剣と魔法のゲーム世界に閉じ込められた私は、オリジナル格闘ジョブ【11拳(イレブンフィスト)】でクリア目指して勝ち上がる

五月雨前線

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第2章 ヨルムンガルドダンジョン攻略編

第19話:VSダークナイト

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 入った、と思った。
 レベル50を超えている私が放った、渾身のスキル攻撃。
 倒せるとまではいかなくても、怯ませたり、体勢を崩せたり出来ると思ってた。

 しかし、相手はAランクモンスターだった。

「しゅううっ……!!」

 私が放った攻撃をものともせず、ダークナイトは瞬時に反撃してきた。突き、斬り上げ、薙ぎ払い、さらには蹴り。
 ダークナイトの波状攻撃を私は必死に回避し、時に鋼の拳で攻撃を受け止めたが、ダメージをゼロには出来ず私のHPが微減する。

「はあああああっ!!!」

 叫び声とともに、コヤが攻撃を仕掛けた。死角からの攻撃だったが、ダークナイトは瞬時に反応して盾でコヤの攻撃を受け止め、逆に蹴りを放ってコヤを撃退した。

「でりゃああああっ!!!!!」

『リーフウィンド』

 私が2段蹴りを放ったタイミングで、ジージが魔法攻撃を放った。ジージが手にする杖から、輝く緑色に輝く鋭利な葉が大量に出現し、渦を巻きながらダークナイトに迫っていく。

 私の通常攻撃とジージの魔法攻撃、どちらかは命中すると思ったが、危険を察知したダークナイトは回避一辺倒で大きく後ろに後退した。
 なんとかコヤが追撃を浴びせようとしたが叶わず、結局ダークナイトにまともにダメージを与えることは出来なかった。それどころかダークナイトに体勢を立て直す隙を与えてしまった。

 5メートル前方のダークナイトは盾を前に、剣を後ろにして構えをとっている。傷を負っているようには見えない。

「皆気をつけて! こいつは今までのモンスターとは格が違う!」

 リストはパーティーの1番前に移動し、巨大な盾を構えながら叫んだ。
 私は額の汗を拭いながら、ダークナイトを鋭く睨みつける。
 思えばストロングホープがAランクモンスターと対峙するのは初めてだ。Aランクモンスターは、やっぱり強い。油断してるとあっという前に命を刈り取られてしまうだろう。

「アラーテ、大丈夫? 今の内にポーションを……」

「リスト、危ないっっ!!!」

 リストが私を気遣おうと、視線を一瞬後ろに向けたその隙を、ダークナイトは見逃さずに狙い、ものすごいスピードで突っ込んできた。
 私の叫びを受けてリストは慌てて防御姿勢をとったが、完璧には防御出来ずダークナイトの連撃を受けてダメージを負ってしまった。

「一旦下がるのじゃっ!!!」

 ジージの叫び声、次いで視界いっぱいに青い水流が出現した。ジージの魔法攻撃だ。
 水流はダークナイトを飲み込まんと広がっていく。ダークナイトは再度後退し、私たちから距離を取った。

「ありがとうジージ! ダメージを負ってる人はしっかり回復して!」

 リストが叫び、素早くウィンドウを操作してポーションを飲んだ。リストに倣い、私もポーションを飲んでHPを回復させる。

 私たち4人が固まっているところに攻撃を仕掛けるのは難しいと判断したのか、ダークナイトは構えを崩さずにじっと私たちを睨みつけ、動こうとしない。

「めっちゃ強いやん……何なんあいつ……」

 そう言うコヤの顔には、僅かな驚きが浮かんでいるように見えた。

「コヤ、あいつはAランクモンスターだから、今まで戦ってきたモンスターと比べて強いと感じるだけだよ。大丈夫、私たちなら絶対に倒せる」

 私はコヤにそう返した後、リストに視線を向けた。

「リスト、どうする?」

「ここで足止めを喰らうのは嫌だよね。フルバーストで行っていいと僕は思う。ジージとコヤは?」

「賛成じゃ」

「そうするしかあらへんやんな。ちゃっちゃとやっちゃお」

 フルバースト。それは、私たちストロングホープが定めた合言葉の1つ。SPやMPの消費を気にせず、スキル攻撃、魔法攻撃をフル解放して短期決戦で終わらせるという意味だ。

「わしが先制攻撃を仕掛ける。その後も援護するから、3人でダークナイトを仕留めるのじゃ」

 ジージの言葉に私たち3人は頷きを返した後、一斉にダークナイトめがけて走り出した。

『アースリューブロック』

 ジージの声が聞こえたかと思うと、ダークナイトが佇む地面が輝き、隆起し、ダークナイトを包み込まんと脈動した。
 危険を察知したダークナイトは回避行動をとるが、ダークナイトの回避を先読みするようにジージの魔法攻撃が迫り、思うように回避をさせない。
 ようやくダークナイトが魔法攻撃を回避しきった時、私、コヤ、そしてリストはダークナイトのすぐ目の前に迫っていた。

『ビッグシールドブレイク!!!』

 まずはリストがスキル攻撃で先制攻撃を放つ。本来は守りに使うはずの巨大な盾を、逆に武器にしてモンスターめがけて攻撃する、重戦士専用のスキル攻撃だ。
 タンクであるはずのリストの攻撃に虚をつかれたのか、攻撃を受け止めたダークナイトの姿勢が僅かに乱れた。
 
 好機!!!

「はっっっっ!!!!!」

 気合一閃、私は鋼の拳で正拳突きのワンツー・からの下突きのコンビネーションを放つ。これはダークナイトの盾に阻まれたが、想定内だ。
 リストの先制攻撃、そして私の攻撃。その両方を受け止めたダークナイトの死角から、コヤが迫っていた。

『ホーリースラッシュ!!!!!』

 コヤの持つ剣が眩い光を放つ。完全にノーマークとなったコヤは、全力で剣を薙ぎ払い、スキル攻撃を繰り出した。

「ぐっ……!」

 鈍い音が響いた後、ダークナイトはくぐもった声を発した。恐らくかなりのダメージが入ったのだろう。
 ここで攻撃の手を止めちゃ駄目だ、一気に仕留めろ!!

「せりゃあああああああ!!!!!」

 私は一気にダークナイトの懐に飛び込み、ワンツーからの上段回し蹴りを叩き込む。コヤのスキル攻撃がよほど効いたのか、ダークナイトの反応がさっきよりも鈍い。
 私、コヤ、リストが3方向から同時に通常攻撃の連撃を叩き込むと、ダークナイトは痙攣した後、その場に倒れ込んだ。

「ふうう……随分骨がある相手やったな!」

 コヤは笑顔で言い、剣を鞘に収めた。
 瞬間、ぞくり、と私の背筋に冷たいものが走る。

 ……待って、何かがおかしい。
 ダークナイトが消滅してない!!
 違和感を察知した私は、「コヤ、危ないっ!!!」と叫んだ。

 刹那、倒したはずのダークナイトが瞬時に起き上がり、納刀したコヤに奇襲攻撃を仕掛けた。

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