剣と魔法のゲーム世界に閉じ込められた私は、オリジナル格闘ジョブ【11拳(イレブンフィスト)】でクリア目指して勝ち上がる

五月雨前線

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第2章 ヨルムンガルドダンジョン攻略編

第21話:クリムゾンソード

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「「おおお……!!!」」

 私とコヤが漏らした感嘆の声が重なる。
 宝箱の中から出現したのは、剣だった。見た目、そして雰囲気からして、恐らくレアリティの高い代物だ。

「え、なんかこの武器、凄そうやあれへん!?」

 コヤは興奮気味に言った。MSO初心者のコヤでも、目の前の剣のレアリティの高さをなんとなく感じ取っているようだ。

「うん。多分けっこうレアな武器だと思う。よかったねコヤ、早速武器のステータスを見てみなよ」

「え、ウチがもらってええん?」

「勿論。このパーティーで剣を装備してるのはコヤだけだしね」

「そっか、おおきに! やった~新しい武器や~!」

 コヤは嬉しそうに宝箱からドロップした剣に手を伸ばした。

「おお、軽い! 今の剣よりも軽いわ! ステータスは……今の剣より攻撃力が倍くらい高いで! クリティカル率も倍くらい高い! うわ、めっちゃ当たり武器やん!」

「すごいじゃん! 私にも見せて!」

「ええよ!」

 私はコヤのシステムウィンドウを見せてもらった。ふむふむ、たしかにかなり性能は良い。これがあるからダンジョン攻略はやめられない。
 名前は【クリムゾンソード】か、かっこいいなぁ。
 そして武器特性に、SP回復攻撃がついてるのか、ふーん……ってちょいちょいちょい!!!

「ちょ、コヤ! この武器やばい! えぐいってこれ!」

 思わぬ展開にしどろもどろになる私を見て、コヤは首を傾げた。

「急にどうしたん?」

「いや、だから、この武器がマジでやばいって話! 武器特性にSP回復攻撃がついてるんだよ!?」

「??」

 私が興奮気味に言うも、コヤにはピンときてないようだ。

 SP回復攻撃という特性は、攻撃をしてモンスターにダメージを与えるたびに、SPが少しずつ回復していくというとても強力な特性だ。
 特に聖騎士のプレイヤーはスキル攻撃を使用する機会が多いため、SP回復攻撃との親和性は極めて高い。
 そんな強力な特性が武器にくっついてるなんて聞いたことがない。私はコヤの腕を引っ張って急いでリストとジージの元へ戻り、ドロップした武器の性能を報告した。

「え、マジ!?」

「なんと……!」

 リストとジージは目を丸くし、コヤの持つクリムゾンソードを凝視している。

「な、何なん? この武器ってそないにすごいの? ウチは初心者やからよう分かれへんわ……」

 私たち3人の反応に、コヤは少し戸惑っているようだ。
 初心者ゆえにそうなってしまうのは致し方ないが、張本人であるコヤには事情を理解してもらわないと困る。

「コヤ、よく聞いて。今宝箱からドロップした武器は、めちゃくちゃすごい武器なんだよ。何故なら、性能が高いことに加えて、武器特性にSP回復攻撃がついてるからね」

 コヤにちゃんと理解してもらえるように、私はしっかり説明することに決めた。

「そもそも武器特性って何なん?」

「武器を装備すると付与される特性のことだよ。そもそも武器特性がついてる武器ってだけでレアなんだけど、SP回復攻撃がついてる武器はマジでやばい」

「何がやばいん?」

「つまり、コヤがこれからその武器を装備してモンスターを攻撃するたびに、SPが回復するようになるってわけ。今までよりも多くスキル攻撃が放てるようになって、勝ちやすくなるってこと」

「おおおおお! 何それめっちゃすごいやん!」

 コヤは目をきらきら輝かせながら言った。どうやらすごさを理解してもらえたようだ。

「ジージ、SP回復攻撃がついてる武器がダンジョンでドロップするなんて聞いたことある?」

「無い。Zでもそんな情報は目にしなかったわい。僥倖としか言えんのう……」

 リストとジージの会話を耳にしながら、私は胸の高鳴りを感じていた。

 元々私たちストロングホープには、賢者と聖騎士という二大当たりジョブを授かったジージとコヤがいる。加えて、ジージは天性特性でMP自動回復を授かり、コヤは武器特性でSP回復攻撃を授かった。
 この状況は、控えめに言ってめちゃくちゃ良い。追い風としか言いようがない。この調子でどんどん強くなれば、ヨルムンガルドダンジョンのダンジョンボスも、ラスボスのインフィニティドラゴンだってきっと倒せる。
 私たちなら、やれる。MSOから脱出出来るんだ。

「皆! 私たちは……」

「きゃあああああああ!!!!!」

 この気持ちの昂りを言葉にしようと口を開いた瞬間、甲高い女性の叫び声が響いた。
 この叫び声は、尋常じゃない。とても嫌な予感がする。気付くと私はその場から駆け出し、叫び声の方向へ向かっていた。

「アラーテ、待ってよ!」

 後ろから愛しのリストの叫び声が聞こえたが、私は足を止めなかった。
 右、左、左。先程の叫び声の記憶、そして直感を頼りにひたすらダンジョンの中を駆ける。

「ぐもおおお……!!!」

 突然、全身が緑色の豚のようなモンスターが私の前に立ちはだかった。【フルブピッグ】というモンスターだった気がする。ランクはD、いやCだっけ?

「アンタには構ってられないから!」

 私は叫び、勢いよくジャンプしてフルブピッグを飛び越えた。

「やめてっ! おねがいっ!」

 声が聞こえる。さっきの叫び声と同じ声だ。あと少し、この角を右に曲がれば……。

「いやだ、死にたくない! 許して!」

 三度叫び声。そこには、2人のプレイヤーがいた。
 1人は金髪の女性のプレイヤーだ。壁際に座り込んでいる。銀色の装備は汚れ、髪は乱れ、整った顔は涙でぐちゃぐちゃになっている。
 女性の頭上のHPは、ゼロになる寸前まで減少していた。HPのバーが、危険を意味する赤に染まっている。

 そして、2人目。2人目のプレイヤーは、その女性を見下ろすように佇み、刀を女性の胸元に突きつけていた。
 闇と同化するような真っ黒な鎧、ブラックマーダーシリーズ。そして、真っ黒な剣。
 その見た目は、ダンジョンに侵入する前に出会った男性が語っていた、アサシンプレイヤーについての特徴と一致していた。
 つまり……お前が……

「お前がアサシンプレイヤーだなっっ!!! 絶対に許さないっっ!!!」

 私は絶叫しながら、猛然とアサシンプレイヤーめがけて突進した。ほぼ同時に左手でショートカットを操作して投げナイフを発現させ、アサシンプレイヤーめがけて全力でぶん投げた。

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