてとろけるような。
足が反射的にねじれようとするが、ギャムシアはその白い両足をラチカの腹側に折らせ、しっかりと両手で固定していた。逃げられない。
「え、ちょっと待ってこれどういう状況!?」
「無事会議を一時間で終えた俺が合い鍵で入ってきたら、シャワーの音だけが聞こえてきてな。様子見にきたらお前が倒れてたんだよ」
ということは、少なくとも一時間以上は眠ってしまっていたのか。いやそれよりも。
「え、鍵私のだけって言ってなかった!?」
「んなわけねぇだろ馬鹿。俺がこの家設計したんだぞ?」
よく考えれば確かにそうだ。いやそもそもそれで当たり前だろう。警戒心弱り過ぎだ。彼があまりにもあんなに堂々と言うので、すっかり思考が止まっていた。
再び彼の唇が、ラチカの秘所に接吻する。それだけでも電撃が走るのに、彼の舌はラチカの蜜壺の奥までじっくりと寄り道をしながら侵入してきた。膣壁に何度も舌を引っ掛けられては滑られ、を繰り返していくと、体の芯がやすりで削られているかのような……細かい熱が、のぼってくる。
どうしても声が出そうになり唇を噛みしめると、何か液体のようなものが口内に垂れ込んできた。喉の奥を刺すような、苦味。水ではない。
「なにこれ……」
「悪いな。本当は最初からぶち込んでやろうと思ったが、均してる内に我慢出来なかった。だが安心しろ、ちゃんともう一発出来る」
「ちょっと待ってじゃあこれまさっあぁあんっ!」
充血しきった膨らみを、唾液たっぷりに嘗め回される。強烈なスパークに、ラチカの体は全身で嬌声を上げた。
気持ちいい。思考が、砕ける。
「やだ、あっああ、あっ」
「ここか? ここ、好きだな」
「あああっだめ、むりっ」
どれだけ声を上げても、ギャムシアの舌は止まらない。時折唾液をどばっと垂らしながら、あくまで優しくラチカの陰核をねぶりあげていく。それは本気で味わっているような感触で、とにかくラチカの思考を焼いていく。
「ああ、あ……っ」
ギャムシアは裸だった。浴室なので当然と言えば当然だ。彼は不意に唇を離すと体を起こした。彼の肉棒は、完全に勃起している。見ているだけでも痛そうで、しかし何故か……女としての本能からか。喉の奥が、ごろりと鳴る。
ギャムシアはラチカの後頭部に右手を乗せる。そのまま力任せに床に向かって彼女の体を倒れ込ませると、そのまま自身の肉棒に顔を近づけさせた。
「舐めろ」
それは命令だった。跳ね返せる程の力は、もう残っていない。
ラチカはそっと、彼の先端に舌を乗せた。
国主邸の前に、ギャムシアは居た。馬車に乗りながら、一旦彼を過ぎて納車庫へ向かう。しかしその姿を見つけてから、動悸が止まらなくなる。彼は馬車には気付いたが中に隠れているラチカには気付いていないらしく、こちらに少し視線を寄せただけだった。
それだけで、射貫かれたかのような感覚。彼の空色の目は、相変わらず美しかった。
馬車を繋ぎ、シャイネが荷物を下ろす。ラチカも彼に手を取ってもらう形で馬車から降りる。
「お嬢様、酔われましたか。震えが」
「だ……大丈夫」
会える。もうすぐ、会える。ギャムシアに。
先立って迎えにきてくれた使用人達が荷物を回収してくれる。彼らに礼を言いながら、国主邸へと向かう。ようやく、彼と視線が合った。どきり、とする。彼は未だ猫を被った微笑みを向け、歩み寄ってきた。
「久し振りですね、妹君。それに、レヂェマシュトルの」
「シャイネです。ご機嫌麗しゅう、ギャムシア様」
表面上では穏やかに微笑んでいるし声も穏やかだが、ラチカには分かる。まるで猫が威嚇するような毛の逆立ちが。内心冷や冷やしたが一触即発だけはどうにか回避しようとはしているらしい。
「この度は突然の要請にお応え頂き、誠にありがとうございます。両国の発展のために、私も尽力致しますので……妹君にも、ご協力いただければ心強い事この上ありません」
本当に外向きの顔だ。あの時のような劣情など微塵も感じられない。その事に安心と……ほんの少しの、がっかりとした気持ち。
差し出された右手を、そっと握り返す。
「とんでもないです。私のような未熟者でお勤めが果たせるかどうかといった所ですが、頑張らせて頂きますね」
彼の熱い、体温。ああ、あの時の。あの時自分を掻きまわした指が、自分に触れている。じわり、と。条件反射のような熱が広がる。
シャイネが、こちらを見てきた。ハッとして離す。ギャムシアはくすくすと笑いながら、シャイネを見た。
「ああ、確かに目の前で主君にべたべたと触られるのは気分を害しますね。申し訳ない」
「目の前じゃなくてもですが、ええ、そうですね」
ぎょっとして彼を見るが、シャイネはしれっと前を向いていた。ギャムシアは笑みを崩す事なく続ける。
「今日はお疲れでしょうから、先に妹君の住居に案内致します。シャイネくんには、先日お伝えしている通りうちの使用人の宿舎を使って頂きます。前回使って頂いたのと同じ部屋になります」
「申し訳ありません、わざわざ」
「とんでもない。では、こちらです」
ギャムシアが先頭を立って歩き出す。同時にふわり、と漂う匂い。嗅いだことあるとは思ったが、思い出した。ヴェリアナの実家の工場が作っている香水だ。男が使うと、少し印象が変わる気がする。
国主邸のあの森を脇に、奥へと進む。すると、ひとつの小ぢんまりとした建物……エヴァイアンの国民の一家族が平均して持っているような家屋が見えた。
「こちらです」
「え、こんなの前無かったくないですか?」
「人員を駆使して急ピッチで仕上げました」
そんな事までしたのか。シャイネを見ると、露骨に顔を歪めていた。なんとかギャムシアには見えていないものの、ひやりとする。
ギャムシアはポケットから三種類の鍵のついた束を取り出した。
「こちらが鍵となります。大変申し訳ありませんが、万が一の為に扉は三重、窓はすべて二重構造となっております」
「わ、そこまで気を使ってくれたんですか……何かすみません」
「いえいえ。さすがに用心には用心を重ねておくべきですからね。鍵はこの一組しか無いので、くれぐれも無くされないように」
鍵の束を受け取る。玄関の扉を一枚ずつ、それぞれ違う鍵で開いていく。かなり厳重だ。
中に入ると、造りたての建物の匂いがした。香ばしい木の香りを胸いっぱい吸い込みながら、中へと進む。
「すっご」
思わず、声が漏れる。
内部は明るく、すでに調度品は一式用意されていた。真っ白な壁紙、灰色の豪奢な柄の絨毯、白く輝くテーブルとソファ……見覚えがあると思ったら、エヴァイアンの自室と同じ色使いでまとめられていた。
「兄君から事前に聞いて、妹君の部屋のように見立ててみました。さすがに急に環境が変わるのはストレスを感じてしまうでしょうし……いかがでしょうか」
「いやすごいです……本当うちみたい……ありがとうございます」
ギャムシアは誇らしげに微笑んだ。シャイネがあちこち見回っている隙に素を見せてきたような顔だ。どこか懐かしく、胸の奥がきゅんとする。
シャイネが戻ってきた。
「台所も付いているんですね、ここ。浴室も」
「ええ、ある程度の生活が出来るようにはさせて頂いております。一応大使館も兼ねていますが、私くらいしか来ませんしこちらで公務もして頂けます。勿論、妹君に呼ばれもしない内は勝手に入ったりしないのでご安心を」
ああ、それはそうか。シャイネはどこかホッとしたような顔になっていた。
ある程度部屋を見終えたところで、ギャムシアは申し訳なさそうにラチカを見た。
「来て頂いた早々で申し訳ありませんが、私はこれから街まで降りて病院に行かなければなりません」
「病院?」
「医者の集合拠点です。そちらの長も兼ねているので、少し会議がありまして」
確か、話には聞いていた。エヴァイアンの医療も少しずつ進歩してきているものの、やはり大陸中一番栄えているのはロドハルトだ。医者であるギャムシアが国の頂点に立ったからか、より力が入っているらしい。
「夕飯はうちの使用人に運ばせます。今日はもうお休みになってください、また詳しい話は明日に致しましょう。シャイネくんは申し訳ないが、うちの執事長が色々話したいらしく付き合ってもらえないだろうか」
「ええ、そちらに関しては伝書鳩ですでにお伺いしております。ロドハルトでもお役に立てるよう、色々お聞きさせて頂きますよ」
執事長がシャイネを迎えにあがり、部屋を出て行った。最後に一目、ラチカを見てから。同時に、ギャムシアも出ていく。
急に、ひとりになった。急に、眠気が襲ってくる。しかしここで寝てはならない。まずシャワーを浴びなければ。もう夕飯もいい。
ひとまず脱衣所であらゆる衣服を脱ぎ捨て、浴室に入る。部屋の三分の一程面積はあろうという広々とした空間だ。誰も未だに使った事が無いと一目でわかる程磨き上げられている。照明も数段階に分けて調節可能であり、無駄に気が利いている。
バルブを広げ、温水を出す。夜風に当たっていて冷えた体に、じんわりと熱がしみ込んでいくのが分かる。エヴァイアンは基本的に温泉地帯から温水を引いているが、ロドハルトは地下に温水をつくる工場を構えていると聞いた。
「ほぁー……」
心地いい。何ならもうここで眠れる。いやそれだけは多分ひととしてしてはいけない。
備え付けてもらっていた石鹸で、体をこする。ふわりとした花の香りは、どこかで覚えがある。ああ、ギャムシアと同じだ。あの情事の時の。
目を閉じる。あの彼の香りに包まれたまま、意識は運ばれていった。
「……ん、んっ……?」
熱い。主に、秘所が。とろけるような、熱いぬめり。
うっすらと目を覚ますと、やはり先程の浴室のまま。体は未だ温かい。そして。
「……えっ!?」
うごめく、影。あの濡れた烏のような艶のある黒髪。上下前後に細かく動きながら、ラチカの柔らかな土手に何度も押し付けられている。それだけでもどこかくすぐったいのに、更にその下は。
「起きたか」
「や、ぁっ……」
ギャムシアは再びぬるり、とその柔らかな舌を再び大陰唇と小陰唇の隙間に滑らせた。まるで身を抉られるような、けれど甘い刺激に体がのけぞる。挿入されるよりも細やかな、それでいてとろけるような。
足が反射的にねじれようとするが、ギャムシアはその白い両足をラチカの腹側に折らせ、しっかりと両手で固定していた。逃げられない。
「え、ちょっと待ってこれどういう状況!?」
「無事会議を一時間で終えた俺が合い鍵で入ってきたら、シャワーの音だけが聞こえてきてな。様子見にきたらお前が倒れてたんだよ」
ということは、少なくとも一時間以上は眠ってしまっていたのか。いやそれよりも。
「え、鍵私のだけって言ってなかった!?」
「んなわけねぇだろ馬鹿。俺がこの家設計したんだぞ?」
よく考えれば確かにそうだ。いやそもそもそれで当たり前だろう。警戒心弱り過ぎだ。彼があまりにもあんなに堂々と言うので、すっかり思考が止まっていた。
再び彼の唇が、ラチカの秘所に接吻する。それだけでも電撃が走るのに、彼の舌はラチカの蜜壺の奥までじっくりと寄り道をしながら侵入してきた。膣壁に何度も舌を引っ掛けられては滑られ、を繰り返していくと、体の芯がやすりで削られているかのような……細かい熱が、のぼってくる。
どうしても声が出そうになり唇を噛みしめると、何か液体のようなものが口内に垂れ込んできた。喉の奥を刺すような、苦味。水ではない。
「なにこれ……」
「悪いな。本当は最初からぶち込んでやろうと思ったが、均してる内に我慢出来なかった。だが安心しろ、ちゃんともう一発出来る」
「ちょっと待ってじゃあこれまさっあぁあんっ!」
充血しきった膨らみを、唾液たっぷりに嘗め回される。強烈なスパークに、ラチカの体は全身で嬌声を上げた。
気持ちいい。思考が、砕ける。
「やだ、あっああ、あっ」
「ここか? ここ、好きだな」
「あああっだめ、むりっ」
どれだけ声を上げても、ギャムシアの舌は止まらない。時折唾液をどばっと垂らしながら、あくまで優しくラチカの陰核をねぶりあげていく。それは本気で味わっているような感触で、とにかくラチカの思考を焼いていく。
「ああ、あ……っ」
ギャムシアは裸だった。浴室なので当然と言えば当然だ。彼は不意に唇を離すと体を起こした。彼の肉棒は、完全に勃起している。見ているだけでも痛そうで、しかし何故か……女としての本能からか。喉の奥が、ごろりと鳴る。
ギャムシアはラチカの後頭部に右手を乗せる。そのまま力任せに床に向かって彼女の体を倒れ込ませると、そのまま自身の肉棒に顔を近づけさせた。
「舐めろ」
それは命令だった。跳ね返せる程の力は、もう残っていない。
ラチカはそっと、彼の先端に舌を乗せた。
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